第10話黒ずくめとゴブリン

「さて、やるしかないぞ……俺!」

今俺の目の前にはいろんな所から引き連れてきたのか50を優に超えるゴブリン達がいた。

「魔力はもう切れかけ……ならやることは1つだな!」

「身体強化!」

俺は体を強化しひたすらに敵の攻撃を凌いだ。

50対1とはいえ一気にかかってくるのは難しい為何とか凌げていた。

しかし……

「グギャッ!」

一体のゴブリンの放った矢が俺の足を貫く。

「ガッ! アァァァァァ!」

思わず叫ぶ。

そんな隙を見逃さず襲い来るゴブリン。

俺の剣は間に合わず……

《エアウォーク!》

魔力を消費し何とか離脱。

しかしもう既に満身創痍の俺に対し地道に削ったがまだゴブリンは30体はいた。

「仕方ないか。職業切り替え! 騎士!」

スキル獲得

→・剣術Lv.1→剣術Lv.2

→・盾術Lv.1

→・騎士の心得Lv._


「よし!剣術のレベルが上がった!

騎士の心得ってのはなんだ……?」

鑑定しようと思ったがゴブリンがそれを許さない。

「ゲギャ!」

しかし剣術のレベルが上がった俺は何とか対処をする。

そうこうしているうちに……


「助けに来ましたよ! トウマさん!」

ヒナノの呼んだ援軍が到着したみたいだ。

「ヒナノか! 助かる!」

「冬馬!大丈夫?!」

そしてそこには葵もいた。

なぜ葵が居るのか、少し疑問が残るがとにかく今はここを脱する事が優先と考え一旦疑問を無視する。

「すまん! もう魔法が使えそうにない! 誰か変わってくれ!」

俺は回復のため変わってもらおうとした……

しかしその時には既に終わっていた。

「この程度の数ならなんの問題もないな」

謎のおっさんがゴブリンを切り伏せていた。

「アレクさん!」

「アレク殿強すぎでござる!」

「これは凄いな……お前は何者なんだ?」

俺が問いかけると堂々とした立ち姿でその男は答えた。

「俺は国王直属の近衛騎士団団長にして炎の守護者! アレクと呼べ!」

その姿は思わず息を飲むほど覇気に溢れていた。




《シント視点》

俺が前川を見つけると黒ずくめの男が前川の首を掴んでいた。

「お前は……? 何者なんだ!」

「あ? お前達は知る必要ねえ、よっ! と」

黒ずくめの男がいきなり襲いかかってくる。

しかしそれに俺より先に反応したブタオがオーガを召喚する。

しかしオーガとブタオは男の一撃で爆発四散した。

「……お前の目的はなんなんだ!」

俺が問いかけると男はこちらを嘲笑いながら答えた。

「いやな?ウチも人材不足なんだわ、最近勇者も召喚されて特にな。

で、闇適正とかいうレアな属性でこっち側につけれそうなやつがいるから勧誘に来ただけだ」

「属性だけで何故お前達側につくと?」

「あー? 知らねえのかお前ら。

魔法はそいつの心を映す。

つまり悪い心の持ち主は闇に目覚めやすいんだよ」

「なるほどな……」

「ん?お前もレア属性だな、雷か……まあついでだ! そこのガリガリ野郎だけ殺してお前らは連れて帰る!」

ガリタが狙われる。

しかしステータスは高いガリタは反応して居たのだろう。

腕が動く。

しかし間に合わずガリタは吹き飛んだ。

その無事を確認する間もなく俺は腹部に激痛を感じそのまま意識が落ちていく……





《前川美紀視点》

いきなりなんなのよ!

変な男に襲われたと思ったら人が死ぬし!

……あっ!そういえば私のギフトに魔物召喚があるじゃない!

「出てこいアイアンゴーレム! 私を守りなさい!」

鉄の塊が出てくる。

これで勝てる!

そう思ったが……

「あー、攻撃の時に手を離しちまったか。

まあいい、おら、無駄な抵抗はやめろ〜。

別にお前を殺す気はねえんだからよ」

「信じられるわけないじゃない!」

「あー分かった分かった。

なら一旦眠っとけ!」

「ひぃ!」

死ぬ!

そう思った。

しかしなんとかアイアンゴーレムが間に合った。

「い、いいわよ! よく防いだわ! そのまま私を守りなさい!」

「……リョウカイシマシタ」

「はあ、アイアンゴーレムか。

無駄に硬いやつを連れてきやがって」

しかし抵抗も虚しく男の一振でアイアンゴーレムの核が破壊されそのまま消えた。

「ひっ! こ、来ないで!」

「だから、俺はスカウトに来ただけだ!」

「え……?」

「お前の闇属性が欲しい。

そいつを更に増幅させて俺たちの役に立て。

そしたら殺さない、わかったか?」

「は、はい!」

そして私と梅田を担ぐと何か黒い渦のようなものを作り入っていく。

これからどうなるのかという不安で私はいっぱいだった。

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