第8話「ヒーロー達の絆」
ダークブライトの鎧は砕け来人は正気に戻った。
だが、スカー達は最後の手段に出ようとしていた。
「セイラ、来人さんを回復してやってくれ。いよいよ最終決戦だ!」
クロスセイバーがセイラに呼び掛ける。
「うん!」
セイラは来人に近付く。
「何だ?」
「今、体力を回復しますから動かないで下さいね」
「は?」
セイラは来人に回復魔法を掛ける。
「すげぇ……ダメージが回復した……」
「あれが魔法か……」
「君!ありがとうな!」
「セイラさん、ありがとう!」
美桜も礼を言う。
「これでオビトを助けて貰った借りは返したからね!」
「うん!」
「テメェら……いくら回復しようが無駄だ!!全員纏めてあの世へ送ってやる……」
そう言ってティラノサウルス怪人は変身を解除し、スカーの姿に戻ると……。
カプセルを取り出した。
「なるほど……まだ切り札があったわね……」
シルニトサウルス怪人も変身を解除しマゼンダの姿に戻る。
「ああ……ゾアギールの細胞から作り出した究極の生物兵器……名付けてゾアキマイラ……」
「ゾア……キマイラ……?あのゾアギールから作りやがったのか……」
「おい、何だそれ?」
「拙者達が以前他のヒーロー達と協力して倒した怪物の事じゃ……」
「多分前より厄介だぜ……」
「フンッ……行け!ゾアキマイラ!!」
スカーはカプセルからゾアキマイラを放出した。
ゾアキマイラは急激に巨大化し姿形を形成して行く。
ゾアキマイラは三つ首の怪物の姿となり周囲に咆哮を轟かせる。
その咆哮は凄まじく、周囲の建物のガラスを割る程だ。
「なんて奴だ……咆哮だけでガラスを割りやがった……」
「ゾアキマイラ……ヒーロー共を皆殺しにしろ……」
そう言ってスカーはその場を立ち去って行く。
「まずい、あいつら不老不死の薬を奪いに行く気だ!」
「王堂さん!行って下さい!!ここは俺達が……」
ビートが王堂に促す。
「くっ……そうだな……誰か行くしかないか……よし、ここは任せた!ブリッランテ、フォルテ、手伝ってくれ!!」
「了解!」
「はい!」
グランディオーソ、ブリッランテ、フォルテの3人はスカー達を追い奏での戦士団本部へ戻る。
「兄さん、戦える?」
「ああ、勿論だ!」
「じゃあ皆に迷惑掛けた分しっかりやってよ!」
「そうだな……行くぜ!!」
来人は『忍装』
月丸に変身し『月光丸』を構える。
「よし……皆行くぞ!!」
クロスセイバーの掛け声でヒーロー達は一斉にゾアキマイラに攻撃を仕掛ける。
その頃、スカー達に不老不死の薬の入手を依頼した大貫十左衛門は……。
「彼らはまだか?」
執事に尋ねる。
「はい、旦那様……流石にそう簡単には入手出来ないのでしょう」
「そうか……私には分かる……私の命は間もなく尽きようとしている……それまでに間に合えばいいが……」
スカー達は奏での戦士団本部を襲撃。
「ミューズ……不老不死の薬を渡せ!!」
「そんな物……あなた達に渡す訳には行きません!!」
「チッ……強情な女神様だ……なら力づくで奪うだけだ……」
ブラウがミューズに襲い掛かる。
「させるか!!」
グランディオーソ達が戻って来てブラウとミューズの間に割って入る。
「グランディオーソ……ブリッランテ!フォルテ!」
「ミューズさん大丈夫ですか?」
「ここは俺達が……」
「チッ……何処までも邪魔な奴らだ……」
外ではビート達が必死にゾアキマイラと戦っていた。
しかし、ゾアキマイラの3つの首がそれぞれの方角からの攻撃を見極め有効打を与えられずにいた。
それどころか反撃を喰らいダメージを受ける。
「ぐあっ!?クソッ……コイツ……強いな……」
月丸が呟く。
「大丈夫か?」
ボイスが月丸に近付く。
「ああ……にしてもあんたらも頑張るね……」
「当然だ……この世界を守る為に戦ってるんだ。そう簡単に負ける訳にはいかない」
ビート、クロスセイバー、星影が同時に攻撃を仕掛ける。
3方向から攻撃を仕掛けるがそれでも攻撃を見切られかわされてしまう。
「クソッ……」
ゾアキマイラの攻撃を受ける星影。
「ぐわっ!?」
星影は『大将軍』から元の姿に戻ってしまった。
「星影さん……」
光姫が星影に駆け寄る。
「くっ……星影……」
月丸も星影に近付く。
「おい、大丈夫か?」
「くっ……これしき……大した事ないで……ござる……」
「待って、今回復するから」
セイラも駆け寄って来て回復魔法を掛ける。
「セイラ殿、かたじけない……」
ゾアキマイラの攻撃を受けるクロスセイバー。
「ぐあっ!?」
クロスセイバーも『ドラゴンフォーム』から元の姿に戻ってしまう。
「オビト!?ダメ……これじゃあ回復が追いつかない……」
そして、ビートもゾアキマイラの攻撃を受ける。
「ぐあっ!?」
「くっ……ビート……」
「おりゃあああ!!」
フェローチェが果敢に攻撃を仕掛けるがゾアキマイラはフェローチェをも弾き飛ばす。
「ぐわっ!?」
「クソッ……我々の援護では役に立たん……」
大谷も援護するがゾアキマイラには全く通じてなかった。
その頃、大貫は……。
車椅子からベッドに移っていた。
「はぁ……待ちくたびれてしまった……少し寝るとしよう……次に目覚めた時には私は不死身だ……」
そう言って大貫はそっと目を瞑る。
「旦那様?旦那様?」
執事が大貫に近寄る。
「旦那様!!旦那様!!」
大貫はこのまま静かに息を引き取った。
激しい戦闘を繰り広げるグランディオーソ達音楽の戦士とスカー達。
だがそこにスカーに連絡が入る。
「ん?何だ?」
「ん?おいおい、戦闘中に電話なんて随分余裕だな」
「……そうか……分かった。……引き上げるぞ……」
「え?兄貴?」
「ちょっと……どうゆうこと?」
「もう不老不死の薬なんざ必要ねぇってこった……これ以上は時間の無駄だ……」
「へ、ヘイ……」
「フッ……勝負はお預けね……」
スカー、ブラウ、マゼンダは姿を消す。
「っておい!逃げる気か!!」
「一体何が?」
「スカーの兄貴、どういう事です?」
「大貫が死んだ……だから必要無くなったんだ」
「え?でも、不老不死の薬を手に入れておけば役に立つんじゃ……」
「フンッ……不老不死なんざくだらねぇ事に興味はねぇよ……」
「くっ……ビート!まだ動けるか……?」
クロスセイバーが尋ねる。
「当たり前だ……俺はまだまだやれるぜ……」
「よし……その粋だ……セイラ!俺とビートに回復魔法を集中してくれ!!」
「え?どうするの?」
「いいから早く!!」
「う、うん……」
セイラはクロスセイバーとビートにそれぞれ回復魔法を掛ける。
「ごめん……私もそろそろ限界……」
「充分だ……ビート、次で決めるぞ……」
「え?ああ……でもどうやって?」
「最後に一発最大の必殺技を叩き込んでやるんだよ……」
「最大の必殺技?」
「何かあるだろ!奥の手が……」
「そうか……クインテットストライクだ!!」
ボイスがアドバイス。
「でもあれ、5人必要だろ……後2人足りない……」
「待って!だったらビートとクロスセイバーに私の残りの魔力を注いで必殺技その物の威力を上げれば……」
「え?そんな事出来るの?」
「うん……でもこれで本当に私の魔力は尽きる……たった1回だけの勝負だよ」
「ビート……この世界はお前達の世界だ……お前達の手で守るんだ!」
「クロスセイバー……分かった!やってやる!!」
セイラはクロスセイバーとビートに魔力を注いで必殺技の威力の底上げをした。
「ごめん……ここまで……」
セイラは魔力を使い果たし倒れる。
「セイラちゃん!」
光姫が倒れるセイラをキャッチ。
「後一撃の勝負だ……行くぞ!!」
「別の世界のヒーローとのデュエットって訳か……面白え!!」
「デュエットか……いいねそれ!」
ビートは必殺技『ロックスターブレイク』を発動。
クロスセイバーは必殺技『クロスラッシュ』を発動。
2人の必殺技が重なりそこにセイラの魔力も加わり最大限の威力を発揮する。
ビートとクロスセイバーの合体技『ヒーローズデュエットストライク』が放たれる。
その威力はゾアキマイラの体をも貫く。
ゾアキマイラはこの攻撃を避け切れずまともに喰らい体が消滅して行く……。
遂にビートとクロスセイバーはゾアキマイラを倒した。
「やったー!」
「よっしゃー!!」
ビートとクロスセイバーはハイタッチ。
「お前、やるなー」
「ああ、でもクロスセイバーのお陰だ」
こうしてビートとクロスセイバー。
2人のヒーローに新たな絆が生まれた。
この戦いから数日後、セイラの魔力の回復を待ち、オビト達は元の世界に帰る事に。
「色々世話になった」
「いや、こっちこそ……」
オビトと茂は硬い握手を交わす。
「今度は是非戦いではなく遊びに来てくれ。俺達の演奏でもてなすぜ?」
と王堂が言う。
「ああ、そうさせて貰う!」
大谷と王堂が握手を交わす。
「さて、私達もやっと元の世界に帰れるね兄さん」
「ああ、皆にには本当に迷惑を掛けて申し訳無かった」
「気にするな。あんたのせいじゃない」
「……ありがとうな彰」
彰と来人も握手を交わす。
こちらにも友情が生まれた様だ。
「では皆さん、お元気で」
「失礼します」
「よし、頼むぜディメンションクリスタル!」
オビトは『ディメンションクリスタル』の力で次元の扉を開く。
「じゃあ茂。お前達の戦いはまだまだこれから大変だろうが、お前と仲間達ならきっと乗り越えられるぜ」
「ああ、ありがとう!」
「それじゃ、さようなら」
オビト、セイラ、大谷、小十郎、来人、美桜は元の世界に帰って行った。
「行ってしまったな……」
「別の世界の戦士に会えるなんて貴重な経験でしたね」
「さっ、皆、気を取り直してご飯にでもしようか!」
「そうですね。俺腹減った〜」
「さぁ、戻ろう戻ろう」
クロスセイバーや星影との絆を胸にビート達は自身の戦いに一層気を引き締める。
その頃、大貫の家では……。
「父さんが……死んだ?」
「はい、先程……」
「不老不死の薬は手に入らなかったのか?」
「ええ、組織の者達からはヒーローに邪魔をされ入手に失敗したと」
「ヒーローだと?ふざけんな……人の父親の命を奪っておいて何がヒーローだ!!組織のスカーとか言う奴を直ぐに呼べ!!ヒーロー共には俺が復讐してやる!!」
−完−
ビート&クロスセイバー〜世界を超えた決戦〜 山ピー @TAKA4414
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます