第202話



 迷宮配信者事務所「リトルガーデン」について語るスレ536


 174:名無しの冒険者

 今日は全員とのコラボ配信か


 175:名無しの冒険者

 俺お兄ちゃんから「リトルガーデン」の箱推しになったんだけど、皆とお兄ちゃんって仲いいんだよな?


 176:名無しの冒険者

 結構仲良いな

 お兄ちゃんがだいたい指導しているみたいだからな


 177:名無しの冒険者

 お兄ちゃん、今普通に「リトルガーデン」で新人冒険者たちの指導をしているみたいだからな


 178:名無しの冒険者

 なるほどなぁ

 でも、コラボ配信になると各勢力のファンが凄まじいよな……


 179:名無しの冒険者

 最初の頃はお兄ちゃんとコラボする相手のファンがあばれまくっていたんだけど……いまじゃむしろ逆だよなw


 180:名無しの冒険者

 ほんとなw

 今じゃお兄ちゃんのガチ恋勢のほうが多いからな


 181:名無しの冒険者

 そりゃあまあ、お兄ちゃんの登録者数じゃそうなるわな

 今じゃ日本を代表するトップ迷宮配信者だもんな……


 182:名無しの冒険者

 配信だと別に強さはかんけいなくて、企画力やトーク力が大事ってたくさん言われてけど、規格外の強さがあればどうにかなるってことも証明されたなw


 183:名無しの冒険者

 どっちかっていうとお兄さんのガチ恋勢の方が怖いよな


 184:名無しの冒険者

 最近だとカップリング厨も出てきてな……


 185:名無しの冒険者

 その派閥の争いもあるよな

 マジでこんなことになるとか初配信の時に誰が想像できたんだがw


 186:名無しの冒険者

 俺はお兄ちゃん&ルカペア推しだな


 187:名無しの冒険者

 お兄ちゃんとルカとかw

 一番はやっぱりお兄ちゃんとレイナだろ

 あの一途さを見て他のやつとのカップリングを推すとかきもいわ


 188:名無しの冒険者

 おまえらカプ話したいなら専用スレでやってくれ


 189:名無しの冒険者

 ……かなり混沌としてるなぁ


 190:名無しの冒険者

 リンネちゃんも普通にお兄さんのこと狙ってるよな


 191:名無しの冒険者

 リンネちゃんにこそ頑張ってほしいわ

 あの真面目・ザ・真面目な感じが好きだし


 192:名無しの冒険者

 美也ちゃんはどうなんや? なんか仲良さそうだろう?


 193:名無しの冒険者

 やっぱ事務所違うしな

 会う機会自体少ないんじゃね


 194:名無しの冒険者

 まあ、明日の配信でもファンたちが暴走しないことを祈るしかないな





「あーあー、今日の配信についてだが、無事麻耶は夏休みの宿題を終えて、新学期を迎えることになりました。高校生活も順風満帆なようでお兄ちゃんとしてはとても嬉しい限りです」

「うん。妹としてはお兄ちゃんには色々と感謝しています。ありがとね、お兄ちゃん」

「……っ! というわけで、今日の配信はこれで終わりです。皆さん、俺は麻耶の感謝の言葉をループ再生にして今日は眠りにつこうと思います。んじゃ!」


 もう俺の仕事は終わっただろうと思い、その場を放り出そうとしたところで凛音と流花が声を荒らげる。


「はい、待ってくださいね……っ!」

「待って……っ」


 両腕をぎゅっと掴まれ、無理やりにカメラの前に戻される。

 この場には玲奈もいて、彼女はこちらへカメラを向けている。


〈こいつらw〉

〈お兄様……相変わらずの元気な様子でよかったです〉

〈色々とあったと思いますが、本当に助かりました!〉

〈レコール島に住んでいる者です! お兄ちゃんのおかげでまた元の生活に戻れました!〉

〈ありがとうございますお兄ちゃん!〉

〈ていうか今回はその配信じゃないだろうがw〉

〈色々と心配していましたが、良かったです……〉


 コメント欄ではそんな俺を心配するものや、普段通りの空気に感動するものがいくつかあった。

 レコール島の人からの感謝の言葉もかなり多いが、こちらとしては報酬をもらって仕事をしているわけだからな。


 そんなに気にしなくてもいいから、というのが本音だ。

 今俺たちがいる場所は黒竜の迷宮内。

 周囲に人がいないフロアを選び、撮影を行っている。


 現在、この場には以前話していた通り、ジェンスと戦った皆が集まっている。

 コラボ配信、というよりは全員の安否報告会のようなものだ。

 俺のチャンネルで配信しているからか、最初こそ俺に対してのコメントが多かったいまは皆を心配するものへと変わっていっている。

 カメラの前に戻された俺は、ちらと凛音たちをみる。


「凛音、流花。他に何か報告することはあるのか?」

「……まあ、ぶっちゃけた話今日は私たちの無事な姿をお届けするっていうのが目的なので、これでもう報告自体は終了になるのですが……」

「凛音がやめたがっているみたいなので、それじゃあ俺たちはこれで終わりにしましょうか」

「いや、私に責任を押し付けないでください。……とりあえずは迷宮を歩きながらコメントをみつつ配信というのはどうでしょうか?」


 凛音の提案に、流花と玲奈が頷いた。


「賛成」

「私もそれでいいよー。あっ、皆。私も元気だからねー」


 そういって玲奈は自撮りをするようにスマホを傾け、笑顔とともに手を振っていた。

 そんなこんなで俺たちの迷宮での戦闘配信が始まった。



―――――――――――

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