脱いだ時だけ言える好きだよ

石丸明

脱いだ時だけ言える好きだよ

どくだみの白しめやかに怪しげにずらり路傍で夕立を待つ


君と僕以外はみんな眠ってるルームミラーの中で目が合う


奥底が見えない瞳 本能は警告音を聞いていたのに


脱いだ時だけかけられる好きだよと脱いだ時だけ言える好きだよ


星は手に入らないって知ったから誰とでも寝るフリをしている


傘をさすまではいかない霧雨がずっと降ってるような毎日


僕だけがしゃべり続ける夜君は うん、と静かに微笑んでいる


全身が君の匂いに包まれてでもどうしてかとても一人だ


勘違いさせないように終わったらきちんとそっけなくなる君は


ぐおうんと唸る深夜のランドリー清潔感と閉じこめられて


抱かれてるあいだ目が合うぬいぐるみ君の趣味ではなさげなネズミ


絶対に君からはしてこないキスどれだけスキをみせて待っても


息つぎのような逢瀬の後にまた続く日常波のまにまに


くちびるとくちびるがふれあっただけ遠くで暗いサイレンが鳴る


水音がしてるあいだに服を着てバイバイ夢がついえる前に


こっちから送るばかりの連絡を断てばそのまま絶たれる縁


なんどきも食べれて寝れるこの身体頼もしくってでも恨めしい


一切の痕をつけない人だった指でなぞった身体のどこにも


それだけでいっぱいになるゴミ袋ちゃんとすすいだストロング缶


君なしのひと夜ひと夜を越えていく あとで宣言される梅雨明け

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