第144話
ヴァレリアンの体を覆っていったのは白い鎧だ。
ヴァレリアンの全身を覆いつくしたところで、その目がこちらを向いた。
次の瞬間、魔力が一気に集まっていき……白いレーザーが放たれた。
速い。
一瞬で迫ってきた一撃が俺の腹を掠める。
「”思ったよりもやるな”」
すぐに俺の傷は治ったが、同時にヴァレリアンが突っ込んできて顔面を殴りつけてくる。
その攻撃に体を弾かれ、体勢を戻すとすぐに白いレーザーが放たれる。
急所を外すようにして攻撃を受けながら、俺はじっくりとヴァレリアンの攻撃を捌いていく。
ヴァレリアンの特殊魔法……具体的な能力までは分からないが、単純な身体強化と遠距離攻撃が可能なようだ。
使い勝手としてはかなりいい部類のものだな。
連撃を叩きこまれながら、そんなことを考えているとさらにヴァレリアンの攻撃が加速する。
一瞬で距離を詰めてきて、拳を振りぬかれる。
地面に叩きつけられると同時、殴打の連撃が叩き込まれる。
俺を殺さんばかりの連続攻撃、しかしヴァレリアンは手を緩めない。
……先程の俺の挑発がよほど効いたようだ。今回は全力を見せてくれているはずだ。
ヴァレリアンの猛撃が緩んだところで、俺は魔力を放出してヴァレリアンの体を弾いた。
「”……貴様、まだ生きているのか”」
「”ま、このくらいならな”」
傷はすべて治療済みだ。ヴァレリアンは一度呼吸を整えてから再び地面を踏みつけた。
……速いが、先程と同じだ。
もう、それ以上の出力は出せないようだ。
ヴァレリアンの拳をかわしながら、俺は彼の頭を掴んで地面に叩きつける。
先程やられたのと同じように、拳を連続で叩きこむ。
「”ぐ、あぁっ!”」
途中で白い魔力が放出される。俺を弾こうとした一撃。しかし、すぐに俺は魔力を同じようにぶつけて体を押し返す。
再び、マウントをとるようにして殴り続けると、ヴァレリアンの鎧が破損し始める。
「”おっ、これ穴掘りみたいだな!”」
俺が笑顔とともに拳を振り下ろし続けていくと、どんどんヴァレリアンの肉体が見えていく。
「”こ、の……っ!”」
ヴァレリアンがもがき、暴れるように拳を振りぬいてきたが当たらない。
そんな情けない一撃はより大きな攻撃を食らうための隙を作るだけだ。
腕を逆方向へとへし折ってから、顔面へ拳を叩き込んだ瞬間――ジェンスたちのほうで動きがあった。
……見れば、彼らはスマホを構えて呆然とこちらを見ている麻耶たちのほうへと近づいている。
人質にでもするつもりか?
相変わらず――卑怯な奴らだ。
「動くなよ」
俺が威圧するように言ってすぐ、魔力を放つ。
前と同じく回復魔法を使える奴がいるので、そいつ以外は死なない程度の全力で威圧する。
その結果、皆が地面へと叩きつけられる。
「”まさか、また俺の大切な人たちを傷つけるつもりなのか?”」
「”…………………………また?”」
顔を覆っていた兜が僅かに欠けたヴァレリアンは、その表情を困惑させながら呟いていた。
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