84話 中堅アイドルと戦おう3
SABIちゃんパンツを見る事を決めた俺は、戦線に戻っていた。
俺の作戦としては、パンツァーを起動して分裂した八人全てのイチモンジに弾丸をブチ込む予定だった。
そうすれば、悩む必要なんて無い。すぐにどれがイチモンジの本体か判明するだろう。
しかし、そんな俺の目論見を知っているのか……イチモンジは執拗に俺を攻撃してきていた。
「「「「「「「「
驚いたじゃろう!?恐怖したじゃろう!?
“一文字八刀流“は、
ナハハハハハ!!」」」」」」」」
……と八人(仮)のイチモンジは一斉に叫んで各々に刀を振るう。
そんな『ピチピチピンク虚無僧笠×8』のイチモンジ達を見ながら、俺は呟く。
「イチモンジのヤツ……やっぱ相当の“アホの子“……じゃなかった、“おっちょこちょい“だな。
一文字八刀流の秘密を自分で漏らしまくっているぞ」
しかし俺は、光り迫る太刀の反射を察し、口を閉じた。
紫電セツナほどでは無いが、イチモンジの動きもかなり素早い。流石は中堅アイドルだ。
「“
俺は、『“腐った魚の目の男“という蔑称を“魚男“って略すな!』と心の中でイチモンジにツッコみつつ、なんとか彼女の剣を避ける。
俺の体捌きに遅れた袖の下が、わずかに裂かれた。
それを見たイチモンジが悔しがる。
「ち!!あともう少しで、胴を二つにしてやっておったのに!!」
そして今になって、やっと気付いたが……目の前のイチモンジの桃色の肢体がわずかに透けていた。しかしそれは、かなりの至近距離にならないと気づかないレベルだった。
つまり、今俺の目の前にいるイチモンジはホログラムだったって訳だ。
そしてその間にも、ウメコとココロはそれぞれ別のイチモンジと戦闘を続けている。
そんな様子を見ながら俺は呟く。
「やはり……仕組みを理解していても、どれがイチモンジ本体で、どれがイチモンジのホログラムか……簡単には判断がつか無いな……」
ここで突然、俺の網膜上にSABIちゃんが頬を染めて恥ずかしげに現れる。
気の強そうな様子が無くなったSABIちゃんは、完璧で究極の二次元ロリ美少女になってしまうが、戦闘に集中していた俺は完全に油断していた。
そしてそんな俺に、頬を染めたSABIちゃんのおっきな目のロリ顔が、圧倒的な可愛さで襲いかかる。
「な、なにモタモタしてんのよ?ナユタ??
パ、パンツァーを使うんじゃ無いの??
ア、アタシは……その……何というか……
も、もう準備……
出来てるんだけど……」
そんなSABIちゃんのタイトスカートから伸びる未発達な太ももを指で
「う、うっわぁぁぁ……
しゅ、しゅごい……
SABIたそぉ……萌ぇぇぇ……。
じゃ、じゃ無かった!!!
ち、違うんだ!!SABIたそ!!今の発言は無かったんだ!!
と、とにかく、聞いてくれ!!このままではパンツァーを発動でき無い!!!」
俺のキモめな言い訳を聞いた前屈みのSABIちゃんは、驚いたような表情を作る。
驚いてさらに目を大きくしたSABIちゃんは、さらに増してロリロリ可愛すぎた。クソ!仕事が完璧過ぎるぞ!!ツンデレライブラリー!!
「うっわぁ……凄い……ナユタ……キモ……。
で、でも……え、ええええ!?!?
今はパンツァーを発動できないって……どうしてなのよ??」
俺はその質問に真顔で答える。
「網膜ディスプレイ上のSABIちゃんのパンツは、二次元の絵になってしまうからパンツァーを発動でき無いんだ!!」
「え!?そうなの!?
つまりは……ホログラムで現実世界にアタシを投影しないと、パンツァーを発動でき無いって事??」
「そうだ!!
『ホログラムのSABIちゃんパンツ』じゃ無いとパンツァーは発動でき無い!!」
「そ、そんなこと初耳なんだけど……。
で、でもどうして、ナユタがそれを知っているのよ?」
その理由は……俺がある日の夜に『ちょっとした出来心』で網膜ディスプレイ上で二次元嫁達のパンツを“楽しんだ“……じゃ無かった、“表示した“からなんだが……そんな事を戦闘中に正直に言うわけにはいかない。
「り、理由はともかくとして!!
ホログラムの“SABIちゃんパンツ“でしか、俺はパンツァーを発動できないなんだ!!」
「そ、そうなのね……ホログラムのアタシのパンツ……。
ほ、ほんとアンタのパンツァーって……ふざけた電脳ね」
そう言いながらもSABIちゃんは、またしても照れた顔に戻る。
俺は、鼻の下を伸ばさないように神経を集中させる。SABIちゃんは腕を組みながら言う。
「と、ともかく……
わ、分かったわよ。
じゃ、じゃあ……ホログラムで“出直す“わよ。
ちょっと待ってなさい。ナユタ。
って言うか……
ナユタ……鼻の下伸び過ぎなんだけど……キモ……」
ひととおり俺を蔑んだSABIちゃんは、網膜ディスプレイからフェードアウトし、ホログラムとして現実世界に
もちろん今更のことではあるが……SABIちゃんもWABIちゃんも網膜ディプレイ上の時よりも、ホログラムの方が実在感があり256倍かわいい。
そんなSABIちゃんは目の前で少しだけ空中に浮いて後ろ向きになり、ゆっくり俺に尻をむけ、タイトスカートの裾を持ち……薄布を持ち上げ始めた。
SABIちゃんの柔らかそうなグリーンの太腿がどんどんあらわになっていく……。
「じゃ、じゃあ……行くわよ……
ち、ちなみに……今日は……前とは違うパンツを……定義しているから……」
「ま、マジか!?
今日は黒のTバックじゃ無いのか!?ちょっと残念だが……それはそれで俺は楽しみだ!!うほほい!!」
と思った俺は、言わ無いようにしようとしたが……既に口から言葉が出てしまっていて、後の祭りだった。
小さく丸いお尻の向こう側に見えるSABIちゃんの横顔が、さらに赤く染まる。
「も、もう……キモすぎ……最悪……。
で、でもナユタが喜んでくれるのなら……ちょっとだけ、嬉しいかもしれないわね……」
俺はSABIちゃんの小ぶりながらも丸過ぎる尻を見る事に集中し過ぎて、うっかり聞き逃しそうになったが……ふと、彼女のそのセリフに違和感を覚えた。
だから思わずSABIちゃんに聞き返す。
「『嬉しいかもしれない』……だって……?」
その瞬間、SABIちゃんの尻のすぐ上に桃色でテカテカの胸が唐突に現れた。
それはダークグリーンのSABIちゃんのタイトスカートの尻とは全く色味が合ってい無くて、そしてあまりに突然だった。その様子を表現するならば、“
だから俺は「グリーンの二次ロリ美少女の尻の上にDカップの桃色の胸?まあ、これはこれで絶景かな?」と一瞬呑気に思ったが……さらにその上に存在する“虚無僧笠“を見て血の気が引いた。
聡明なお前達なら既に気づいていると思うが、その桃色ラバースーツのDの胸はイチモンジの物だったからだ。
要はつまり、SABIちゃんのホログラムのお尻を透過して、刀を振りかぶったイチモンジが現れたわけだ。
「ぶんっ!!」という音が聞こえる前に、俺は反射的に身を屈めていた。
俺の頭の上をイチモンジの白刃が通り過ぎる。
俺の髷の髪の毛が1束、空中を漂っていた。
「ちっ!!
今度こそ!!“
しかし俺は、自分の首のことよりも“SABIちゃんパンツ”を中断された事にヲタク的怒りを感じた。
「イチモンジ!!貴様!!!
俺とSABIちゃんの神聖なる“パンツの儀”を邪魔しやがって!!!」
「怒るとこ、そこ!?」
ツッコむイチモンジに俺は拳銃構え、狙いも付けずに発砲する。
反撃を予想していたイチモンジは、体を左にまわして弾丸を避ける。
イチモンジはその回転を利用して、桃色のハイヒールで俺の左義腕に蹴りを浴びせた。
金属的な衝撃音が俺の体の中で響く。
【‼︎
網膜ディスプレイに
俺の身体が3mほど飛び、着地した地面を2m滑る。
「くっ!!」
ボディーアーマーが削れ、固定金具が火花を散らした。
【‼︎
その警告で俺は、左義腕には異常が無かった事を知った。
俺は左肘に触れる。
「流石は軍用のサイバーMODだ。アイドルの蹴りも防げるんだな」
しかしそんな俺を見たイチモンジは、勝ち誇った笑顔で俺を見下して言う。
「ナハハハ!!
こなたは既に、EQ様に聞いて知っておるぞ??
魚男……もとい、ナユタ!!
そこもとのパンツァーの能力をじゃ!!」
俺はコンクリートの床で寝っ転がったまま、桃色ボディースーツで仁王立ちになったイチモンジを見上げる。
この角度から見上げた桃色の長い脚やDの胸は、大迫力だった。
「俺のパンツァーを知っているだと……?
じゃあ……俺のパンツァーの発動条件は?」
「もちろん知っておる!!
『パンツを見ること』じゃろ??」
「マジかよ……。
じゃあ……その桃色のボディースーツの目的はもしかして……」
「知れたことを!!
貴様にパンツを見られない為の対策じゃ!!
もちろん!!
こなたはこの下には何もつけておらんし履いておらんぞ!!
これぞ、最強のパンツァー対策じゃ!!
ナハハハハハハハ!!」
それを聞いた瞬間、俺は「マジかよ!!!!」と叫び、目の前のイチモンジの桃色の下半身をまじまじと見てしまった。
彼女が言ったとおり、その腰回りには下着のラインが出ておらず彼女がなにも履いていない事が一目で分かった。
そして股間はしっかりピッタリ彼女の身体のラインに沿っていて、太腿の隙間から豊かな尻の肉が覗いていた。そして股の中央は柔らかそうに優しく盛り上がり、加えて真ん中でしっかりと食い込んでいて、そこには彼女の神聖な……
い、いや……こ、これ以上はダメだ。流石にセンシティブ過ぎる。
そんな俺の“熱くもキモい視線“を感じたイチモンジは、虚無僧笠の頬のあたりに「///」というホログラムを浮かび上がらせる。そして股を両手で隠して言う。
「そ、そそそそこもと!!
こなたのどこを見ておるのじゃ!!」
「い、いや……
すまない……。
目の前で見せびらかす様に仁王立ちしているもんだから……
つい真ん中の食い込みを……」
「み、みみみ見せびらかせておらんわ!!
く、くくく食い込んでおらんわ!!」
そんな感じで照れあう俺達の間に、女の声が飛び込んできた。
「ナユタ君!!」
俺とイチモンジが横を振り向くと、15mほど先に穴あき黒タイツの万錠ウメコが立っていた。
よく見ると彼女は白鞘の刀を抜き、逆手で持って立っていた。
ウメコの黒タイツに、刃の反射光が一筋の
それを見たイチモンジが笑う。
「ナハハハ!!
その剣は何だ??
ただの人間の女が、サイボーグ浪人アイドルであるこなたと打ち合えるとでも思ったか!?」
「私が呼んだのは、ナユタ君よ。
そしてウメコは俺に目配せをする。
「目を離さないで?」
そう言ったウメコは逆手持ちの刀を高々とかかげ、……自分の脇腹を一気に突き刺した。
衝撃的な状況に、俺は思わず彼女の名を叫ぶ。
「ウメコ!!!!」
しかしよく見ると、彼女の刃は彼女の脇腹を突き刺した訳じゃ無かった。
彼女の刀は、彼女のタイトスカートを切っていたのだ。
ウメコの和柄のタイトスカートが、はらりとコンクリートの上に落ちる。
彼女の丸い腰を包む黒タイツが、光を反射してきらりと艶めいた。
そしてそこに俺は……
【 30デニールの裂け目から覗くライムグリーン 】を見た。
ウメコの股間を見ながら、俺は涙ぐみながら呟く。
「引き伸ばされ、破れた黒い
小さくも鮮やかな緑色の生地……。
なんて美しい光景なんだ……。
これぞ、最高のマリアージュ……」
その瞬間、黒タイツ以外の全てはモノクロになり、完全な静寂が訪れる。
俺の超感覚パンツァーが起動して、世界の動きは停止した。
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