第31話 焔天、燃ゆる!
宇宙へと放り出されたヒナタ達の三位一体具足・陸轟。
彼らの目の前で、巨大な人口惑星が変形を始める。
「むむっ! 変形でござるか? ならばまた拙者の貫薙で!」
「ツルコ様、そろそろヒナタ様が大暴れする頃合いかと思われますの」
「……来た、来た、来た! うおおお。日光が染みる~~っ♪」
「おおっ! ヒナタ殿が元気になったでござる!」
「あれが敵だな? 宇宙なら誰にも迷惑が掛からないな二人共?」
ヒナタが仲間達に確認を取る。
「な、何やら拙者達も元気が湧いてきたでござる♪」
「ここは宇宙、太陽がおわす場所♪ ヒナタ様、どうぞ♪」
「おっし、出番だ♪
太陽の光と熱を超高速で吸い込み、陸轟から焔天へと変形する三位一体具足。
変形するデジスターから円盤の群れが、本拠地を守ろうと出撃して来る。
円盤の群れから雨の如く撃ち込まれる光線、だが焔天は避けず仁王立ちで受ける。
「よ、避けなくて良いのでござるか?」
「ツルコ様、ご安心下さいませ♪」
チヨコが敵の攻撃に慌てたツルコを宥める。
「……おろ? 衝撃も何も来ないでござるな?」
普通なら、爆散物の攻撃を受けても平気な事に驚くツルコ。
「うん、おやつにもならねえな♪ もっとだ、もっと食わせろ♪」
普段とは違い、ハイテンションになったヒナタが元気に叫ぶ。
焔天は無傷であった。
「マザー、敵にビームが効きません!」
「自立判断、敵の巨大ロボに対してミサイル攻撃に移行します!」
「光子魚雷も撃っちゃえ~~~っ!」
ビームが駄目ならミサイルや光子魚雷だと、円盤のパイロットであるアンドロイド少女達は判断して焔天を攻撃する。
「もしや、ビームや炎の類を吸収してるのでござるか?」
「はい、敵は私達にタダでご飯をくれている事に気付いておりませんのタダ
「そう言う事、この焔天にとっちゃビームもミサイルも美味い飯♪」
だが、焔天は無傷であった。
自分達の攻撃が効かない事で、フリーズする円盤の群れ。
「ご馳走様でしたってな、お返しだ!」
ヒナタが柏手を打てば、焔天の両腕から巨大な炎の手が生まれ円盤の群れを全て叩き潰して爆散させる。
「おおっ♪ やったでござる♪」
「ヒナタ様、流石ですわ♪」
「皆のお陰だ、次に行こうぜ♪」
ヒナタが仲間達に答えた瞬間、焔天はデジスターから伸びて来た拳を受けて隕石群へと叩きつけられた。
「ぐはっ!」
「来たでござるなっ!」
「ううっ、うっかりですわ」
ぶつけられた衝撃を受けるも、何とか無事な三人と焔天。
焔天よりも巨大な人型のロボと化したデジスターが宇宙に立っていた。
その姿は、全身が四角く角ばった黒い悪のスーパーロボット。
ロボット形態のデジスターのツインアイが、赤い光を灯す。
『愚かな有機生命体よ、降伏して我らと同化せよ』
デジスターからマザーが焔天に向かい、テレパシーで語りかけてくる。
「誰が愚かだ馬鹿野郎! 他所の世界荒らしに来たお前らの方が愚かだ!」
「害意を持って外から来た害来者は許しません!」
「我らが世界の行く末は、我らが決める!」
ヒナタ達の答えは断固拒否、この世界に生きる命として侵略者は絶対に許さない。
『では、あなたたちからデリートします』
ビームが効かないと知ったマザーは、デジスターの巨大な拳をぶつけに行く。
「チヨコ、茶釜で殴るぜ♪」
「はい、お任せあれ♪」
「夫婦ぶりが流石でござるな」
中でやり取りしつつ、外では焔天が巨大な金の茶釜をスイングさせて叩きつけた。
巨大茶釜の一撃で、デジスターの拳が弾ける。
「お次はツルちゃん、でっかい氷頼むぜ♪」
「承知、頭を冷やすでござる!」
「三人で、いっしょにどっせいですわ♪」
続いてはツルコの力で、相手の拳並みの氷塊を瞬時に作り出して放り投げる。
『何と言う不条理、こんな力が有機生命体にあるなど!』
他世界にも侵略の手を伸ばしているマザーは、想定外の事態に困惑した。
「ふっふふ、我らの変幻自在の先方に困惑してるでござるよ♪」
「何処の世界でも、機械は想定外の使い方をすれば壊れますからね♪」
「俺達の世界で、異世界チートできると思うなよ♪」
「ヒナタ殿を含め、我ら原住民チートを受けて見よでござる♪」
「ヒナタ様、どんどん行きましょう♪」
原住民パワーで、異世界チートに立ち向かうヒナタ達の焔天。
だが、デジスターもただではやられずと周囲の隕石を取り込んで再生を始める。
「いかんでござる、ヒナタ殿! 他の星に奴らの手が!」
ツルコがデジスターから円盤が放たれ、近くの惑星に向かうのを見つける。
「ヒナタ様、この宇宙の他の星もお助けせねばいけませんわ!」
「ああ、お天道様は宇宙全体を照らす神。 他の星もこの宇宙の仲間だ、助けるぜ!」
「宇宙との未来の友好の為に!」
焔天が、近くの緑色の星を救うべく動きデジスターから目を離してしまう。
『それがあなた達の弱点です』
デジスターが敵の隙を見逃すはずはなく、ミサイルサイズの質量弾をバルカンのように射出する。
「ぐわ~~~っ!」
「お、おのれっ!」
「ゆ、許せませんわ!」
横っ面を殴られて焔天の中で倒れ込むヒナタ達、三人は急ぎ自分達の神馬に跨る。
宇宙では守る範囲が広すぎる、自分達の使命がヒナタ達の足かせとなっていた。
「だけどさ、見捨てるなんてできねえよな?」
「そうでござる、我らが他者を見捨てれば終わりでござる」
「犠牲を出してヨロズハラを守っても、守った事になりませんわ!」
ヒナタ達を動かすのは、命への愛と世界の守護者の一員であるというプライド。
出て来た円盤群を全て爆散させつつ、再度デジスターに向き合う焔天。
『愚かです、そのような感情こそが使命の妨げになると言うのに』
ヒナタ達を愚かと断じるデジマザー、相容れる事は不可能。
デジマザーは、宇宙空間を揺らして穴をあけ増援を呼び出した。
『座標設定は完了しています、数では私達が優勢です』
虚空からデジスターの背後に現れた、無数の美少女風巨大ロボットの群れ。
「敵が増えたか、だがなあそれだけで俺の怒りが止まると思うな!」
「拙者達もヒナタ殿に命を預け申す!」
「ヒナタ様、ブツギレヘルファイヤーですわ!」
焔天の中、ヒナタ達が決死の覚悟を決めた時。
「ヒナちゃん、あかんで~~~っ!」
「パイセン達、お待たせしました~っ♪」
「ツルコさん、加勢いたします!」
「おいおい東の~♪ 私達の分も敵を残しておけよ~♪」
ヒナタ達が守ると決めた青き星、ヨロズハラから光と共に巨大な霊獣ロボの群れが駆けつけた。
アユミが操る巨大な緑色の亀ロボットが口を開けて焔天へと放水して、パイロットの含めて傷を癒す。
「皆さん、どうしてこちらへ?」
「おお、お味方でござる♪」
「マジか? いや、助かったがあっちは大丈夫なのか?」
予想もしていなかった味方の登場に、困惑するヒナタ。
焔天の中に無数の球体が出現し仲間達の姿を映す。
「先輩、大丈夫ですか? あっちは、年配の皆さんにお任せして来ました」
「サクラちゃん達も、別口の怪人達とバトってましたけど回されました♪」
同じ東の寄合所の後輩、チャトラとサクラが告げる。
「ヒナちゃ~~~ん! 暴走して死んだらあかんよ~~~っ!」
別の球体からは変身したアユミが号泣しながら叫んだ。
「マイフレンドヒナちゃん、助けに来たぜ♪」
トラゾウも通信を入れて来る。
「アユミ様にトラゾウ様、ヒナタ様に熱い思いを注いで良いのは私だけですわ!」
「チヨコ、あんた相変わらずヤンデレね?」
タマミも通信を入れつつ、チヨコに対して呆れた。
「おっしゃ、それじゃあ皆の衆♪ 背中と脇は預けたぜ♪」
ヒナタが仲間達に叫ぶと任せろと返事が返る。
若手ヒーローチームが集い、決戦は第二ラウンドに突入した。
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