第32話 日輪の勇者

 「持つべきものは友でござるなあ♪」

 「ああ、皆マジで来てくれてありがとうな♪」

 「ヒナタ様の花道が整いますわ♪」


 窮地を覚悟するも、仲間達の加勢により仕切り直しとなった決戦。


 『敵が増えた所で、数はこちらが上です』


 デジマザーは、ヒナタ達に増援が来ても自軍の方が数では上だと揺るがない。


 「はっ♪ 美少女ご当地ヒーローサクラちゃん、なめんなです♪」

 「サクラちゃん、調子に乗ったらだめだよ!」

 「はいはい、チャトラ君は黙って自分に手を貸すっすよ♪」

 「ヒナタ先輩、助けて下さい~!」


 巨大なピンクの海豚ロボと言うサクラ。


 巨大な緑の蛙ロボのチャトラと連携を取り、迫り来る敵兵力を叩いて行く。


 「東の連中は相変わらずだな、俺達も合体するぞ!」


 チーム西のリーダー、黒蛇のロボを操る黒き装甲の戦士リンドウが叫ぶ。


 「ええよ~♪」


 緑の亀ロボの中で、、亀を模した緑の装甲のアユミが了解する。


 「おう、見せてやるぜ♪」


 白虎ロボを操るトラゾウも承諾。


 「トラゾウさん、暑苦しいですが了解です」


 茶色い鹿のロボを操るシカメ。


 迫り来る敵をロボの角から放つ電撃で倒しつつ、リンドウの言葉に従う。


 「リンドウ君も、調子に乗らないでね?」


 白い狐ロボを操るヨシノは、了解しつつもリーダーであるリンドウを心配する。


 蛇、虎、亀、鹿、狐の五体のロボが一つになり人型の巨人となる。


 チーム西の合体具足、トラゾウの白虎ロボをコアにした西方浄土さいほうじょうどが牙を剥く。


 「チヨちゃんええな~? ヒナちゃんのロボと合体したかったわ~!」

 「アユミ、それは俺もだ。 火の鳥はロマンだからな♪」

 「お前達、文句を言わず戦え!」

 「リンドウさん、普段から真面目に振舞ってくれれば良いのに?」

 「リンドウ君、真面目に中二病キャラしてくれてるのよ」


 西方浄土もグダグダと中で言い合い、宇宙を駆け回り敵の雑兵を蹴散らす。


 「西も合体したね、チーム北も行くよ♪」


 白馬型のロボを操る馬の装甲の戦士、コマが仲間達に通信を入れる。


 「おう、東だけにいい顔はさせねえ♪」


 赤い熊型のロボを操るトモコがコックピット内で胸を叩く。


 「西の鹿にも負けたくない」


 白い鹿ロボを操るユキ。


 彼女は西の鹿の戦士であるシカメに、ライバル心を抱いていた。

 

 「天の川も逆上して見せます!」


 ピンクの鮭型ロボを操る、チエはやる気十分だ。


 「皆さん、真面目に行きましょう」


 黄色い羊ロボ操るサオリが冷静に告げる。


 馬、熊、鹿、羊、鮭と動物ロボで馳せ参じたチーム北。


 「よ~し、チーム北も合体だよ♪」


 コマが音頭を取り、散開して敵を倒していた北の動物ロボ達も集結。


 人型のロボへと合体する。


 頭は馬の兜を被り、胴体は熊の頭。


 右腕は鮭、左右の足は羊と鹿の頭とこちらもキメラ感が半端ないロボ。


 その名も北天号ほくてんごうが誕生した。


 「南の奴らも合体したわね、私達も合体よ♪」


 白兎ロボを操り、ミサイルの弾幕で敵ロボットの一群を撃破したタマミ。


 「了解しました、皆で力を合わせましょう♪」


 赤い牛ロボットを操るトヨコが、ロボの角から真紅の熱光線を発射して敵の小型円盤を爆散させながらタマミのロボへと合体しに向かう。


 「馬力なら北にも、負けとらんよ!」


 緑色の馬型ロボを操るセンリも、機体を暴れ回らせて敵群を蹴散らしながら合体するべく味方の元に向かう。


 「はい~♪ 私も全力全開ですよ~♪」


 金色の龍型ロボを操り、ロボの口からビームを出して戦いながらステラも集う。


 「ほいっ! せやっ! 皆でやっつけるさ~♪」


 オレンジ色のシーサーロボを操るマヤも、頭突きや蹴りで敵ロボットと格闘して撃破しながらチームの仲間の元へと集う。


 頭部は兎、胴体は牛、馬は右腕、シーサーは左腕、足は龍。


 「「完成、南海帝王なんかいていおうっ!」」


 チーム南のスーパーロボット、南海帝王なんかいていおうが宇宙に降臨した。


 『未知の特機が増えた? イレギュラーは排除します』


 デジスター内でマザーが冷静に呟き、両腕の前腕部からビームを乱射する。


 「そうはさせねえよ♪ 即興技の、ファイヤーウィングだ!」

 「流石、ヒナタ様♪ 私達も負けてられませんわね♪」

 「貴殿のお相手は、拙者達でござる!」


 主役は俺達だと、ヒナタがメインで操る焔天が背中から巨大な炎の翼を噴き出して仲間達だけではなく周囲の空間も敵の攻撃から守る。


 「流石はヒナちゃん、優しいわ~♪」

 「心に愛、流石だぜマイフレンド♪」

 「いや、えげつない火力ですよあの技?」

 「攻撃にも転用できるわね、あれ?」

 「何はともあれ、北と南と共に結界を張るぞ!」


 西方浄土内でリンドウが叫び、北天号と南海帝王に連絡し散開する。


 「サクラちゃん、僕らも先輩と合体しよう!」

 「え、あそこに割り込むっすか?」

 「最も危険な場所が一番安全だからね」

 「前後どっち向きの度胸っすか? やってやるっすよ!」


 チャトラとサクラの機体が、ヒナタ達の焔天へと突進。


 チャトラの機体が左足、サクラの機体が右足の追加パーツになる。


 「先輩方、お待たせしました!」

 「パイセン達、お邪魔しまっす!」


 チャトラとサクラもヒナタ達のコクピットに合流する。


 「おお、お二人共良くぞ参られた♪」

 「最前線へようこそですわ♪」

 「二人が来たか、これでパワーも五倍だぜ♪」


 チャトラ達を歓迎するヒナタ達。


 チーム東の全員が合体したと同時に、巨大な注連縄が焔天とデジスター達敵の群れを囲むように張られて宇宙空間に巨大な三角形のリングが出来た。


 「ヒナちゃん、リングは作ってやったぞ。 さっさと決めてくれ」

 「やっほ~♪ ヒナタ君達は頑張ってね♪」

 「ツルコ様、止めはお譲りいたします♪」


 仲間達の機体からヒナタ隊へ、リンドウ、コマ、トヨコから通信が入る。


 「いや、西の皆全員俺の事ヒナちゃん呼びかよ!」

 

 ヒナタがリンドウにツッコんだ。


 『通信もユニット達とのリンクも遮断、空間が閉じられた?』


 マザーが混乱する、自分の世界から増援は呼べない。


 「さあヒナタ殿、いざ決着の時でござる♪」

 「他のチームの皆さんが結界を張ってくれたおかげで、きっちりいけますわ♪」

 「ヒナパイセン、ブチギレヘルファイヤーでおねがいしまっす!」

 「後顧の憂いは断てましたね♪」

 「よっし、皆の力を借りるぜ!」


 五体合体で二人分のパワーが追加された焔天が燃え上がり、更に巨大化。


 デジスターに引けを取らぬ炎の巨人と化した焔天に、敵が襲い掛かる。


 「パンチに腰が入ってないぜ、お返しだ♪」


 相手の拳を巨大な炎の手で受け止め、殴り返し打ち砕くもデジスターは再生した。


 「無駄でござる、結界に閉じ込められた以上、無限の再生など不可能」

 「この世界に、貴方に食べさせる資源はありませんわ♪」

 「チヨパイセン、鬼姑みたいな事言いますね」

 「再生ができないなら、こっちの勝ちです♪」

 「良し、相手の本体の魂も掴んだ♪」


 仲間達が勝利を確信する中、ヒナタも瞳を光らせてデジマザーの魂を見つける


 「こいつで止めだ! 炎を越え光となり、その魂を清めん! 転生来光撃てんせいらいこうげきっ!」

 「ヒナタ殿と神々の慈悲を受けよ!」

 「強制的に生まれ変わっていただきますわ♪」

 「この世界で、赤ちゃんからやり直すっす♪」

 「痛みとかはありませんので、新たに旅立って下さい!」


 炎の巨人が手足を伸ばして大の字になれば、光の鳥へと変形し突撃する。


 残存兵力諸共結界に閉じ込められたデジスター。


 避ける事も防御する事も出来ず、金色の光に飲み込まれたのであった。


 「綺麗であったかい光やね~♪」


 西方浄土の中でアユミが呟く。


 「何か、結界張ってるけど大丈夫なのかな?」


 北天号の中でコマは、自分達も転生させられるのではないかと不安になった。


 「見て、あのデカい敵が消えたわ!」


 南海帝王の中でタマミが敵の消失に気が付き叫ぶ。


 敵が消えて、残っているのヒナタ達の焔天のみ。


 纏獣者達の勝利で闘いの幕は閉じたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る