📜聖モニカ学院講義ノート 犯罪学入門📜

猫川 怜

犯罪学入門1回目


1. 犯罪の定義

 犯罪とは構成要件に該当し違法かつ有責な行為をいう

(1) 構成要件

  cf刑法199条 人を殺したる者は……

  この人を殺すという行為が構成要件該当事実となる。刑法典はいわば犯罪のカタログでありどのようなことをしたら犯罪になるかが書かれている。


(2) 違法性

さて次に違法性であるが、これは次の2つの事例を参考にしていただきたい。

Eg1殴りかかって来たAに対してBはカウンターでAを殴り倒した。

Eg2暴漢に襲われそうになって逃げていたA女はBを突き飛ばして逃げた。

この2つの事例が典型的な違法性阻却事由となる。

1の場合は正当防衛が成立する(最もやり過ぎた場合は過剰防衛となる可能性も出てくるが)

2の場合は緊急避難となりこれも違法性阻却事由となり1の場合もそうであるが、違法性が阻却される可能性が高くなる。


(3) 有責

これは責任能力の有無の問題となる。

Eg小学1年生であるAが母B女を殺害した。

この場合小学1年生であるAに責任能力はないわけであるし刑事未成年である。Aに刑事責任を問うことは酷であろう。


また、精神的な病い等において事理弁識能力のない者も責任能力がないとされる。


(4) まとめ

この構成要件該当、違法、有責3つのハードルを全てクリアして犯罪は成立するのである。


犯罪のカタログに該当するコトを行い、それが違法性があり本人に責任能力がある。

この3つの段階が全て揃って犯罪は成立するのである


2. 罪刑法定主義と適正手続の保障

日本では大陸法から持ち込まれた「罪刑法定主義」と英米法から持ち込まれた「適正手続の保障」と2つの制度が運用されている。


(1)罪刑法定主義

罪刑法定主義は先ほども書いたように「犯罪のカタログ」に何をやったらどのような「罰」を受けるか明確に書いておかなければならない制度をいう。

特にフランスやドイツなどがこの制度を使っている。

(2)適正手続の保障

次に適正手続の保障だが、これは戦後日本国憲法が英米法の影響を強く受けたことにより入ってきた制度で、海外の映画やドラマで権利の読み上げ「君には黙秘権があり、弁護人を依頼する権利がある」と犯人を逮捕した警察官等が権利を読み上げたりするシーンを見たことのある人も多いと思うんですが、簡単にいうと刑罰を科すためには厳格な手続きによらなければ刑罰を科すことができないといった。制度である。


3. まとめ

さて、今回は犯罪や刑事法の基礎についてお話ししまし。

刑法や刑事訴訟法にも少しずつ触れながら刑事政策学や犯罪社会学について学んでいくことできたらと思います。

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