episode3 霧の謎と黒幕

さて、昨日の続きを読みましょうか。

確か今は霧の国になってしまった蒼穹の国へ行ったのよね? じゃあそこからね。


「取り敢えず、ユリア。俺達は霧の謎について聞き込みをする。お前はこの国の近くの冒険者に応援要請を頼む。」

そう言って行動しようとすると…この国に住んでいると思われる男性に声をかけられた。


「冒険者の御方達、どうか悪いことは言わない…霧について調べるのは辞めた方がいい。」


その男性が言う所によると、この霧はブロッケンと呼ばれる怪物がアラッサスというより強い怪物に襲われ、本来の住処から追いやられここへと逃げ込み防衛本能の末に発生してしまったという。


「なら、そのブロッケンの怪物が本来の住処に戻ることができればこの霧は消えるのか?」

「無茶を言うな…ここいらの冒険者や自分達でどうにかしようとしたさ…けどブロッケンの住処を奪ったアラッサスはとんでもなく強いんだ。」

だからこの国の住民はこんなにも暗く沈んでいたのか。自分達の為ではなくブロッケンの為に…


「ねぇ、イーゼル。私達がそのアラッサス倒しちゃえばいいんじゃない?」

確かに…俺もユリアも一応龍種を倒したばかりだしな。挑戦してみる価値はある。


「おい、嬢ちゃん達そんな凄い人達だったのか?!なら…すまない、ブロッケンの為にもアラッサスを倒してくれ!」

あぁ、当然だろうと言おうとしたら、代わりにとでも言うようにユリアが

「任せて!私達がアラッサスを倒してくるから!」

といった。全く、頼りになるものだ…

だが肝心のアラッサスの居場所が分からない。

「すまない爺さん、ブロッケンの住処はどこにある?話を聞いている限りアラッサスはそこにいると思うのだが?」

「すまねぇ、兄ちゃんアラッサスを刺激しすぎたのか、近くの森まで移動しちまってよ…」


ふむ、近くの森か…そこなら精霊や妖精が多くいるはず。あまり使いたくはないがしょうがない。

ふと、考え事をしていたらユリアから

「私、少しだけ精霊や妖精の言語が分かるの…森なら妖精達も多くいるだろうし、やってみる?」


と提案された。確かにそちらの方が確実だろう、だがいいのか?と声をかけると


「何がいいのかって?私はいいって言ってるでしょ?」

と返答された。なるほどこれは質問の意味が分かっていないな…

「俺が言いたかったのは、そんなことをして妖精達が怒らないかということだ。」

そこでようやく意味が分かったのかユリアはバツが悪そうに顔を歪めた。


「だ、大丈夫だと思う。昔から精霊や妖精に嫌われにくかったから。多分、そう言う体質なんだと思う。」

あぁ、気づいてしまった。ユリアは何か隠していると…だが話したくないことだろう。俺だって話してないことが沢山ある。家族の事。自身の呪いの事。


「そうかなら、分かった。」

今はこれでいい、話したくなったら話してくれ。そう思いながら返事をした。

その意図に気づいたのかユリアは

「ゴメンね、ありがとう。」

そう言って一足先に森の方へと歩いていった。


森へ着くと精霊や妖精達の鋭い殺気が飛んできた。だが、この程度の殺気は子供の頃から体験している。前の方からユリアが

「どうしてこの殺気に当てられて平気なのっ」

と聞いてくる。

説明が面倒なので

「いいから早く、精霊達にアラッサスについて聞いてみろと」

言った。するとそんな俺の態度が気に入らなかったのかより濃密な殺気か飛んできた。だが俺は気にしない。

それよりもアラッサスについての情報の方が気になった。


「イーゼル。分かったよ、アラッサスはこの森の奥にある大きな洞窟にいるみたい。」


良くやった、お前のお陰で早くアラッサスの居場所について知ることができた。と返した。

すると、ユリアは嬉しそうに笑った。

やはり、ユリアは俺の妹に似ている。そんな気がしてしまった…。


あら、もうこんな時間。続きはまた明日。

明日はようやくアラッサスを倒すのよ、だからいい子はもう寝なくちゃ。おやすみなさい。

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