第69話


 その道中、コメントを見ると、


〈草〉

〈ルカちゃんまで行ってて草〉

〈マジで!? 今行けば食えるのか!?〉

〈いや、あと配信時間的にそんなにないからな……〉

〈お兄さん、勝手にオフ会してて草〉

〈マネージャーが呆れてるじゃんw〉

〈ルカのマネージャーおろおろしてて可愛いなw〉

〈これあとで怒られるだろうな〉


 ……霧崎さんと流花のマネージャーが慌てた様子で、叫ぶが俺と流花はそのまま走り出す。

 会場を出たところで、俺は流花のほうを見る。


「流花は残ったほうが良かったんじゃないか?」

「……私、最近は結構視聴者の目とか意識しちゃってたから。……だからちょっとだけ好きにやってみての反応を見てみたかった」

「そうか」

「……それに――お兄さん、今日は色々とありがとう。……また助けてもらっちゃったから」

「麻耶の大事な友達だからな。麻耶の次になんかあれば駆けつけるからな」

「……麻耶ちゃんの次。……麻耶ちゃんくらいに扱ってもらえるようになることってある?」

「それは難しいな……妹じゃないし……」

「むぅ……お兄さんは妹みたいに大事に扱う人っていないの?」

「麻耶と他の人は別だな。でも、流花も麻耶の友達なんだから大切に決まってるだろ?」


 麻耶が大事な俺にとっては麻耶が大事にしている人や物も同じく大切なものだ。

 だから、何かあれば助けるし、手を貸す。

 俺の返答に、流花は頬を赤く染め、顔を俯かせる。


「……うぅ……それで満足したらダメなのに……満足しちゃってる自分がいる……」

「どういう意味だよそれ?」

「……なんでもない。今はそれで満足しておくから……それと、もう一つだけ確認してもいい?」

「え? なんだ?」

「……迅さん、って呼んでもいい?」

「いやむしろそっちのほうが普通じゃないか? みんなにやたらお兄さんとかお兄ちゃんとかお兄様とか呼ばれるけど、俺としてはそっちのほうが自然でいいんだけど」

「……そ、そう? ……それなら、迅さん。これからもよろしく」

「おう、よろしくな」


 嬉しそうに微笑んだ流花に、首を傾げてから俺たちは迷宮へと戻り、様々な階層の魔物の肉を集めてから戻った。

 ……ジローっと霧崎さんが睨んできていたが、俺は無視してバーベキューを楽しんでいった。



 迷宮配信者事務所「リトルガーデン」について語るスレ175


 780:名無しの冒険者

 お兄さんのこの前の配信マジで羨ましかったよな


 781:名無しの冒険者

 お兄様と一緒に食事できるわ、他にも色々とやばいよな……


 782:名無しの冒険者

 マジでずるいわっ!

 俺も行きたかったっての!


 783:名無しの冒険者

 あれ、凄いよな……

 お兄ちゃんの自由さが生み出した配信って感じだったよなw


 784:名無しの冒険者

 もう二度とやらんとも言ってたけどなw


 785:名無しの冒険者

 まあ、無償で炊き出し紛いのこと何度もやってたらさすがに色々言われるからな


 786:名無しの冒険者

 それはいいんだけど、お兄さん今日から次の冒険者協会での能力測定のための特訓訓練配信するってマジかよw


 787:名無しの冒険者

 お兄さんの配信ていうか、お兄さんが普段やっている迷宮攻略をただ見せてもらうだけだっけ?


 788:名無しの冒険者

 そうそう。

 今回お兄さんは視聴者のコメントとかにはあんまり反応しないって話だったけど……普通に普段の様子が見られるだけでも十分だよな


 789:名無しの冒険者

 迷宮配信っていうか、お兄さんがただただ攻略していくのを垂れ流すんだっけ?


 790:名無しの冒険者

 そうそう

 でも普通にSランク冒険者の迷宮攻略を垂れ流しにしてくれるからいいよなw


 791:名無しの冒険者

 もうすぐスタートかって……もう待機者めっちゃいるじゃんw


 792:名無しの冒険者

 真昼間なんだよな……こんな時間に見るやつおる?


 793:名無しの冒険者

 海外含めてすでに10万人近く待機してるけど……どんだけ期待されてんだよw


 794:名無しの冒険者

 お兄さん、アレックスボコボコにしてから完全に海外でもバズったよなw

 

 795:名無しの冒険者

 今更黒竜討伐の動画もまた再生されまくってるしw


 796:名無しの冒険者

 おっ、始まった


 797:名無しの冒険者

 今回は黒竜迷宮の105階層からかw


 798:名無しの冒険者

 いきなりトップレベルなのなんなんだよw 




―――――――――――

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