第2話

私は12歳になりました。


僕こと、私はエルフの女の子ユリアとして転生したらしい


なぜいきなり現地の言葉が理解できるのか?転生が赤子からじゃないのか気になるし、この中世ではジェンダー平等なんか期待できないからなぁ

不安だがまあ、魔法と拳で黙らせようかな。


転生からある程度動ける様になるまで本当に暇だった。まあある程度動ける様になった今では関係なし。


それに執事のおっさんやメイドさんが本をよく読んでくれた。

魔力の練習も出来たからそこまでやることがなかったわけでもないが。


動けるからといって完全自由な訳でもないらしい。


メイドさんやたまにからお姉さまやお兄様の家の話を聞く限りかなり良い家柄でマナーが必要らしい。


というかそういうものだろう。


まあ生前、旅行に行った時

貴族の家や資料館、博物館に行ったがそういった本や資料などがあったし。


言葉や食事のマナーなどは執事のおっさんこっそり聞いて教えてもらったからそこは問題ない。


なんなら毎日食事の時にそうしてるしね。 



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魔法の本を読んだり、メイドさんに文字や

図形を書くための道具の場所を聞いていたら

何やら外で人が歩く音が聞こえた。


あとベルトや金属の擦れる音、ティータイムには早い様な?


こっそり顔を見出してみると、いつも世話になってる執事のおっさんと兄上二人とお父様が話している。


なんなら弓まであるし。


盗み聞きも良くないので少し聞いてみようか


声を少しだけ低いトーンで

「失礼しますお父様、何か大切な用事がある様ですがなにかお手伝いいたしますか」

12歳の生娘にできることなぞないだろうが


お父様は少し悩んだ顔をしてすぐに

「ユリアこれから紳士の嗜みとしてローマンとノヴァと私で領地の視察と狩りをしに行く。」


「お前も体調が悪くないのなら来なさい」


やっさしーーい


「よろしいのでしょうか?」


「なに、シュバルツ家当主の私がいるのだ安心なさい」

「バードロッド動きやすい服を見繕ってくれ」


そう言っていつもお世話になってる執事のおっさんを指示した。


そうして、男手は狩りの準備

私は服と持ち物の準備をした、動きやすいドレスやワンピース、あとどっかの国の民族服の様な特殊なものを持ってきてくれたが普通にロングブーツとシャツと上着にした。


あと執事のおっさんが持ってきてくれた剣も


「ありがとうバードロッド」


「お気になさらずユリア様。あぁ、それとその剣は私の予備としての建前で積みますのでバイロン当主様がいる前ではあまり触れぬ様」


軽く頷いた。

なんかうちのお父様はどこか私のことを変に思ってる節があるような、なぜだろうか?森や妖精が出てくる様な本をくれるが魔法の本がほしいなぁ。


謎の民族衣装もそうだし

剣より弓を渡してくるし。不思議だ。



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領地でもやはり人が住まないし、道が

ちゃんとしてないところだとやはり獣や魔物が出る様だ。


林が深くなり、森へとなってゆく

なんか、落ち着く気がする、なぜだろうか。


狩り、と言っても、視察の役割もある。

近くの川の水質の調査動物の足跡やフンの形跡、葉っぱの食い残しなどから動物たちの数を調べてゆく。


そしてそれが終わると馬車を止めて、近くの洞窟や

洞穴のような場所への探索に行くらしい。


行きたかったけど流石に危険だし多分邪魔と思われるから

疲れたと言い訳して馬車の中で読書をすることにした。



衛兵の談笑、香りの良い紅茶、そして魔導書。

そんな優雅な読書を決め込んでいたのだが、空気が変わった


衛兵が急に静かになった。

そして若い衛兵が馬車の中に顔を出し


「お嬢様魔物の群れが近づいております故馬車を離れぬようお願いします」


静かに頷いた。


草むらをナニカが移動する音が聞こえる。

茂みから姿を現したのはゴブリンと狼のような見た目の

動物だ。しかし狼というには黒い、魔物だろうか。


「くっ、まずいな、領主様が探索に行った時に入れ違いになってしまったのか....」


衛兵さんたちが焦っている。

数は狼みたいな魔物と合わせて15程だろうか。

流石にこの数はまずい。剣はあるが体格的に厳しいし

やはり魔法である。


衛兵のいない、そして様子を伺ってる魔物どもの場所に魔法陣の向きを合わせて


ズドン


狙った箇所の地面が少し凹み、魔物がひれ伏す


凝った魔法陣は構築しない。しかし

私自身の魔力が謎に多い為少し強い威力となるのだ。


そして馬車から静かに降り

執事のおっさんから待たされた小さいナイフで首元をグサリ。流石にロングソードは

衛兵さんの手柄とりそうだしね


魔法で強化すれば首くらい軽く飛ばせるが

首元を掻っ攫うだけにしてあげよう


そして衛兵に飛びかかりそうなワンちゃんも


ズドン

キャインと可哀想に泣きやがるが

思いきり衛兵の足狙ってたからね




鉄の匂いがする

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