しまった! 口滑らせたっ……!
「んぐぐ……わたし様拗ねちゃったもんねー!……ちょっと傲慢かもしれないけど? リアルの私だって毎日頑張ってメイクしてるし髪もお洋服も気を付けてるし? そこそこ可愛い方だと思ってるのにー……むー……」
「……ま、こんな事言うと、きっと画面の向こうの君は慌ててフォローしようとしてくれてるんでしょ?……分かってるよ、君は優しいもんね」
「でも! 私はそんな優しさからの『可愛い』じゃなくて、つい君が口走っちゃう『可愛い』が聞きたいんだから……そこで大人しく黙って聞いてなさい!……その為のコメントオフだもーん!」
「……ってか! 今の私は……いやいや、わたし様は! リアルと切り離された存在! インターネットアイドル! 偶像!」
「よし……何とか平常心取り戻せたわぁ……。オタク君達が居ないからって、Vがリアルの自分の話すんな!……ってね」
「んー……でもなぁー、どーしよっか? ちょいと時間余っちゃったけどー……折角の特別配信に、いつもの暇つぶしのゲームとか歌とかでもアレじゃん?」
「かと言ってコメントもオフだしオタク君達も居ないしー? 雑談も勿体ない……でも勿体ないで結局普通の配信よりなんにも出来なくなるのは更に勿体ない……さぁどうしましょうか……」
「んー……」
「……あっ! いーこと思いついた!実はコレ、君にも教えて無かったんだけどー……」
「えーっと……ちょーっと待っててねぇ……」
「……」
「……にゃー、可愛いねぇ、ちょーっと抱っこするからねー?」
「よっ……と。……えー、今私の上にいるのは、うちの猫ちゃんでーす」
「この猫ちゃんがね! 実は……お母さん猫ちゃんになりました! きゃー!!」
「最初はオス猫だと思ってたのに……君、女の子だったんだねぇー?」
「んふふっ……可愛いー♡」
「……にゃーなの? うん……あははっ、眠いかぁー……」
「あー……♡ ふわふわでいやさぇるぅー!! 配信そっちのけで猫ちゃんと戯れたーい!!!」
「ふふーん、君は画面の向こうから指をくわえて見てればいいんだもーん! わたし様のお猫様はモフモフふわふわでかーわいいんだから!」
「ん?……あははっ、ここ撫でられるの気持ちいねー♡……もー、仰向けになっちゃってぇー……そんなに私の事信用してたら、抱き枕にして寝ちゃうぞー??」
「やー、やっぱり猫ちゃんって罪だねぇー。大切な特別配信中でもつい気を取られちゃう程の魅力! 恐ろしいわぁ〜」
「……私もキャラデザに猫耳追加したら、もっと可愛いって言って貰えるのかな……?」
「ん……いや! 今の姿が可愛いって言ってくれるオタク君達も居るからね! わたし様はこのままでバチバチに可愛いんだし、変に猫ちゃんに対抗する事無いもんねー♡」
「……そ! 猫ちゃんは対抗するものじゃなくて仲間につけるもの! 仲間につけて愛でるものなので! わたし様は猫ちゃんにだけは頭が上がらないのですから〜?」
「おっ……猫ちゃんがわたし様の足から降りてっちゃったよ。またねぇ〜……お腹すいたのかなぁ、私もお腹すいてきちゃったなぁー……」
「……仕方ない、確かここら辺に昨日買っておいたポテチが……ん?……えっ?! お、お母さん?! ちょっと……!!」
「あ、あぁー……! 猫ちゃん! 猫ちゃんね!! うんうん! 病院かぁ! い、行ってらっしゃーい!!」
「……」
「っ……ち、違うの! これはっ!! 猫ちゃんに君の名前を付けてたんじゃなくて……ほんとに! ほんとに偶然、おんなじ名前をお母さんが付けちゃっただけでぇ……!!」
「え、あっ……も、もしかしてお母さんの声、聞こえてなかった……? そういえば私のマイク、高性能だから自分の声しか拾わないんだっけ……」
「んもう!! じゃあ私、自分で自分の墓穴掘っちゃったって事じゃん! もぉぉーっ……ばかぁ……!!」
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