名の無きケントゥリオンの物語 (解説)
オタク特有の早口解説タイムに入ります。
「1123年」
ローマ建国紀元。前1世紀頃に「レアテのウァッロ」という人物により推定された建国年の紀元前753年を紀元とします。従ってこれは西暦370年を表します。
「ケントゥリオン」
百人隊長。
「キリキアの門」
現在のトルコ南部・地中海地方にあった要衝地で、とても狭い道になっている所がありました。現在では高速道路が通ってしまい、現存していないようです。
「僭称者プロコピウス」
背教者ユリアヌス帝の従兄弟に当たり、東方正帝を主張してウァレンス帝と対立した人物です。今回の設定では、ウァレンス帝はプロコピウスとの対立の際にキリキアで窮地に陥り、主人公がこれを助けた設定になっています。
「旗持ち(アクィリフェル)」
当時のローマ軍にとって、軍旗を奪われる事は最大の恥辱でした。また軍旗を管理する者が軍の予算などの管理も行っていたので、指揮官を除けば一番重要な立場にある人物です。
「
キケロがウェッレス弾劾演説にて、ウェッレスの違法な私刑行為を弾劾する時に言った、「ローマ市民ならばローマで裁判を受ける権利がある」という意味の言葉「Civis romanus sum」を意訳しました。
「ロームン」「パーシテ」
ローマ・ペルシアの古典ラテン語表記。今回は読み辛さを追求するために古典ラテン語で、世の中的に忌避される「素敵ルビ」を振りまくるという愚行を敢えて犯してみました。私は中国史界隈の人間なので、間違ってたら教えて下さい。
「疑わしきは罰せず、被告人の利益に」
これ、実はラテン語の成句なんですよ。敢えてルビらずに「分かる人には分かる」ようにしてみました。in dubio pro reo(疑わしきは被告人の利益に)です。
「諸王の王」
当時のササン朝ペルシアの君主が名乗っていた称号です。「王の中の王」とも言って、東アジアで言う所の皇帝号に相当します。
「
お気付きの方はお見事ですが、「帝国」なのに「res publica(共和国)」なんです。当時のローマ帝国は、名前だけではありますが共和制を標榜していたので、res publicaという自称を採用してみました。しかし、一般層の読者に向けて「共和国」と言ってしまうと若干の齟齬を生むので、こういった点で変な拘りに昇華させました。
「
「
最後尾で棒を持ちながら部隊を導く
「トイトブルク森でウァルス将軍が3個軍団を消滅させたように」
オクタウィアヌス帝の時代に、ゲルマニア征服を目論んで大失敗した
「
最も重要な軍旗(というか紋章)です。Aquila/Aquiraと書きます。これを持っている人は、紋章と武器で両手が塞がったので、盾の形が他の人とは違ったそうです。書く時にwikipediaで知りました。
「女に振られ、嫌われ」
私の体験談です。最近の私は、優しく接して貰うとすぐに好意を抱いてしまう、本当にどうしようもないクソ野郎なのです。今年も祇園祭は彼女を連れて行けず、彼女居ない歴は年齢と同じまま……あぁつらい。
「
特に成句ではないのですが、ラテン語を使いてぇ……という欲望が溢れた結果、そういえばサムって「私が」みたいな意味だったなぁ……とラテン語翻訳機を叩いて「約束する」の単語を出力して作ったルビです。間違ってたら教えて下さい。
「
本当はこの訳は不適当です。或いは、専門家が見たら「もっと適切な訳があるよ!」と言われてしまうかもしれません。Auxilia(補助兵・翼軍)といい、横に控える軍の事です。重装歩兵は横からの攻撃にめっぽう弱いので、横から守る役が必要なんですよね。
「タキトゥスの警鐘」
タキトゥスは著書『ゲルマニア』でローマの退廃について批判した後、将来的に質素で屈強なゲルマン人に敗れるだろうと警鐘を鳴らしていました。まあバブル時代に「この会社は倒産する」と言っても誰も聞かないように、結局意味を為さなかったのが悲しい事実。
名の無きケントゥリオンの物語 曽我二十六 @Soga26
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます