初配信の思い出語る part2

「えーっと? どこまで話したっけ……あ、そうそう、配信者になりたい! って、君のメッセ見て思ったのね?」


「……でもさ、やっぱりなりたい! でなれる訳じゃ無いじゃん? 世の中そーんなに甘くない訳だしさ」


「そこで!……そこでよ? わたし様は考えました。オーディション行こ!……って」


「まぁ、ここからは君も知ってると思うから手短に話すね。……あの後私の全肯定botになりかけてた君を突然メッセで呼び出してオーディション着いてきて貰って、それで撃沈」


「色々思う事はあったけど……まぁしょうがないかって思って、逆に吹っ切れてたんだけどさ」


「……君のせいなんだよ? メッセで話してたとはいえほぼ初対面のクラスメイトなのに、勿体ない、個人でも配信始めようよって必死に言ってきてさ」


「私だって分かるよ。君みたいな子が私みたいな奴に意見するのって、すっごく勇気のいる事なんでしょ?」


「だから……余計にさ。こう、グッと来ちゃった訳。心の中心のとこにね」


「……まぁ、そこまで言うんならガチで協力しろよ?……って具合で、あれから色々二人で準備したよね。VTuberなのに立ち絵が無くて焦ったりして……今考えると最初は動かない立ち絵と地味な背景とかだけで、でもあの時は絶対成功する! って意気込んでたんだよね」


「それで……やっと初配信」


「百人くらい来たら満足かな〜って思ってたけど、結果は……一人」


「でも私が挫折しなかったのは、その一人がたくさんコメントを打って盛り上げようとしてくれる、とっても大切なリスナー……君だったからなんだよ」


「君のコメントに励まされて、最初はぎこちなかった喋りも段々流暢になってきて、そのまますっごく楽しく話してたら、あっという間に配信終了の時間になってた」


「だから……私が配信の後に残念って気持ちじゃなくて、楽しかった、次もやりたいなって気持ちになれたのは、百パーセント君のお陰なんだ」


「今でもすっごく感謝してるんだよ? 君の誤字ばっかりのコメント……最近はあんまり誤字しなくなったけどさ、時々思い出しては笑ってるもん」


「特に初配信のアレ! 面白かったなぁ……。……君は記憶すらしてないかもだけど、『こん1いちわ』……って。私の初めてのコメントがこれよ? ツボりすぎて泣きそうだったもん。何がこん1わだよ、しかも英数字の半角って……挨拶決める時、これにしようか最後まで迷ってたレベルだからね」


「いやー……楽しかった! うん、今考えても楽しかったとしか言えないくらい、ほんとにほんとに楽しかった!……あっ、今も勿論楽しいんだけどね?」


「ずっとずっと、楽しくここまでやって来れたのは……さ、君のお陰だから」





「……あははっ、何か今日の私、君の事褒めすぎか?! 君は甘やかすと調子に乗るからなぁ……あんまり褒めないようにしてたんだけど、こーゆー話するとつい、なぁ……」


「やー、私だって気恥ずかしいんだよぉ?……でもさ、対面では勿論言えないし、かと言ってオタク君達みーんなが見てる配信でこんな事、さすがに言えないじゃん?」


「まぁ……さ。いい機会って、思ったよ」


「……あーっ!! ほんとにちゃんと聞いてるよね? 流し聞きしてないよね?!……こんなにペラペラ話して聞かれてなかったらめちゃくちゃ恥ずかしい……いや、聞かれてても恥ずかしいんだけどさ……あ、ちゃんと聞いてなかったら後でぶっ潰すから覚悟しててね?」


「……いけないいけない! わたし様は偉くて優しいんだから、そんな事言っちゃいけないよね♡ これは聞かなかった事に……分かるよね?」


「ん……っと、もうこんな時間かぁ……と言っても、まだもうちょいあるし……あっ、そうだ! 思い出話の延長で、私が明確にバズった時の話しない?……あの時はほんと、今でも夢の中みたいだからなぁ……」


「あっ……まさか飽きてなんかないよね? 睡眠bgmにしてる様なら、突然大声出すからね?」


「……もー、冗談だよ。真に受けないでよ? 君はすぐ信じちゃうから心配だなぁー……ま、そんな所も好……」



「……っ、やっぱり今のナシ!!」

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