41話 飲み会に行こう5
俺は万錠ウメコに魅了され、ウブな少年のように、顔をまっ赤にしていた。
あるいは、経験豊富なお前達からすると――
「童貞乙。純情過ぎかよ(藁藁藁)」てな具合に、思っているかもしれない。
たしかに、万錠ウメコは「絶世の美女」ってわけじゃない。
表現するなら「町内で有名な美人お姉さん」って感じの美人だ。だから、彼女に対して何も思わない奴がいるのも分かる。
しかし俺にとっては、そんな彼女こそが電脳直撃の、“
つまり何が言いたいかっていうと……
俺はこのとき万錠ウメコに、誠に遺憾ながら——完全にメロメロの骨抜きのゾッコンになってしまっていたって事だ。
しかし俺はバクバクしている心拍を深呼吸でととのえ、なんとか辛うじて“自制モード”に入る。
認めよう。
たしかに俺は今、あと少しで彼女の両手を握り――
「好きだ。結婚してくれ。そして、一緒の墓に入ってくれ」って言いかけていた。
しかし、もちろん、それは良くない。
俺は仕事に、私情を持ちこまないタイプだし……なにより、平穏な日常を愛する“事なかれ平和主義者”だ。
対して万錠ウメコは、平気で人を陥れる“腹黒ブラック女神”なんだ。
俺が惚れてしまったら、遊んで捨てられるに決まってる。
……いや……それなら、別に……それで良いんじゃ無いか?むしろ最高では?
いやいやいや!!ぜんぜん良く無い!!!
おそらくこの女に惚れた場合、人権無視をしたブラック労働を強いられるに決まってる。
それだけは、ダメだ。労働者は経営者と戦わなくてはならないんだ!!
と俺が、過労死寸前のメガザイバツのブラック社員の気持ちとシンクロし始めたとき、万錠ウメコが部屋に戻ってきた。
突然だが……お前達は、“ナイトガウン”って服を知っているだろうか?
もし知らないのなら、“バスローブ”ってのを想像して欲しい。
その“バスローブ”ってのをシルク生地にした奴が、万錠ウメコの“ナイトガウン”だ。
要は……「大人の女が着るちょっとエロいパジャマ」だ。
俺が目線を上げると、そんな“ナイトガウン”の万錠ウメコが、酒と濡れタオルを、
彼女はグレイの”ナイトガウン”を軽く羽織り、その下に同じくグレイのキャミソールドレスを着ていた。その所為で、彼女のDカップの上3割ぐらいが、露出していた。
さらに、その“ちょいエロパジャマ”は、激うすのシルク生地だったので、彼女が動くたびに身体にまとわりつき、胸や尻や脚を強調して、俺は最高に興奮……じゃ無かった……目のやり場に困った。
だから俺は、「思春期の娘のビキニ姿を注意するお父さん」みたいなセリフを叫んだ。
「最高かよ!……じゃ無かった!
……な、なんなんだ!?!? その格好は!!!!」
しかし万錠ウメコは、いたって普通のリアクションをとる。
「1日中ずっとスーツで、疲れちゃったの。
だから、ちょっと失礼かも……とは思ったけれど、
楽な格好に着替えさせてもらったわ」
たしかに万錠ウメコは、そのナイトガウンを着慣れている様子だった。
そして彼女は、俺の目の前まで歩いてきて、お盆をガラスのテーブルの上に置いた。
その瞬間、屈んだ万錠ウメコのキャミソールドレスから、Dカップの谷間の”向こう側”までチラ見えする。
さらに彼女は移動し、ソファーの俺の横に腰をおろす。
その瞬間、シルクの彼女の尻の形が強調され、パンツの形が浮き上がる。
……もしかして、水色か???
そんな感じで、俺が彼女の“ちょいエロパジャマ”に夢中になっている間に、万錠ウメコは、黒いお盆から濡れタオルを取り上げ、俺の方に向きなおった。
そのことで、万錠ウメコの30%以上露出したDカップや、鋭角的なクビレが、暴力的な煩悩をともなって、俺の電脳を刺し貫いた。
そしてさらには、彼女の“ちょいエロパジャマ”から甘い香りが漂ってきて、
俺の電脳から脊椎をかけ巡り、俺の下半身に”ダイレクトアタック”がくる。
万錠ウメコは、濡れタオルを左手で取り上げて、”慈愛の女神”の微笑みで言う。
「さあ、ナユタ君……私に顔を近づけて?
私がこれで、冷ましてあげるから……」
その瞬間、俺の下半身が大きな警告を出した。
それは——
『マズイぞ!ナユタ!!
“ちょいエロパジャマ”の、万錠ウメコの接近を許してはならない!!
——という警告だった。
だから俺は超スピードで、万錠ウメコから濡れタオルを奪いとった。
「だ、大丈夫だ。こ、ここ、子供じゃないんだ。
じ、自分の頬ぐらい自分で冷やせられる」
と俺は情けないぐらい言い淀みながら、自分の頬に濡れタオルを当て、彼女から目を逸らした。
そんな俺を見て、笑いながら万錠ウメコは言う。
「ふふふ。どうしたの?
急に恥ずかしがって……?
気にしなくて良いのに?」
くそ。なんで俺の方が慌ててるんだ!?
“気にする”のは、そっちの方だろ!?
ボディーラインとか下着ラインとか谷間とか!
“気にする”ところだらけなんだぞ!!
おそらく万錠ウメコはそんな俺の”キョドり”に気付いたらしく、イタズラっぽい笑みを浮かべ、俺にさらに近づく。
くそ!なぜ近づいて来るんだ!?こっちくんな!!良い匂いがするじゃないか!!
万錠ウメコが近づく事で、彼女の素肌の右膝が、俺の袴にあたった。
俺の頭皮に冷や汗が垂れる。
そしてさらに、万錠ウメコは足を組んだ。
シルクのキャミソールドレスから彼女の真っ直ぐなふくらはぎが、あらわになった。
普段黒タイツを履いている彼女のふくらはぎは、白磁のように真っ白だった。
しかも万錠ウメコは組んだ自分の左脚を、あろうことか俺の左膝にのせた。
そのせいで“ちょいエロパジャマ”の
万錠ウメコの股間のパンツはギリギリ見えないが、逆にそのせいで俺の情欲がさらに鋭利に研ぎ澄まされた。
さらに加えて、
だから俺の下半身は、さらなる警報を発する。
『ダメだ!その太腿を見るな!危険過ぎる!!
大変な事になる!!とにかく色々、終わる!!
うっほおお!最高だぜ!ふくらはぎスリスリしたい!!太腿ツンツンしたい!!
いや!!……違う!!!
だめなんだぁぁぁああああ!!!!』
という感じで下半身が制御不能になりつつあった俺は、滅茶苦茶にあせって言う。
「な、なななな!!なぜ!!??
あしを!?おれのひざに????」
しかし万錠ウメコは俺のセリフを無視し、剥き出しの自分の左膝に左肘をあて、頬杖をつき、俺の顔を下からのぞき込み、微笑みながら言う。
「ねぇ?見たい?」
「は?え?もう見えてるが??」
「何が見えるの?」
「な、何がって!?その……ペロペロしたい太腿……じゃない!!何を言わせるんだ!!」
彼女は俺に、美しい瞳を合わせたまま言う。
「ふふ。そう?
見えてるの?私の太腿?
じゃあ、太腿だけじゃなく……
その“奥”も……見たい??」
「は、はあ!?お、“奥”だって!?!?」
この時になって俺は、やっと気付いたが……万錠ウメコは酔ってなどいなかった。
確かに頬は、やや赤く染まっているが……
しかし、その話し方や目付きを見るに、万錠ウメコがほぼシラフだと分かった。
しかし、時はすでに遅かった。
なぜなら、この時の俺の電脳と下半身は、煩悩に満たされ、彼女の色香に蹂躙され、コントロールを完全に失っていたからだ。
心臓がバクバク早鐘をうち、俺の股間に血が集まり、俺が気づくより先に袴の前が持ち上がる。
万錠ウメコは、そんな俺の“すくすく成長する股間”を流し目で
「ふふ……。
どうしたの?……それ?」
そして万錠ウメコは、デカくて可愛い瞳で、もう一度俺と目を合わせて、続ける。
「……そんなに、見たいの?
……私の……“奥”?」
だから俺は、あまりの恥ずかしさに、自分の股間を見ながら織姫ココロを“インスパイア”した奇声を、発する。
「は、はわわわわわわわわわ!!!!!!」
そして、座ったまま凄いスピードで彼女から遠ざかり、両手で股間を抑える。
「こ、これは違う!!」
万錠ウメコは、妖艶に微笑みながら言う。
「違うって……何の事?」
「な、ななな“何”って!?
ナニのことだ!!」
ここで、彼女はふと……さっきまで俺が座っていたソファーの座面に目を落とした。
そこで俺は、彼女の視線の先に”とんでもない物”を発見してしまった。
それは、ここに来る前に黄泉川タマキに渡された“銀色の四角い袋”の——要は、”避妊具“だった。
なぜだ??避妊具は袖の下に隠したはすだ!!
まさか!!!!
”はわった”瞬間に落としてしまったのか!!!???
万錠ウメコが、ブルーのネイルの二本の指で、“銀色の四角い袋”をつまむ。
そして、首を傾げ、不思議そうに彼女は、言う。
「あら?これは……なに?」
「な、ななな“何”って!?
ナニのことだ??」
「ふふ。セリフが、またコピペになってるわよ?」
「ち、ちがう!“それ”は、そういうつもりじゃない!!
もちろん、“これ”も、そういうつもりじゃない!!
とにかく、全体的に!そういうつもりじゃ無いんだ!!!!」
しかし、万錠ウメコはそんな俺を無視し、組んだ脚を綺麗にそろえ、腰を水平移動させ、さらに俺に近づく。
彼女のキャミソールドレスのスリットが真ん中で割れ、彼女の両太腿が完全に露出した。
俺は、彼女の甘い匂いと強烈な色気に、鼓動が激しくなりすぎて、口からもう少しで心臓がハミ出かけた。
さらには俺の袴の、前部分の“盛り上がり”は、俺の手を待ちあげ、もはや誤魔化しが効かない程の“超高高度”に達した。
万錠ウメコは、そんな俺の下半身の様子を笑いながら見る。
俺は、恥ずかしすぎて顔を真っ赤にする。
そして万錠ウメコは、さらに妖艶な声と目線で、驚くべきセリフを俺に言う。
「……使っても良いわよ?」
「え!ええ!?な、なにを!?」
「だから……
これ……。
……”私“に使っても良いわよ?」
と言って彼女は自分の揃えた太ももの、白い素肌の上に“銀色の四角い袋”を置いた。
その様子を見て、俺の目は“泳ぐ”っていうか、もはや“回った”。
「え!?使っていいの!?……
いや!違う!!使いたい訳じゃない!!
いや!ていうか!それをそんなところに置くの??」
彼女は、さらにそのまま俺に近付き、俺の太腿に手を置いた。
彼女のブルーの爪の人差し指が、俺の”
「でも、条件があるの」
「じょ、じょじょじょじょじょじょじょじょ条件!?」
「そう。条件。
あなたが、”これ“を使う為の条件……」
「な、ななななんだ!?
そ、そそそその“条件”って!?」
俺の目は万錠ウメコの白い両太腿と、その間に置かれた“四角い銀色の袋”に、完全に固定されてしまっていた。
ギリギリでパンツは見えないが、最早そんな事は関係が無かった。
なぜなら、俺の目は既に“煩悩”の二文字で何も見えなかったからだ。
そして万錠ウメコの唇が、俺の耳に近づく。
万錠ウメコの柔らかい青髪が、俺の胸をおおう。
万錠ウメコの、甘い匂いで満たされる。
俺の耳元で、甘い吐息とともに彼女の声がささやく。
「あなたが、
……あなたの“命”よ」
そして彼女は俺の太腿から手を離し、テーブルの上のワイングラスをつかむ。
「あなたが
あなたの電脳を――命を……
少しだけ……私にちょうだい?」
言い終えた彼女は、左手のワイングラスを空中に放り投げ……
右手で、太腿のシルク生地を、めくりあげた。
そして俺は、万錠ウメコの両太腿とへそに挟まれた
【パステルブルーのレース】
——を見た。
その瞬間、全ての色は消失し、音は無くなり、全ては固定される。
俺の超感覚「パンツァー」が起動し、時間が停止した。
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