第50話 カミングアウト
三人の視線がアオバに集まり、発言を待っている。
「流石二人の先生ですね、ミラさんの仰る通り私はこの星の人間ではありません」
「「「ええええぇぇぇ!?」」」
「…何でミラさんも驚いてるんですか?」
「いや…確証があった訳でもないし、自分で発言しておいてなんだがあまり本気ではなかったのだが…」
当てずっぽうで正解を当てられたようだ。
「ということは君のいた星では遠くの星に移動する方法があるということかい?」
「いえ、宇宙の管理者によってこの星に転生させてもらったんです」
「先程の日記にもその名前が出てきたね、『管理者』とはどういう存在がなんだい?それに『転生』って、一度死んで生き返ったということかい?」
三人に転生の経緯を説明する、元いた星『地球』で一度死んでしまったこと、管理者によってこの星の環境に合わせた肉体が作られそこにアオバの『魂』を入れてもらったこと、管理者はこの宇宙の外側に存在するらしいということを簡潔に説明した。
「宇宙の外側の存在…魂という概念…地球という知的生命体の住む星…本当に興味深いことばかりだ…」
「恐らくこの日記の人物は一番最初にこの星に送られた地球人なのでしょう、この人の様子を見て二人目以降は服とこの星の言語を理解できるようにしたのかもしれませんね」
最初に着ていた服のデザインが30年程前の古いデザインだったのは二人目の地球人がこの星に送られてきたのが30年程前のことで、そのタイミングで流行っていた服を管理者が用意したのだろう、三人目以後の地球人にも同じ服を与えていたのではないかとアオバは考えた。
「まだ気になる点があるんだが、日記の人物はこの星に来て初めて自分の魔法適性を知ったということは地球には魔法が無いのかい?」
「そうですね、空想上の概念としてはありましたが本当の魔法は無かったです、そもそも魔素がありませんので」
「魔素がない…なるほど、だから日記の人物は食べるものを探していたのか」
「どういうことですか?」
「魔素がないということは体内だけで栄養素を作ることができないのだろう、そうなると必然的に魔物のように他の生物や植物から栄養素を摂取する必要があるはずだ、違うかい?」
「そのとおりですよ、流石ですね」
「なるほど、だからアオバは栄養を摂るためにホノムの実を食べたのか…」
その時には既にこの星では食事が必要ないということを知っていたので単純に甘味の誘惑に負けただけだがそういうことにしておこう。
「ほう、ホノムの実を食べたのか…他には何か食べたのかい?」
「他には何も……あぁそういえばニアマの肉を食べようとしたんですけど吐き出しちゃいましたね」
「「ええ…」」
エミルとリリが引いているように見える。
「ちゃんと火は通しましたよ!」
「アオバ…そういう問題ではないよ…」
「どうして吐いたんだい?地球では他の生物からも栄養を摂っていたんだろう?」
「私もよくわからないんですが飲み込もうとしたら体が拒否した感じですかね」
「ホノムの実を食べた時にはその感じは無かったと?」
「無かったですね…なんでだろ」
「ふむ、恐らくだがニアマの肉に含まれる魔力とアオバくんの体内に流れる魔力が干渉してしまって体内に入れるのを拒んだのかもしれないね、ホノムは植物だから魔力ではなく魔素が含まれていて、拒否反応を起こさず食べることができたんだろう」
魔法が魔物の体内に入ると制御を失うのと似た現象が起きたということだろうか。
ということは…
「魔力を抜くことができれば魔物の肉を食べることができるということですかね?」
「「食べる気なの!?」」
「良いね!実験してみようか!」
ミラだけはノリノリだったがエミルとリリの反応を見るとやめたほうが良さそうだ。
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