44話 花魁アイドル「兎魅ナナ」

※このお話につきまして、一部過激な表現があります。

世界観と今後のストーリー上必要と考え、導入しました。

当方ではカクヨム様の「性描写あり」の範囲内と考えていますが、不適切と思われる部分がありましたらご指摘頂ければ幸いです。




【オオエドシティのとある豪邸】


 あちき――兎魅うさみナナは、

真っ暗な部屋の中、アイドル衣装である「ウサ耳着物」の胸を大きく上下させていた。


部屋には、あちきが大好きな”ROCKロク subサブ LOWロウ ”のアッパーなトランスが流れている。


「あはっ!

 あははははは!!

 ねえ?みんな?もっと”ドウセツ”してよ!

 あちきの電脳を、みんなで一杯にしてよ(悦)!!」 


 暗闇の中、大型の10個のディスプレイが光っている。

そこにはあちきのプレミアムリスナーちゃん達の様子が写っている。

それぞれ後頭部に”VRケーブル”を付けている。


 あちきも”VRケーブル”をして、群青色のサイバーダイブチェアに座っている。

あちきは、胸の谷間に汗の水溜まりを作り、可愛いリスナーちゃん達に言う。


「え!?もう終わっちゃうの??

 『ウサギの百姓』ちゃん!ザコ過ぎ(藁藁藁)」


 リスナーちゃん達のコメントが、あちきの電脳内に表示される。


//ウサギの百姓:『むりだべ!オラ!終わってしまうだよ!』

//寺前ジュウショク:『せ、拙僧も、もう無理でございます。電脳が燃えて!!』

//ナナが大好き:『電脳が!焼き切れる!!!!』


「えええええええ??一気に三人も!?

 ダメだよ?? せっかくのプレミアム会員特典なのに??

 ナナは、もっといっぱいのリスナーちゃん達と”ドウセツ”出来るよ?」


//ウサギの百姓:『ひでぶっ!!』

//寺前ジュウショク:『ぬわーーっっ!!』

//ナナが大好き:『くぁwせdれftgyふじこlp!!』


「ダメダメダメダメダメ!!

 みんな!終わらないで!!あちきを一人にしないで(泣)!!」


//春画コレクター:『ぐっはあああああ!!』

//ナナドラゴン:『うぼぁあああああああ!!』

//ガチナナ恋侍:『ほぁああああああああ!!!』


「ダメダメダメ!ダメだってばぁ!!

 先に、終わらないでぇ!!

 あちきともっともっと!たくさん繋がってぇぇぇええええええ(号泣)!!」


あちきの懇願も空しく、プレミアムリスナーちゃん達は、どんどん”ドウセツ”を中断した。


そして、最後のリスナーちゃんが居なくなり、あちきは接続を辞め、ヘッドセットを取る。


あちきの目の前の10個のディスプレイの全てに、砂嵐ノイズが映っていた。


 スピーカーからも、「ザー」っていうノイズが溢れてあちきの部屋を満たしていた。


 あちきの垂れ目で超キュートなお目々から、涙が一滴、流れる。


「う、うううぅぅぅ……(泣)

 またみんな、あちきを残して終わっちゃったぁぁ……(泣泣)

 なんでぇぇぇぇぇぇ??」


 あちきは、サイバーダイブチェアから立ち上がる。


 あちきは、自分の横にあった兎柄のフワフワのバスタオルを取って、汗で濡れた自分の身体やサイバーダイブチェアをていねいに拭く。


仕事道具は、念入りにお手入れするのが、この業界で長生きするヒケツだからね(ドヤ)。


 あちきは泣きながら独り言を続ける。


「ハイスペックの電脳に課金してから……。

たくさんのみんなと繋がれるようになって……エモエモで……めっちゃ幸せなのに……。

どうして、直ぐに終わっちゃうの(ぴえん)?」


 あちきは、立ち上がる。

10個のディスプレイには、砂嵐ノイズが映ったままだった。


「でも……あちきは、別に良いんだ。

 だって、”ネットの海は広大”だし……。

 次は、もっともっと!いっぱいのリスナーちゃん達に愛してもらうんだ(ぴょん)!!」


 と言って、あちきがウインクして可愛くウサピョンポーズをキメていると……


 10個のディスプレイが突然、像を結ぶ。


そこには、男の顔が10個、映し出されていた。


 その男は、真っ白な顔でツルッパゲで目の真っ赤なオッサンだった。


その”白パゲの赤目のオッサン”は、言う。


「お前の配信ウケるんだがwww

 キモヲタ10人と”ドウセツ”するとか、どんだけ自殺願望あるんだよwww」


 誰だよ、コイツ。


「あんた誰?あちき今、傷心なんだけど(超ぴえん)?

 てか、今の配信見てたの?

 リスナーじゃないと見れないんだけど?もしかして、ハッカー?

 あちき、リスナーちゃん以外とは生VFしない”純愛派”なんだからね?

 さっさと帰りな(怒)!!」


「すまん、すまんwww。怒んなよwww。

 自己紹介してやるよ。

 俺の名は、EQいっきゅう。通りすがりのしがない”坊主”だwww」


「坊主??

 ああ……

 パゲてるってこと(藁)?」


「ちげーよ。ハゲてねーよwww。

 これは、ヘアスタイルだよwww。

 ともかくさ?悪い話じゃなねぇんだ。ちょっと俺の話、聞けよwwww」


「悪い話じゃないって……なに?」


「お前さ?最強のスペックの電脳って興味ないかwww?

 この電脳を使ったら、お前なら、もっとたくさんの人間とドウセツ出来るぜ?」


「え?マジで??

 もっとたくさんの可愛いリスナーちゃん達に、ナナと接続して貰えるの??

 最高じゃん(ぴょん)!!!」


「そうそう。最高なんだwww。

 お前なら、そうだな……。

 数百人……いや、千人越えとの”ドウセツ”も可能だぜwww?

 だからさ……」


 そしてその、”白パゲの赤目のオッサン”は、目から赤い光りを放ちながら言う。

あちきにはそのオッサンの目は、”坊主”では無く”鬼”のように見えた。


「だからさ?俺のところに来いよwww

 ”基本プレイ無料”で、お前を最強の花魁おいらんに変えてやっからよぉwwww」

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