第2話 怒り

目の前が真っ赤になった。俺がこんな状況に陥っているのは、全てあの女が原因だ。だというのに、その当人は友達に囲まれ、笑っている。



そう思うと、どんどん怒りが湧いてくる。



・・・・・いや、ダメだ。落ち着け。あの女に当たっても何にもならない。



だが、俺の中の冷静な部分がその怒りを押し留める。そうだ、今更こんなことを思っても、何にもならない。全ては終わってしまっているのだ。だから先ずは、落ち着いて・・・・




「それでそのオジサン、どうなったの?笑」


「知らないわよ、そんなの。私は突然痴漢冤罪をかけられて驚いているマヌケヅラが見たいだけだもの。」


「ヒュー、ミキってば鬼畜ー笑」


「でもさー、そのおじさん可哀想だよねー。面白いけど笑」


「ナオミはその場に居たんでしょ?どんな顔してたー?」


「・・・・アホヅラ」


「ハハハハハ!ド直球すぎでしょ!」




・・・・・プツン。と、頭の中で何かが切れた音がした。



もう無理だ。抑えられない。



なんて考えている暇さえなく、身体の方が勝手に動き出す。あの女めがけて走り出す。せめて一発、殴るために。心の中の冷静な声も、赤信号も、横から突っ込んでくる大型バスでさえも無視して-------------








----バァンッ!!!!







そんな衝突音と、








グシャッ・・・







という何かが潰れた音を最後に。



俺の意識は、永遠に途絶えた。

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