20 主砲の襲撃

凄まじい轟音が大地を鳴り響かし、それとともに何かが飛来した。

 突貫工事とは言えども植物の骨組みの上に土壁を重ねる二重構造をとった壁がいとも容易く瓦解した。



 その音に気取られることなくすぐさま反応する。

 一人はフランシスコレット。


 「みんな、大丈夫か!」


 すぐさまにあたりを見回す。


 そしてそれぞれが周囲を見渡しながら呼応する。


 「「「大丈夫」だ、」です」


 ユリアとエーリカはすぐさま応急処置を施す。


 着弾した位置はユリアの見ている壁所であった。そしてすぐさまユリアは発射位置を推測する。

 一体どこから打ってきたんだ。しかしてその疑問はすぐに解消された。そこに立っていたのだ。大きな体躯の男が。風貌からしてあの男が攻撃役、もしかしたらリーダーとしての役割もあるかもしれない。そしてその男はどっしりと腰を構えて旗を地面に突き立てていたのだ。


 あの男、いやあの班は杖を守るべき対象として見るのではなく魔法の媒体として使用している。そして後の手に回るよりも攻めを選んだのだ。その旗を握る手といい、その手の元にある体躯は遠めでも大きく見えた。そしてその男を支え、そして旗の左右はおそらく魔法で作ったであろう壁の様な、或いは盾の様なものをその大きな体躯の左右の者たちは持っていた。


 ユリアはすぐさま杖を構えなおす。次は何とか凌ぐ。


 その時その体躯の良い大男が口を開いた。

「アルベール・アーリスだ。私は正面から行くぞ。細かいのは性に合わないのでな。」

 そうして腰を入れて再びその旗の魔法道具を構えてきた。その男の前に光が収束する。そしてまたもやあのナニカが放たれた。


 飛来するとき光の軌跡となって放たれた。またあの衝撃と轟音が、その力がくる。


 ユリアはすぐさま魔力を込める。

 魔力を集めて、圧縮して、押し込む。杖を下に向けたその場所に向かって撃つ。

 

 落ちろ。


 光の軌跡は突如として捻じ曲げられた。その光はユリアの魔法によって地上へとの接吻を果たした。そしてそれと友に周囲の地面も押し下げられて沈んでいく。


フランシスコレットが言う

 「よく止めてくれたユリアさんなんとして動きを止めるぞ。このままでは防戦一方だ」


 そのとき、後ろからハインリヒが杖を構えて攻撃をする。

 「任せて欲しい。」

 赤色のきれいな文字が並び魔法陣が組み立てられていく。

 「……紅きものよ顕現せよ、ファイヤボール」

 杖の先端から紅き閃光が放たれる。そしてそのまま着弾する。

 鳴り響く爆発音、先ほど放たれた壁を破壊したその一撃ほどではないが確実に盾だけでもはがしたであろう一撃であった。着弾した瞬間に土埃が待って確認はできないがそれでも無事ではないだろう。そう思っていた。


 「この俺に削りあいを挑むとは。剛毅なことだな。しかし我らを倒すことはできんよ。」


 土埃がはれてゆく。彼の両翼はいまだに健在であった。そして彼らはこちらに向かい進み始めた。


「主砲を止めようとも、所詮それは一度や二度のこと。我々はとめられない。」


 ジリジリとにじり寄る。そして彼らを警戒しつつユリアは一つのことに気づいてしまった。

 あの三人がくる。いやそれよりも、なんで一人いないんだ?一つの班にあたり四人構成、しかしアタッカーとタンク二人。

 まずい、まだ範囲的にしか重力の魔法は操れない、やばいなぁ。


 そう思った時には遅かった。


「はい、まずは一本。」

 木の上からの強襲、間に合え!

 すぐさま魔力を圧縮して壁を作り上げる。やばい、届くかどうか……



 その一瞬人を押し勝つほどの強風が作りあげられる。防いだのはフランシスコレットであった。


 何とか間に合った。いや、俺のおかげじゃない。ユリアとエーリカのおかげだ。基礎がしっかりとしているし、そしてなにより攻撃に反応してくれている。現にいま吹っ飛ばしたやつが攻撃するであろう所に魔法でもう一段かぶさるように壁を構築してくれている。これならっっっ


 ヅガァンッッッッッ


砲撃により盤石に思えた拠点が揺れる。


 まずいな、正面はあの主砲?巨砲?だか何だかが攻めてくる。だが俺にあれを止められる手段があるかと言えば内に等しい。よけ続けるのも難しいしな。


 そんなことを考えているフランシスコレットの近くの木に息をひそめながら思案している男がいた。先ほど彼らの拠点を襲撃した男、カーリシッセバルファナシスだ。


 なんだよ、想定違うな。アーリスが貫けないことはある程度想定はしていた。がしかしこの襲撃が止めれるとはな。アーリスの旦那の攻撃とほぼ同時に攻撃を仕掛けたはずなのにな。いい読みしているぜあの二人。


 砲撃してきた三人を除くとこの場に居合わせるほぼ全員があの巨体の男アルベールアーリスへと視点が向く。


 ユリアは考えていた。

 あの攻撃に気を取られるとこっちの方も危ない。でもそっちに気を取られすぎると上からの襲撃が来る。さてさて。……決めた。そんな顔つきになるユリアだった。


 単純なことだ。あの野郎を叩いてしまえばいい。守るべき旗を奪ってしまうかあの主砲を撃てない状況にしてあとはあの襲撃やろうをなんとかするだけ。そうとなったら話は早い。


不敵な笑みを浮かべながらアルベール・アーリスに杖を向ける。


 アーリスが口を開ける。

 「ほう、この主砲である私とやりあうというのか。」


 そのときうしろから歩く男がいた。ハインリヒクロフォードだ。


 おいおいこいつ何考えてるんだ?拠点がうえから襲撃されるんだからお前はいないとだめだろう?エーリカさんがあの速さを捉えきれるとは思えないんだがな。


 「あの強烈な主砲は任せてもいいか?まずはあの盾を僕が潰す。」

 

 最初の大人しい態度から一変。落ち着いた態度で言うな。まあ、ここはカッコつけてクールぶっとこう。


 くい、と首を縦に振った。


 またもや主砲が放たれる。私たちを避けてくれるとはお優しいことだ。すぐさま魔法を展開して砲撃を捻じ曲げる。

 

 そしてよこから強い魔力を感じた。なにやらたいそうな出力をしている。

 「落ちろ。」

杖先に光が収束するそして魔法陣の回転が始まり文字の形が分からなくなるあたりでその閃光は放たれた。


 衝撃とともに轟音が出てゆく。かすかにパリンという音が聞こえた気がする。

煙が晴れてゆく。硝煙の奥には煙だらけで盾すら構築できなくなった両翼の二人となにやら魔法を構えていたであろうアルベールアーリスがそこにいた。


 「なんて威力だ。化け物め。」


 そういってすぐさま体制を直す。一切のアクションを逃がさない。退路のほうにハインリヒが向かっている。それにその魔道具はもういただく。すこしアーリスの近くに重力の魔法の効力を出して引き寄せる。


 アーリスの体制が崩れる。そして体制を直し、すぐにもう片方の手に持っていた長い杖を手放す。そして両の手を挙げた。


 「降参だ、これ以上やられてはこれ以降に支障が出る。負けはしたが私の心まで削り切ることはできんよ」


 そういっていつの間にかうしろから息を上げた二人が来た。さっき上から襲ってきたであろう男をつる?のようなものでぐるぐる巻きにしている。


 

 「よくとめてくれたユリアさん」

 そしてその後ろにエーリカさんもいる。

「な、ないすファイトです。私あまり役にたてなくてすいません」


 「そんなことなかったよ、エーリカさん。とても良いサポートだったよ」

 

 まじナイスなフォローだコレット君。 

そう思いながらユリアがしゃべりだす。

 「本当に助かったよ。エーリカさん」


 そんなような歓談を進めながら一時をすごして少し話して息を整えている時にフランシスコレットが別の話題を話し出す。


 「歓談もここくらいにして次の地転に移らないかい?」


 「僕も賛成だ」

 よこからハインリヒが賛成する。そして話し続ける。

 「結構な音が響いていた。」


 呼応するようにフランシスも話し出す。

 「確かに結構な音を先ほどの戦闘で出してしまった。それに今は二つの魔道具を持っている。好機ともとれる。しかし逆に守るべきものが増えているんだ。」


 エーリカさんが話始める。

 「先ほどの様に守っていればいいんですかね?」


 それにフランシスが答える。

 「いや、接敵したときはそれでもいいが今回は移動し続けたい。さっきの戦いは後手に回ってしまった。先に相手を見つけられた場合は問題ないがいつでもそれが出来るとは限らない。だから一旦行動をおこそう。歩くスピードでよいから進みながら考えないかい?」


 みなが目をあわせて同意した。

 
















 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る