第5話 入学式

・・・・ふぅ。



テレポート先の、自室で一息つく。

今使った魔法は、俺が得意としている魔法(らしい)空間魔法の一つ、【テレポート】だ。

事前に設定しておいたポイントに、瞬間的に移動できる魔法であり、便利そうなので朝一番で自室に設定していたのだが・・・・



「まさかこんな直ぐに役に立つとは」



寝起きの自分に感謝しつつ、考える。



あの子は一体誰だったのか。あそこまでの美少女だ。多分有名な子だろうとは思うが、記憶の中には該当者はいない。

それに、確か【クリエイト】と叫んでいたが、あれは彼女の魔法なのだろうか。



そこまで考えたところで、ふと気づく。




・・・・今回も魔法がかなり役立ったし、もっと魔法使えるようにしてた方がいいんじゃね?



そして俺は、入学式に間に合う時間ギリギリまで魔法の練習に勤しんだ。




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入学式は、学園に5つある訓練場の内最も広い、第一訓練場で開かれるようだ。

幸い、第一訓練場は学生寮からさほど離れてはいない為意外と余裕を持って到着出来た。




「・・・・流石に人が多いな。何百人いるんだ?これ。」




それだけの人数が居ながらまだ余裕がある訓練場の広さに驚きながら、受付で指定された自分の列に並び、席につく。右隣には割と小柄な男子が座っているが、左隣はまだ空席のようだ。




「・・・・ねぇ。」




ふと、鈴が鳴ったような美しい声につられて顔を上げると・・・・




そこには、今朝出会った美少女が立っていた。




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「ごめんなさい、さっきは囮にするようなことをして。」




・・・・あ、っぱり囮にしている自覚はあったのね。




とは思ったが、魔法のお陰で逃げることができ結果的に何も無かった為、「大丈夫。気にしてないよ。」と返すと、少女は安心した様子でさらに話しかけてきた。



「改めて、自己紹介しましょう。どうやら同じクラスになる様だしね。私の名前はクロナ。貴族じゃないから苗字はないわ。」



と言いながら彼女が俺の右隣の席に座るのを見て、初めてこの席順がクラスごとに並んでいる事に気づく。



「あ、ああ。俺はセーヤ。同じく苗字はないよ。」



ちょっとばかし間抜けなその事に気づかれないよう、平静を装って俺も自己紹介を返した。





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その後、クロナと(さん付けは断られた。)適当な雑談をしているうちに入学式が始まり、お偉いさんのありがた〜いお話を延々と聞かされ、入学式が終わった。





・・・・いや、話長えよ・・・・ハゲ学園長・・・・

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