第6話 クロナの才能

入学式後、俺たち学園生は教師陣の指示に従いそれぞれのクラスに分かれて指定された席についていた。



どうやら担任の教師が来るまでしばらく待たされるらしい。なので仕方なく俺は隣の席に座っているクロナと雑談して暇を潰していた。



「それにしても、Aクラスになるなんて貴方って見かけによらず優秀なのね。」



「まあな。どうやらそれなりに天才らしい。俺自身が一番ビックリしているよ。」



「ふふっ。なによそれ。自分のことなのに。」



「そういうクロナこそ、Aクラスってことは何かしらの才能やらがあるんじゃないのか?」



「そうね・・・。私の才能、なんだと思う?」



若干ニヤついた顔でクロナが聞いてくる。

クロナの才能・・・・か。おそらく今朝見たものがその一端だろう。男達の頭上にいきなり椅子やら机やらが現れたことを考えると、俺と同じ空間魔法の可能性が高いと思う。空間魔法自体かなり希少性の高いものらしく、扱える者は国内でもごく僅からしい。



しかし、ここは国立の学園のしかも上位30人ほどしか所属出来ないAクラス。1人くらい同じ空間魔法使いが居てもおかしくはない。



「空間魔法・・・・か?」



「へぇ、なんでそう思ったの?空間魔法なんて希少な魔法の才能の持ち主なんてそうそう居ないと思うんだけど。」



「いや、今朝いきなり何もない空間から椅子とか机を出してるの見たから、もしかしたらそれが君の才能なのかなと思ったんだけど・・・・。違った?」




「うーん、惜しいと言えば惜しいわね。たしかに今朝使った魔法は特別なものだけど、空間魔法とはちょっと違うの。」



そう言うと彼女は真っ直ぐに俺の目を見つめて、



「私の才能は-----創造魔法。魔力さえあればたいていの物は作り出せる、限りなく最強に近い魔法よ。」




そう、告げた。







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なるほどこれは、クロナはAクラス以外あり得ないだろう。それくらい、創造魔法というものは強力なのだから。



一般に、魔法は火・水・風・土・氷・雷・光・闇の8つの属性に分けられる。これを『属性魔法』と呼ぶ。しかし、世の中には例外が存在する。



それが俺の空間魔法や、クロナの創造魔法といった『希少魔法』だ。これらの魔法は属性の有利不利に縛られず、より自由度が高く強力だ。歴史に名を残している偉人のほとんどがこの『希少魔法』の使い手だと言えば、その凄さはよく分かるだろう。




その中でも創造魔法は、その自由度の圧倒的な高さから最強の魔法の一つとして知られている。




まさかクロナが創造魔法の使い手だったとは・・・・。




「世の中、天才ってのは意外と居るものなんだな・・・・」






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