第59話 ガールズトーク

 「私もアオバさんと一緒に寝たい!」

 「ダメ!アオバちゃんは私といつも一緒に寝てるんだから私が一緒に寝るの!」

 「いつも寝てるなら今日は私に譲ってよ!」

 「あらあらアオバちゃん大人気ね、いっそ三人で寝たら良いじゃない」


 ライラの提案で一つのベッドに三人が入る、当然のことだが窮屈だ。

 狭いからとリリがアオバを抱きしめるとズルいと言ってルルもアオバを抱きしめる。

 両側から挟まれて正直暑い、ドサクサに紛れてリリの手がアオバの胸に触れている、微かに指を動かしているのが分かるため恐らくわざとだろう。

 明かりが消され眠る体制が整うがこの状況に眠れないでいるとルルが話しかけてきた。


 「アオバさんはどんな人がタイプなんですか?」

 「ルル、もう寝なさい」

 「良いじゃんちょっとくらい…」


 やはりこの星でもルルくらいの年頃の女の子は恋愛トークが好きな様だ。

 ルルの問いにアオバは真剣に考える。

 地球にいた頃から恋愛に興味がなかった、男性アイドルを見てかっこいいと思うことはあっても、それは恋愛感情では無いと個人的には思う。

 高校生の頃、一度だけ告白されたこともある、相手は特に話したことのない別のクラスの男子、顔は普通過ぎてよく覚えていない、今はそういうことに興味が無いと一言で断った。

 それ以降は特に色恋沙汰の類いは無かったし、特定の異性を意識することも無かった。

 しかし、この星に来てからエミルやリリと共に過ごしてきて、ドキドキして相手を意識する瞬間があった、抱きしめられたり裸を見られたりディープなキスをされたり…

 そこから考えると…


 「私って女性が恋愛対象なのか…?」

 「へ!?」


 思わず漏れた言葉を聞いてリリがガバッと起き上がる、その反応にびっくりしているとリリに問い詰められた。


 「それ本当!?嘘じゃない!?」

 「え、えっと、男性にそういう感情を抱いたことは無いですし、エミルさんやリリさんに対してドキドキしたことがあるので消去法的にそうなのかなと…」

 「私が触ったりキスしたりしても態度が変わらなかったから女性には興味無いのかと思ってたけど…」

 「初日に襲われましたからね、それに比べたらまぁ、どうしても嫌というわけではないので許容範囲かなと…」

 「へぇ〜、実はドキドキしてたんだ」


 リリがニヤニヤと笑っている、その反応にアオバは何だか恥ずかしい気持ちになった。


 「いや、キスとか襲ったとか何してるのお姉ちゃん!?」


 ルルは信じられないといった表情でリリを見ている、そりゃあそんな反応になるよね。


 「襲ったってのはギリギリ未遂だからね!キスはいつもしてるけど…女性同士の恋愛なんて今の時代珍しくもないでしょ!」

 「それはそうだけど未遂とはいえ襲うのは駄目だと思う、きっとエミルお姉ちゃんが止めに入ってくれたんでしょ?」


 流石妹だよくわかってる。

 実の妹からの正論パンチにリリはぐうの音も出なかった。


 「三人共〜そろそろ寝なさい」


 扉の向こうからライラの声が聞こえてくる、うるさくしすぎたようだ。

 素直に寝ることにして三人は目を閉じたがリリだけはモンモンとしてなかなか眠れなかった。


 (アオバちゃんの許可も出たことだしあんなことやこんなことしたいけどルルがいるからな〜、これじゃあ生殺しだよ〜)


 リリは勘違いしているがアオバは許可など出していない。

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