第3話 転生
はずだった。
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「-----ッツ!!!」
目が------覚めた。
・・・・どこだ?ここ・・・・
柔らかさとは無縁の、硬いベッド。周りを見渡すと、狭い部屋に数少ない家具類。だが、一番目を引くのはベッドの脇の机に置いてある、一振りの剣。
・・・・は?
いや、なんで剣があるんだよ!危ないだろ絶対!
「----ッたぁ・・・!」
そこまで考えたところで、突然頭痛に襲われる。
なんだよ・・・・これ・・・・
そして頭の中に出てくる、いや、蘇ってくる知らないはずの記憶の数々。
ミテア公国・・・農家の三男・・・国立総合練兵学園・・・そして、セーヤ。
おいおい・・・ウソだろ?
小説の中では、幾度となく見た光景。だが、いざ我が身に降りかかってくると、その現実感のなさに眩暈がしてくる。
・・・いや、あまりにも現実感があるからなのかもしれない。まさか夢とは思えない、鮮明すぎる感触、匂い、光景・・・。
「・・・・異世界、転生」
そう、俺は、この日・・・
異世界転生してしまった。
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とにかく状況の整理をしたい。外の様子なんかも見たいが、流石に直ぐに部屋の外に出るほどの度胸はない。
「まず、ここは異世界で間違いないだろうな・・・・魔法使えるし」
そう、なんといきなり魔法が使えた。といっても、記憶にあったやり方(身体の中の魔力?ってやつを指先に集めて詠唱する)で指先から小さい炎を出すというショボいものだが。
「いや、マジでおかしいだろ・・・魔法だぞ魔法。身体がやり方覚えてるっていっても、いきなり出来るものなのかよ・・・・」
とはいえ、そこは考えても仕方がないので思考を無理やり進ませる。
「取り敢えず、今居るのはミテア公国の国立総合練兵学園、その学生寮か・・・。記憶にある限りは危険は無さそうだな。いや、練兵っていうからには厳しい訓練とかありそうだし、将来的には兵士となって戦場で死にそうだけど・・・」
そう考えるといささかマズい状況なのではと思えてきたが、記憶によればそもそも農家の三男坊、良くて中世くらいの文明レベルのこの世界では兵士以外のまともな(?)職にはありつけないだろう。
・・・・兎にも角にも、あらかたの状況の整理は出来た。となれば早速部屋の外に出て色々と見て周り、情報を集めたいところだけど・・・・
「外、真っ暗だな」
そう、夜。しかも記憶の整理の途中で思い出したが、明日は国立総合練兵学園の入学式。
「・・・・・寝るか。」
そうして、俺の異世界生活1日目は大きな衝撃と明日への不安、そして、ほんの少しのワクワクを胸の奥に残して、過ぎ去っていった。
いつのまにか感じなくなっていた、あの女への怒りもまた・・・・
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