第191話
迷宮配信者事務所「リトルガーデン」について語るスレ501
645:名無しの冒険者
レコール島は無事完了したな
646:名無しの冒険者
本当、心配していた時間が無駄なくらい、お兄ちゃん楽勝だったな
647:名無しの冒険者
ていうか、問題はその後だよな
648:名無しの冒険者
レイナちゃんの配信で知ったけど、なんかジェンスたち含めて変な組織が裏で動いているみたいだったよな?
649:名無しの冒険者
それな
レコール島の件といい、これから世の中どうなっていくのやら
650:名無しの冒険者
お兄様がとにかく無事でよかった
651:名無しの冒険者
それにしても、お兄ちゃん強すぎるよな……
652:名無しの冒険者
世界ランキング一位でもいいくらいだよな?
ルーファウスなんて最近まったく表舞台に出てこないしさ
653:名無しの冒険者
それは本当にそうだよな
いくら強いっていっても、表に出てこないんじゃ
654:名無しの冒険者
これからもお兄ちゃんの配信を見られそうで良かったぜ……
日曜日。
俺は待ち合わせをしていた場所に向かうと、浴衣姿の凛音の姿があった。
今日は夏祭りなのだが、以前凛音と約束していたこともあり今日は一緒に出掛けることになっていた。
多くの学生にとっては夏休み最後の休日だ。そういうこともあってか、人出はかなりのものでここまで来るだけでも祭り気分は十分に味わえてしまうほどだった。
相変わらずのうだるような暑さに顔を顰めながら、俺は待っている凛音のほうへと近づいた。
「凛音、またせたか?」
俺が声をかけると、凛音はびくりと肩を上げてからこちらを見てきた。
なんだ? 何か緊張しているような様子だ。
ぎこちない動きの凛音は、しばらくしてこちらを見てから深呼吸をして、笑顔を浮かべた。
「いえ、大丈夫ですよ」
「よし、それじゃあ行くとするか?」
「はい」
そういって歩き出すと、右手に柔らかな感触が包んだ。
見ると、凛音の手だ。少し驚いていると、彼女は頬を赤らめながら視線を外した。
「そ、その手を繋いでいきませんか? こうも人が多いとはぐれてしまいそうですし……」
「別に大丈夫じゃないか?」
「い、いや繋いでいないとお兄さんがどっか行っちゃうかもしれませんし! このままでいきますよ」
半ば強引に押し切って、手を掴んでくる。
凛音は俺をなんだと思っているんだろうか。
事実、迷子になる可能性は極めて低い。
凛音の魔力を感知すればいくらでも後を追いかけることは可能なので、仮に何かあっても見つけること自体は簡単だ。
とはいえ、これだけ人が多いと行列に巻き込まれたら見つけられたとしても身動きがとりにくいのは事実か。
さすがに、魔物じゃないんだし皆を押しのけるわけにはいかないしな。
凛音の意見も正しいと思い、俺が彼女の手を握り返すと、びくりと肩を跳ね上げる。
そして、じっとこちらを睨んでくる。
なぜ睨んでくる。凛音はしばらくこちらを見てきていたので、手を離そうとすると再び掴まれた。
「……結局どうするんだ?」
「このままで、行きましょう」
「了解。それで、今日はどうするんだ?」
「そ、そうですね。少し屋台を見て回って、それから花火でもみましょう」
屋台か。
前回は屋上で軽く花火を見ていただけなので、夏祭りを楽しむという感じではなかったな。
そんなことを考えながら彼女とともに歩き出した。
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