第15話子供が百人できるかな

 おはようございますッ!! いやぁ~清々しい朝ですねっ!! 滝の周辺は霧がかかっており空気が澄んでいるが朝焼けがとても綺麗です。ええ、ええ。


 昨日の晩五分の一程童貞をそつぎょ――いぇ、なんでもないです。でも、もしかしたら……最優秀インターセプターというやつでしょうか? 我が眷属を産み出すのは彼女が一番かもしれません……。いぇ、下品な事を言うとまだ破れては無いのですが……。


 風呂上がりのほかほかの状態であげはちゃんがお広間のソファーでお腹を撫でながら寛いでいたんです。そして女性集団にドヤ顔を盛大に披露していたので急激に空気が凍り付いていました。


 あまりにも居心地が悪かったのでそそくさと自室に籠ってしまいました。ですがなぜか起きた時に衣服が乱れシーツに赤い汚れが結構あったのですが……エクシアさん何か知りませんか? え? 起きないようにスリープモードにしていた……と。密約? 一体なんでしょう密約とは……怖くて聞けません。


 ですが腰が異常に軽いので滝壺のマイナスイオンを感じに来た次第です。


 今日はバリバリ拠点の防衛機能を強化する予定です。それが終わったら色々と彼女達からの要望が上がっていたのでドンドン処理していきましょう。


 拠点は掘削した崖の中にあるのですが緊急時に鋼鉄製のシャッターが降りるように緊急防壁を設置します。しかも二重に。崖上の山には設置していたステルス化装置の他に広域索敵レーダーと普段は地面に隠されていて見えないようにオプティマスキャノンを二十門程設置しましょう。遠慮はいりません、こういう時の為に資源を貯め込んでいたのです。A.A.Sに装備されているライフルよりも高出力で連射性にも優れています。もし、戦闘機から空対地ミサイルや軍用ヘリの機銃の掃射が来てもい一瞬でブチ殺します。上空の通過なら許しますがロックオンアラートがなった瞬間蒸発してもらいます。


 そして直線的なビームだけでは不満でしょう? 広域索敵レーダーと連動して地対空誘導ミサイルランチャーを崖の所々に埋め込みます。なるべく本命の拠点をバレないようにちょっとでも攪乱できれば……と、ある程度距離を開けています。一応、東京湾ぐらいまで射程ですが先制攻撃して核ミサイルをぶっぱされたらたまらないので辞めておきましょう。


 もし――もしね、先制攻撃するなら衛星軌道上から地上を焦土化してやります。それまでは我慢強く研究開発に勤しみましょう。


 機動性を考えるとドローンタイプに調整したオプティマスライフルを二門積んだA.D(アサルト・ドローン)が出撃します。自動攻撃プログラムに拠点防衛用の高性能なAIを積んだので殺意マシマシで人類を殲滅してくれます。エクシアさんの妹分ですねモニター内でアバターを使用してお茶会をしているのを見た時はびっくりしました。


 近接格闘ガチンコスタイル遠距離射撃スナイパースタイルM.A.SマシンアームドスーツH.P.M.SハイパワーマッスルスーツA.A.SアグレッシブアームドスーツA.Dアサルトドローンのシステム制御、プログラム更新を同じ高性能AIに一括で任せていたところ自我が芽生えたようです。


 ちょっと気の強い姉御タイプだったので【ネメシス】の名を送りました。すると――


『カッコいいじゃねーか。気に入ったぜ』


 と、お褒めの言葉を頂きました。エクシアさんと仲がよさそうで何よりです。兵器にせよ装置にしろネーミングは大体フィーリングです。英語圏からすると名称がとってもおかしいかもしれないですがカッコ良ければ何でもいいのです。あれですロボットの名前に【EX-05】とか【可変弐式】とか【TYPE-XO】とか付け足せばなんか特別感が出るでしょう? それです。


 拠点防衛システムはネメシスさんに任せて足りなければ提案を持ってきてくれるそうです。あとは女子集団――【ヴァルキュリアス】ですか? 昨夜、チーム名を決めた方が良いとの事で話し合いをしたそうです。得票数を一番得たのがまりなちゃんが提案した名称が優勝しヴァルキュリアスになったそうです。なんで北欧神話なのかはわかりませんがカッコいいですよね北欧神話。ヘイムダルとかヨルムンガンドとかゴロが。


 A.A.Sの強化改良案は機体の高機動化と装甲強度上昇です。


 推力増幅型イオンスラスターは大気圏内ではそこそこ効果がありましたが単独で大気圏の離脱や高機動型のスラスターが欲しい所です。そ・こ・で、説明が少し長くなってしまいますが……いいですか? ぶっちゃけ――


 ――霊子というオカルトエネルギーようやく見つけちゃいました。


 これがまた応用性の高いエネルギーで夢が広がります。人間の知覚できる世界は三次元。次元保管庫を利用する際の技術が四次元。五次元が“どこにでもあるとともにどこにでもない”つまりパラレルワールド。そして六次元――精神世界といえばいいのでしょうか? そこで異文化の知識のお陰で霊子とエネルギーを解明、操作する事に成功したのですよ。


 東京都で資源回収の際にかっぱらっ――お借りした。神器や呪物と言われるものを解析したところ正負のベクトルは人間の感情や念で色付けされたものでした。


 大本の霊子エネルギー。【イデア】と名称しましょう、これは普遍的に地球や宇宙空間にも存在し次元理論に深く関わって来るものでした。


 それを固定化、圧縮、増幅、ベクトル操作する技術で反発力を利用し推進力に変換する技術で完成したイデアフィールドスラスター。

 

 これはのちのち兵装関連にも応用が効きそうでワクワクしています。


 イデアフィールドを展開する事により空中に立つことも出来ますし地上や宇宙空間関係なしに莫大な推進力を手に入れることが出来たのですッ!!


 ちなみにイデアフィールドの制御するコアはかなり貴重なので(神器、呪物)後で回収(お借り)しましょう。ちょっと……いや、かなり勇気が必要だったのですが霊的物質を分解して俺の身体にも溶け込ませています……。何か、不思議な声が聞こえたり見えてはいけないようなものが見えるようになりました……。


 次は装甲材のお話です。


 新たな合金を作るためにタングステン、チタン合金、セラミック、ウルツァイト、ステンレス等様々な組み合わせや積層化する際の相性だったり、熱や圧力に強く宇宙環境下や極限状況でも劣化しない超合金装甲を作るのにかなり……かな~り苦労しました。


 地球上で普遍的に入手できる素材で限界まで性能を求め開発する事に成功しました……もちろん、対ビーム、対熱、対圧、対宇宙、全ての環境ごとに装甲は切り替えて換装していくものです。 


 もう、数えるのもいやになるくらい強度シミュレーションしましたよ。自身の命綱に成り得ますからね。特殊積層構造の新合金といえばいいのでしょうか? 地球由来の物質を使用しているので【アダマス合金】と名付けましょうか。これから使用頻度は高くなるので末永く頑張って貰いましょう。――あっ、ちなみにアダマス合金を俺の骨格に配合していますので銃弾を撃ち込まれようともはじき返します。


 なぜか丁寧な思考になってしまったがこれが賢者タイムというやつか……でもこういうキャラ作りも意外と楽しいもんだな。スーパーハカセ・ジンベエみたいなハイテンションマッドのキャラを誰か一緒に演じてくれないかね?


 次元保管庫内のA.A.S製造プラントでマニピュレーターを使いながらアダマス合金装甲とイデアフィールドスラスターを内蔵していく。ジェネレーターとしての核融合炉はまだまだ現役で活躍しそうだな。


 スラスターのみを起動させ試運転をして見ると……円環の光輪が推進方向と反対側に展開され外側の光輪が後方へ展開されるほど反発力が生まれた。次元に固定されているためか手で押そうともビクともしない。


 これは……防御フィールドに転換すればミサイルや物理粒子であるビームも防げるのでは……? 核融合炉の出力限界までが推力の限界なのだが縮退炉や別の高出力の動力炉次第では化けそうなエネルギーシステムだな。


 起動実験でデータは入手できたのでシミュレーターで運用データを積み上げるしかないな。現実世界では空を飛べないし。


 そろそろ、大広間でごはんでも食べにいくか。彼女達にA.A.Sの頭部のデザインと来ちゃいの名称をお願いしていたし。何かいい案でもあればいいけどな。



 食堂に辿り着くと料理の良い匂いが漂って来た。これは……赤飯……? なぜ? いや、赤飯は好きなんだがお祝い事でもあったのか? 後はお味噌汁にさばの塩焼きとたまご焼きだな。うん、うまそうだ。


 料理当番の古賀すみかちゃんが料理を皿によそっていく。ツインテールがポイントで背が小さいけれど料理作りにはこだわりがあるらしい。あれ? 赤飯は特定の人間にしかよそわないらしい。ちょっと食べて見たかったんだが……あ、俺にはくれるのね――ありがとう。


 住居内の天井には空間投影モニターシステムが設置されており、建物内ではエクシアさんネメシスさんが仮想映像の状態で生活している。今も味覚データを疑似的に再現し添付された料理を皆と一緒に食べるようだ。味覚の基本データである人間の五味を学びいずれは自動調理の技術を開発する予定だそうな。アミノ酸を主原料としたキューブで様々な料理をフードプリンターで再現する日も近いかもしれない。


 ――頂きます。


 手を合わせて食材とすみかちゃんに感謝する。――うん、美味しい。軽く塩を振ったもち米とあずきの触感が溜まらない。サバの身のホクホクでご飯との相性も抜群だ。たまご焼きは塩分が多いおかずに配慮したのかほんのり甘いたまご焼きとなっていた。味噌は……うん、ほっとする味だ。


 それにしてもさっきから赤飯を配膳された人間。あの四姉妹に……あげはちゃんにひとみちゃん? 六人が揃って頬を染めながらうつむき気味に食事を食べている。機嫌が悪い……訳ではないな。周りの人間もニヤニヤしながらどこか楽しんでいる雰囲気だ。


 女性同士の話題に男が入らないのが吉だ。決して歩き辛そうにしている所を見てへんな妄想をしたわけではない。その妄想通りでは俺が童貞を卒業したみたいでは(※思考に検閲が入りました)――ん? 思考に霞がかかったような……まぁ、いいか。


『(もし、受精卵が出来ていた場合は安全に摘出して保存して置けます。なのでバンバン作ってください。人類繁栄のチャンスです。しかも、遺伝子調整で才能、寿命、容姿共に優れた子が産まれますよ)』


「(……エクシアさん……そのことはしっかりと考えておこう……だが、一応詳しく話を聞いておかねばな……ゲフンッ)」

「(私も家族は一杯欲しいですね……両親は恐らく……あれなので……先生、頑張ります)」

「(ふわー。ちょっと痛かったですけどぉ妊娠して動けなくなったらたいへんかなぁって思ってたんですけどさすが超技術ですねぇ~)」

「(お腹を痛めるのも捨てがたい……けど、戦闘行動も…………むむ)」

「(まさか、一発で当たっとるとはなぁ……エクシアはんのナイス判断やな。竜胆家の血筋も安泰やな……ふふふ……いっぱいいっぱい孕んだるでぇ)」

「(凄かった……ジンベエちゃん意識なくてもガンガンくるんだもん……意識飛んじゃったよぉ……でも、ガツガツされるの好きかも……)」 


『(脈がありそうなヴァルキュリアスのメンバーにも説明してください。デメリットは特にないので選択肢としては悪くないと思いますよ)』


 みんななかがいいなぁ……ごはん美味しい……かゆ……うま……(※思考鈍化処理中)



 ん? 何の話をしていたんだっけか? ああ、そうそう。H.P.M.Sの強化案だ。モバイルターミナルに新作のH.P.M.Sのデザインデータを配布する。


 結晶化した筋繊維の外殻にアダマス合金を配合し、防弾、防刃、防圧、防熱効果の上昇。ヘルメットも硬質化させ宇宙環境下でも生存できるように強化している。これには理由がありA.A.Sのパイロットスーツも兼ねている為だ。


 背部のパッケージ内にはバッテリーに小型のイオンスラスターを内蔵している。コクピットブロックからの落下や宇宙空間内の移動にも使用できるようになっている。


 追加装備のガントレットとグリーブは戦闘行動の補助、指先の爪が伸びてヒートブレードや高周波ブレードを内蔵している。グリーブにも脛にブレードのように刃を形成できるがジャンプ力を上昇させるように小型イオンスラスターと踵にローラーダッシュができる機構を増設している。


 胸部は……残念ながら重要臓器保護の観点からアダマス合金を厚めにカットしたものを熱接着処理している。


 それとガントレットとグリーブはA.A.Sの操縦の際の補助も兼ねているので、用意しているA.A.Sのシミュレーターで試してみると良い。


 戦闘もパイロットスーツも移動する際にも役に立つマルチスーツだ。どうだ、凄いだろう。


 反応が薄いな……目の前で真っ裸になって着替えているのは嬉しいが……いあ、最高の景色を眺めているよ。野暮なことは言うまい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る