第4話 ハンターギルド
ノシム車に乗って芸術の街スプレンに着くと門の近くにあるノシム車を貸し出している店に行き、ノシム車を返却する。
荷台に乗せていた大きな袋をエミルが二つ、リリが一つ持ってハンターギルドへ向かう。
袋の中身は『ズヤ』という魔物の角と魔核と言われる素材らしい。
スプレンの街並みはカラフルで奇抜、植物の緑が街中に散りばめられ、カラフルな建物と調和しており、いたる所で彫刻や綺麗な模様が描かれた布、絵画、ガラス細工など色んな芸術品のお店が立ち並んでいた。
さらに、店舗を持っていない若い芸術家が露天商を開いていて様々なデザインの小物が売っており、流石芸術の街というだけあって見事に芸術品ばかり売っている。
ハンターギルドに向かう道中少し気になったことを質問してみる。
「ノシム車って一回借りるのにいくら必要なんですか?」
「あの店だと2000リコぐらいだな」
「2000リコ…この街の物価が知りたいんですけど、2000リコだとだいたいどんな物が買えるんですか?」
「うーん、初心者ハンターの装備一式とか高級マクラとかかな?」
「あと、ポデルの香水が二本買えるよ!」
ハンターの装備の値段はよくわからないとして何故高級マクラ?高級って付くぐらいだからそれなりの値段はするんだろうけどちょっと分かりづらい。
加えてポデルの香水って何だ?『ポデル』がブランドなのか原材料なのか分からないが高級な香水と捉えて良いのかな?
とりあえず仮定として2000リコ=2万円ぐらいの感じだろうか。
そんなことを考えているとハンターギルドに着いたらしい、門からわりと近いようだ。
外観は石造りの二階建てで、なかなか大きな建物だ。
正面中央に両開きの木のドアがありその上にこの星の文字でハンターギルドと書かれている。
リリがドアを開け二人が中にはいるのに続いて入るとすごく注目を浴びている気がした。
内容までは聞き取れないがヒソヒソと話す声が聞こえ、ジロジロと値踏みするような視線が色んな所から注がれる。
「僕達はあっちのカウンターで依頼の報告をしてくるから先にそっちのカウンターで魔法の適性を調べて来て」
そう言うと一枚のコインを渡してきた。
銀色で表面には複雑な模様が描かれており、中央に50の数字が刻まれている。
おそらく50リコってことだろう。
エミルにお礼を言ってカウンターに向かうとギルドの職員が話しかけてきた。
「ようこそ、ハンター登録ですか?」
「いえ、ここで魔法の適性を調べられると聞いたのですが」
「はい大丈夫ですよ、検査用紙は30リコになります」
職員のお姉さんに先程もらった50リコを渡すと、一枚の紙とニ枚の黄色いコインを手渡された。
「検査用紙の下の方にある円にゆびを置くと魔力が流れ、適正のある属性の模様が光るようになってます」
言われたとおり下の方にある円に指を置くと指先から微かに何かが出ていく感覚を感じる。
すると上の方にある模様が一つ淡く光った、なんとなく水属性っぽいデザインだ。
確認のため職員のお姉さんにも見せる。
「これで良いですか?」
「確認しますね、えーっと適正は水とー……えっ水だけ?」
「何か変な結果出ました?」
「い、いえ、普通二つは適性があるものなので驚いただけです、私は初めて見ましたがそういう人もいると聞いたことはありますので、えっと、頑張って下さい!」
励まされてしまった、転生前の体のDNAを使って作られた体らしいからこの星の人とは違ったところが出てくるのだろう。
「ありがとうございます、水属性におすすめの仕事とかってあります?」
「水属性は戦闘以外ならどこでも需要がありますよ!ですが我々ギルドとしては最近不足しているサポーターをやってほしいというのが本音ですね」
「サポーター?どんな仕事なんですか?」
「他のハンターの荷物持ちや素材の洗浄等など、いわゆる水魔法を使った雑用全般が仕事になります」
「荷物持ち…私そんなに体力に自信ないですよ…」
「大丈夫です!荷物は水魔法で板を作ってそれに乗せて運べば重さなんて感じませんから、まぁ重量の分だけ魔力は消費しますが」
水の板の強度はどんなものなのか、荷物が濡れたりしないのか、魔力の消費量は、分からない事が多いがとりあえず魔法を使ってみてどの程度のことができるのか確認しておかないと。
「分かりました、一応知り合いに話を聞いてからでも大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
エミル達に相談してから決めようと思い二人が向かったカウンターに目を向けると、丁度二人がこちらに向かって歩いてくるところだった。
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