ぶっちゃけ〇〇のお陰だよね
「どこ行ったっけ……あ、あったあった」
「これー! 君覚えてるかなぁー?……って、配信だから見えないか」
「えー……今私が画面の向こうで掲げてるのは、二人の思い出の品であり、私……いや、わたし様のありがたぁ〜き初バズに繋がらせてもらった素敵な素敵なお品!……
「もー……ほんと、どこで知ったの? 昔むかしの、CDも一枚しか出してないマイナーすぎるバンドなんてさぁー?」
「……でも、君がどぉーしても探したいって言うから、やっと登録者百人くらいになってきたわたし様のお力を貸してあげようと、ネットの人達に聞いてみた訳」
「『このCD探してま〜す!』って。……まぁ、君が一番覚えてるよね。『いいの?!』って騒ぎつつもすっごく嬉しそうにしちゃってさ」
「んで、それまでまっっったく知らなかったからビックリしたんだけど、ネットの深い所の人達にはこのバンドだ〜いにんきだったのよね。……マジか?! って、あの時は思ったけど、今思うと刺さる人が居て納得の曲だよね、ほんと!」
「……ともかく、そんなマイナーかつ根強い人気のあるバンドの、しかも限定版のCDをどこぞのVTuberもどきが探すもんだから、もうその界隈でバズりまくって時の人」
「『キューエグ探してるV居るんだけど!』……ってさ。あの時は私が好きで探してた訳じゃないからちょっと申し訳なかったけど……今ではめちゃくちゃハマってるし、結局の所は
「まー、そこから界隈の外の人の目にも付いてくれて、ちょこちょこバズりつつ気づけば百万人の大台に乗ってた訳だけども……」
「んでさぁー! アレは流石に凄かったなぁー!!……絶対忘れる訳無いよね、キューエグのボーカルの
「まさか認知されてるとは思ってなかったからドッキドキだったなぁ〜!! あの時は流石に二人で飛び跳ねて騒いだよね!!」
「しかもさ……しかもよ?! 何とVの中でわたし様だけ、キューエグの曲を歌ってみたしたり裏で流したりするのを唯一許された存在なんだよねぇ〜!!!」
「あっ……これってさ、もしもしかすると?! キューエグに一曲書き下ろしして貰える日も遠くないのでは?……と、わたし様は思ってしまう訳ですよ。思い上がりすぎかなぁー?」
「……でもさ、そうなったらめちゃくちゃ凄いよね!……あ、そう! あの時の君の言葉を借りるとすれば……『すっごく凄い』!!!」
「やぁー、キューエグ神! キューエグ最高!!……君に会えて良かったってうちの一つに、キューエグに出会わせてくれたってのもあるくらい、私もわたし様も、どっちもの人生にとってキューエグはたいっせつな存在なので!」
❀
「……っと、ちょっと興奮しすぎちゃった……クールダウンクールダウン。……でも、そう考えると最近の私って、つくづく君に影響されまくってるよねぇ〜」
「V始めたのもバズったのも元を辿れば君のお陰なんだし……あっ、もしかして君ってプロデューサーの才能あったりする?!」
「いやー、そしたら最高だね! さいきょーかわいいわたし様と才能アリのプロデューサー君!!」
「あっ……今更他のVの育成しようったって絶対ダメなんだからね? 君はわたし様に千パーセントの力を込めて、他の子なんて片手間に相手させる隙も与えてあげないんだから!」
「……その代わり、君はわたし様の特等席で、でっかい景色を一緒に見るんだよ。分かってる?」
「まぁ、そのうち私の特等席を見せてあげても……って、あー! これもナシナシ!!!」
「……そもそも君、Vの私……わたし様の事はコメントで可愛いとか大好きとかすぐ言うクセに、私にはそんな事全然言ってくれないし……」
「……あー! はいはい! どうせリアルの私は可愛くないですよーだ!!!」
「もう……バカぁっ!」
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