第64話 英雄の帰環
エミルが魔力と体力を回復するため休んでいる間、アオバとリリが先程の戦闘について興奮しながら話し、何度も褒められたエミルは終始恥ずかしそうにしていた。
「あの戦闘の光景は忘れられませんよ!エミルさんすごくかっこよかったです!」
「本当にね!あんな速度で動きながらよく正確に関節を狙って攻撃できたよね」
「もうその話はいいでしょ!魔力もある程度回復したしもうここを出よう」
「本当に?無理しなくても良いのよ?」
「本当に大丈夫だよ、それにエランとルルちゃんをハンターギルドに置いてきたんでしょ?早く迎えに行ってあげないと」
三人は治療院を出てハンターギルドへと向かうことにした。
治療費の支払いをしようと受付けに行くと、ハンターギルドから連絡があったらしく治療費を全額出してくれた様だ。
アオバ号に乗りハンターギルドへと到着する、扉を開こうとすると扉の向こう側から騒がしい声が聞こえてきた、何か盛り上がっているみたいだ。
リリが扉を開くとギルド内の全員がアオバ達三人に注目する。
「おお!待ってたぞ!英雄のご帰還だ!」
「あれがシュロカを一人で倒したっていう…」
「超イケメンじゃん!抱いてー!」
「街を守ってくれてありがとうー!」
助けに来てくれた屈強な男の声を合図にギルドにいるハンター達から様々な声をかけられる、エミルは居心地が悪そうに照れている。
「姉ちゃん達!おかえり!」
エランとルルが三人の方へと歩いてくる、何故か手を繋いで。
アオバがルルにこっそり話を聞くと、二人でアオバ号の後ろに乗った時怖くてエランに抱き着いていたらエランもルルのことを意識するようになったらしく、二人は付き合うことになったらしい、吊り橋効果って奴だろうか…結果オーライだ。
「よう、怪我はもう大丈夫みたいだな!」
屈強な男が話しかけてきた、応援を最初に名乗り出た男だ。
「先程は助かりました、ありがとうございます!」
「それはこっちのセリフだ、エミルのおかげで被害は最小限に抑えられたからな!」
「エミルさんとお知り合いですか?」
「そういや自己紹介もまだだったな、俺は『ダン・ビヨテ』だ、二人がここでハンターやってた時に何度か一緒に依頼を受けた仲だ」
「そうだったんですね、アオバといいます」
「アオバか、よろしくな!しかし驚いたよ現場についたら戦っているのは国を出たはずのエミルだし、脱走した魔物はシュロカだし、それにあの水魔法の乗り物もちょっとだけ怖かったし…そういやお前達この国に帰ってきたのか?」
ダンにここに来た経緯を説明すると驚いた顔をした。
「王女様の護衛のハンターって、まさかドフノテコを倒した凄腕のハンターってお前達なのか!?」
ダンの話だと一昨日アムセ王国の兵士がこの街にドフノテコの素材を売りに来た様で、倒したのは護衛として連れてきたアムセ王国のハンターだと言ったらしい。
「お前達本当に強くなったな、機会があればまた一緒に依頼でも受けようや!」
「はい、ありがとうございました!」
ダンと共に来てくれた男達とギルドの職員にも礼を言ってギルドを出ると、次はエランとルルを両親の元へと送り届ける。
今日の内に中央都市シトハムに戻るためついでに二人の両親に別れの挨拶をする、別れ際アオバはエミルの父ラースにも髪の毛をせがまれたが丁重にお断りした。
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