第7話「決戦の朝」

スカー達との決戦を前に夜、ヒーロー達は作戦を話し合っていた。

「いいか?まずスカーは1番の強敵だ。奴を相手するのは正直大変だ」

大谷が説明。

「ならソイツは俺が行こう」

王堂が名乗りを上げる。

「よし、じゃあ頼むぞ。だが、もう1人位欲しい」

「じゃあ、俺が王堂さんをサポートします」

茂が名乗り出る。

「分かった。スカーは王堂さんと茂君に任せよう」

「次はマゼンダと名乗る女の幹部だ。コイツは毒を使うから注意が必要だ」

「なら、遠距離攻撃が出来る私が行きます」

琴音が名乗り出る。

「俺も遠距離攻撃出来ます」

彰が名乗り出る。

「よし、マゼンダは2人に任せよう」

「待ってくれ!奴とは俺が決着を着ける!!」

オビトが待ったを掛けた。

「オビト君……気持ちは分かるが先の戦いを見て判断した事だ。奴の毒攻撃に対抗するなら遠距離から攻撃が出来る方がいい。君は近接戦闘タイプだからこの戦いには向かない」

「くっ……」

「オビト殿、お主には来人殿を正気に戻す方を手伝って頂きたいでござる」

「小十郎君の言う通りだ。オビト、ここは小十郎君と組み、ダークブライトを……」

「分かったよ……」

「あの……お兄ちゃんを正気に戻す為に私も小十郎さんとオビトさんをサポートします」

美桜が名乗り出る。

「分かった。いいだろう。後はブラウだが……」

「裕二と俺がソイツを引き受けましょう」

新庄が名乗り出る。

裕二も頷く。

「分かりました。ではお願いします。よし、今回確認されてる相手は以上だ。だが、全員強敵だ。気を抜くなよ」

戦士達は戦いへの決意を固める。

「もし、怪我をしたり疲れた時は私に言って。魔法で回復するから」

「魔法?そんな事出来るの?」

茂がセイラに尋ねる。

「うん、だって私魔法使いだもん」

「へぇ〜……異世界なんでもありだな……」


そこへ音曽根とミューズがやって来る。

「さぁさぁ皆さん、明日の戦いに備えて今日はしっかり食べて下さい」

そう言って食事を持ってきた。

「うはっ!美味そうー!!俺、腹減ってたんだ!」

「オビト、少しは遠慮しなさいよ」

「ハハハッ、沢山ありますからどんどん食べて下さい」


ヒーロー達も食事をし束の間の休息を取る。


「うん!美味い!あっ、これも美味い!」

オビトは片っ端から喰らい始める。

「ちょっとオビト!落ち着いて食べなさいよ!!」

セイラが注意する。

「そうでござるよ、誰も取りやしないでござる」

「若いっていいなぁ」

「本当、そうですね」

音曽根と王堂が酒を飲みながら若い戦士達の様子を見ている。

「2人共、明日もあるんだから飲みすぎないで下さいよ?」

彰が2人を諭す。

「ハハハッ、俺らにとっては酒なんてただの水だ。関係ねぇよ」

「ったく……」

「ボイスの言う通りですよ。明日に備えて程々にして下さい」

ミューズが注意。

「はい……」

「わかりましたよ」


楽しい休息はあっと言う間に過ぎ、夜は更けて行く。

そして、決戦の朝が来た。


「フンッ……朝だ。お前ら仕掛けるぞ」

スカーの一言で組織のメンバーが動き出す。

「今度こそ、ミューズから不老不死の薬を奪うんですね」

「ああ……昨日の礼もたっぷりしてな……」

スカー達が奏での戦士団本部に近付いて行く。


「来た!奴ら攻めて来たぞ!!」

新庄が外の防犯カメラの映像からスカー達の襲来を察知。

「ったく、朝っぱらから暇な奴らだなぁ」

「うだうだ言って無いで行くぞ!」

戦士達もスカー達を迎え撃つ。


「ん?……フンッ、来たか……」


スカー達の前にヒーロー達が並び立つ。


「スカー!お前達の野望もここまでだ!不老不死の薬は渡さねぇ!!」

オビトが啖呵を切る。

「ヒーロー共……どこまで俺達の邪魔をすれば気が済む……」

「どこまででもだ!!お前達をぶっ潰すまではなぁ!!」

「お前等、行くぞ」

「ヘイ」

「ええ……」

スカーがティラノサウルス怪人に、ブラウがトリケラトプス怪人に、マゼンダがシルニトサウルス怪人に変身。

ダークブライトも剣を構える。


「全面戦争だな……行くぜ!!」

オビトはクロスセイバーに『変身』

小十郎は星影に『変身』

美桜は光姫に『忍装』

茂達はそれぞれの楽器を呼び『変身』

ヒーローがそれぞれ並び立つ。


「行け、ダークブライト」

スカーの命令でダークブライトが攻撃を仕掛けて来る。

オビト、星影、光姫がダークブライトに挑む。


フォルテとボイスがシルニトサウルス怪人に挑む。

こちらは遠距離攻撃を仕掛ける。

「ぐっ……うっとおしいね……」


ビートとグランディオーソがティラノサウルス怪人に挑む。

だが、ティラノサウルス怪人は手強い。

「くっ……やっぱ強えぇな……」

「昨日の酒、残ってるんじゃないですか?」

「そんな事ねぇよ!見てろ!!」

グランディオーソがティラノサウルス怪人に怒涛の攻撃を仕掛ける。

「ぐあっ!?……チッ……面倒だ……」

ティラノサウルス怪人の反撃を受けグランディオーソとビートが吹き飛ばされる。

「うわっ!?」

「ぐっ……」

フェローチェとブリッランテがトリケラトプス怪人と戦う。

「クソッ……コイツのパワーはヤバいな……」

「長くは持ちませんね……」

星影、クロスセイバー、光姫はダークブライトに挑み続ける。

だが、ダークブライトは3人は容赦なく攻撃を仕掛けて来る。

「きゃっ!?」

光姫がダメージを受ける。

「美桜殿!?くっ……ダークブライト!!いや……来人殿!!拙者は如何に傷付こうが構わん!!しかし、妹君に傷を負わせて兄上として恥ずかしく無いでござるか!?来人殿なら、美桜殿の事を1番に考えるはずでござる!!」

「……。次は誰が傷付く?」

「ダメでござるか……元の来人殿には戻らないでござるか!?」

「おりゃぁぁぁぁっ!!」

クロスセイバーがダークブライトに攻撃を仕掛ける。

「フンッ……くたばれ!!」

ダークブライトがクロスセイバーに攻撃。

「ぐあっ!?」

「クロスセイバー殿!?くっ……来人殿……正気に戻るでござる!!」

星影がダークブライトに攻撃を仕掛ける。

「み……お……」

「ん?まさか……」

星影は戦いの最中、微かに来人の声を聞いた気がした。

「来人殿……はっ!そうか!」

「おい、どうした?」

クロスセイバーが尋ねる。

「オビト殿、来人殿の意識は微かに残っておるようじゃ、何とか来人殿の意識を表に出せれば……」

「ああ……それは分かってる……ん?そうか!星影、奴にダメージを与えて鎧を破壊するんだ!そうしたら意識が戻るかも知れねぇ」

「本当でござるか?」

「ああ、俺の師匠の時もそうだった。試す価値はあると思うぜ!」

「分かったでござる!」

「俺達の持つ最大限の技でダークブライトの鎧をぶっ壊すんだ!!」

「心得た!!」

クロスセイバーは『ドラゴンフォーム』にチェンジ。

星影は『星影−大将軍』にチェンジ。

クロスセイバーは必殺技『ドラゴインフェルノ』を放つ。

星影は必殺技『奥義・流星斬撃』を放つ。

2人の必殺技を受けダークブライトは大ダメージを受ける。

「ぐわぁぁぁぁぁっ!?」

「どうだ?」

「やったでござるか?」


「何っ!?ダークブライト……」

「よそ見してんじゃねぇー!!」

ビートがティラノサウルス怪人を殴り飛ばす。

「ぐはっ!?」

「兄貴……」

「チッ……」


舞い上がった土煙が晴れダークブライトの姿が見えて来た。

クロスセイバーと星影にも緊張が走る。

「ぐっ……」

フラつきながらも何とか立っているダークブライト……。

「お前達……何で?」

見るとダークブライトの仮面は破損し、来人の顔が見えた。

「来人殿!!」

「お兄ちゃん!!」

「小十郎……美桜……それに……お前は?」

「ん?俺はクロスセイバー。良かった正気に戻ったみたいだな」

「俺は……何を?この姿は……?」


「馬鹿な……ダークブライトの鎧が壊れ奴の精神が戻っただと!?」

ティラノサウルス怪人も驚きを隠せない。


ダークブライトの鎧は崩れ始める。

「これは?」

「お兄ちゃん!!」

「うをっ!?」

美桜が来人に抱きつく。

「美桜……」

「お兄ちゃんの馬鹿!!皆に心配掛けて!!」

美桜は来人にボディブロー。

「うっ……お前……な……」

「良かったでござる……良かったでござる……」

星影は号泣している様だ。

「良かった……のか?なんか、感動の再会が台無しだけど……」

クロスセイバーは不思議に思う。


「チッ……こうなったら不老不死の薬だけでも頂くぞ……集まれ」

ティラノサウルス怪人の呼び掛けでシルニトサウルス怪人、トリケラトプス怪人が集まる。

「ヒーロー共……邪魔なテメェらを駆逐してやる……」

ティラノサウルス怪人は最後の手段に出る。


続く……。

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