第5話 準決勝:宇宙ロボとの対決

 「皆、初出場でここまで来れるとはすごいぞ本当に!」


 飯盛先生は生徒達の頑張りに感動していた。


 「あらあら、家のマグナデウスならプロリーグ王者も行けるわ♪」

 「いや、祖母ちゃん調子乗り過ぎだってばよ」

 「ジンマ~? あんたは我が家の自慢のプリンスよ♪ 自信を持ちなさいって♪」

 「いや、バシバシ叩くなって!」


 試合が終わり、宿のリビングで語り合う金馬達は勝利を喜び合い英気を養った。


 翌日、試合会場では飯盛先生が黒のビジネススーツ姿の女性と会話していた。


 「委員長か? 懐かしいな、まさか君とここで再会するとはな♪」

 「垣花さんか、確かにな♪ 虎の奴は相変わらずかな? お互い生徒の戦いを全力で支えて行こう♪」

 「ああ、夫には家で娘達と留守を任せている♪」


 飯盛先生と笑顔で語り合う、黒髪ポニーテールの女性の名は垣花ゆかり。


 飯盛先生とは学生時代の級友、金馬の父の立磨とも同級生。


 卒業後の彼女は、フロートシティヒーロー高等専門学校の監督になっていた。


 「まさか、父ちゃんの母校とぶつかるとは奇妙な縁だな」

 「狭いヒーロー業界なら、こう言う事もあるよ♪」

 「あちらの機体はシャトル、探査車に衛星に重機と宇宙的ですわね♪」

 「宇宙タイプでも地上戦するんだ?」

 「おそらく、相手も合体タイプみたいですね?」


 試合開始前なので、互いのテントから目視とモニターで相手の機体を見て観察。


 「うわ、ジャック先輩♪ 何であっち幻獣と汽車なんすか♪」


 パイロットの一人らしい、茶色の髪をコアラっぽく頭頂部で纏めたギャルっぽい生意気な感じの女子生徒が金馬達の機体を見て笑う。


 「侮るなよキャンディ? あいつらは、メタロココ潰した凄腕だぞ!」


 ジャックと呼ばれた黒髪ジャーヘッドのガタイの良い真面目そうな生徒。


 キャンディと言う名の後輩の言葉に悩み、額に手を当てる。


 「ま、僕達もヒーローだしそう簡単には負けないさ♪」


 軽い感じの、皮肉屋っぽい緑髪の小柄な男子生徒が余裕をかます。


 「油断しちゃ駄目ですエリック先輩! あの龍のロボット、何か凄そうです!」


 日焼けした顔の銀髪ショートボブの女子生徒が、皮肉屋ことエリックに注意する。


 「あら? 何か、俺達舐めれてる? あいつら、東京でも島じゃん?」


 双眼鏡で見た対戦相手の態度に、カナメが若干切れた。


 「カナメさん、勝って見せつければ良いのですわ♪」


 メープルは相手の言葉にも動揺することなく、高笑い。


 「負けれないね」

 「東京がなんぼのもんで~す!」

 「コンバットゴーで行きましょう♪」


 マッシュとドロシー、シャルルも気合を入れる。


 「よっしゃ、全力で行くぜ!」


 金馬も闘志を燃やす。


 「「よろしくおねがいしま~っす!」」


 双方、前に出て礼をしてから機体へ搭乗する。


 「シャトル、スタンドアップ!」


 シャトルの担当はジャック。


 コクピット内でレバー操作をすし、機体を飛ばせてから垂直状態にするとシャトルが尾翼が伸びて足となり立ち上がり機首部分が割れて頭部が出てと変形する。


 「ローバー、ドッキングしま~す♪」


 キャンディが六輪の探査車を走らせれば、車体が左右に分離してシャトルと合体。


 ロボの右肩と右腕になった。


 「スター、ドッキングするよ♪」


 皮肉屋なエリックがボール状の小型人工衛星を飛ばす。


 左右の翼代わりのパネルが、縦に折り畳まれてシャトルロボの左肩になる。


 「ショベルも合体、行きますっ!」


 最後はショベルカーに乗った日焼け少女ことサリーが、機体を操縦し衛星から出たジョイントと合体して左腕となる。


 「完成、プラネテウス! って、お前らも言えよ!」


 合体した後、ジャックが機体名を叫ぶ。


 「いや、ジャック先輩? 私、暑苦しいのパスで」

 「僕も遠慮するよ」

 「プラネテウスッ!」


 皮肉屋なエリックと、ギャルな後輩系の少女キャンディはジャックに同調せず。


 サリーだけが、緊張したようにジャックを真似て叫んだ。


 「……お前達、説教は覚悟しておけ?」

 「「ごめんなさい!」」


 生徒達のやり取りをテントの通信端末で確認していた、垣花先生。


 ため息交じりに告げれば、エリックとキャンディがあやまった。


 「白いシャトルロボに、銀色の衛星やショベルカー?」


 カナメがプラネテウスを見て、家とどっこいじゃんと思う。


 「ショベルアタックです!」


 プラネテウスが先制攻撃でショベルアームを伸ばして殴かかる。


 「タートルパンチで~す!」


 ドロシーがマグナシャルルの左腕となったタートルで殴り返す!


 衝撃音が鳴り響ひ、両者揺れるも倒れず。


 「あっちも良いパンチだな、テールランスだシャルル♪」

 「はい♪ メープルさんも行きましょう♪」

 「お任せあれですわ♪ ロコモファイヤーエンチャント!」

 「ファイヤーテールランス!」


 右腕のロコモが持った黄金の槍に炎が灯り、突きが繰り出される。


 「家のローバーは、炎の惑星でも進めるっしょ♪」


 キャンディがレバー操作でタイヤを高速回転させて殴りかかり、槍を弾く!


 「今です、ショベルスイング!」


 サリーがショベルアームを操って、横薙ぎに振るう。


 「亀の如く耐えて見せま~す!」


 ドロシーが、バリヤーを素早く展開して耐える。


 「流石は準決勝、良いねえ♪」

 「はい、僕も燃えて来ました♪」


 金馬とシャルルが闘志を燃やす、競技と言う勝負に金案達は熱中していた。


 「くっそ、あいつらやるなあ! ドロシー、部位変わって!」

 「おっけです♪ ちょい飛び後退、お願いしま~す!」

 「おっけ!」


 バックステップして分離、マグナシャルルの左腕と右足が分離して交代、フェニックスが左腕になる。


 「あっちは、分離で部位移動できるのか? パネルビット、発射っ!」


 エリックが悔しがりながらパネルを射出、切り離されたパネルは飛び回りながら日光をビームに変えてマグナシャルルを攻める。


 「蚊に刺された方が痛いよ、バーニングクロ―!」


 マグナシャルルの左腕が燃え上がり、巨大な炎の爪となって振るわる。


 「冷却だ、シャトルインパルス!」


 ジャックが操作するプラネテウスのコア、シャトルロボの胴部が開き冷却水が放たれて爆発し両者が弾かれて距離を取られて仕切り直しとなる。


 「世の中広いね」

 

 マッシュが呟く。


 「だから面白いんだよ、マッシュ♪」

 「わかります、金馬さん達も面白いです♪」

 「金さんは面白い人で~す♪」

 「いや、俺は良いから!」


 仲間の呟きに答えた金馬、他の仲間達に色々言われる。


 「キャンディ、サリー、エリック? 各自状況は?」

 「こちらエリック、パネルが破壊されただけだ!」

 「キャンディ、ローバーはまだ行けま~っす」

 「サリーです、ショベルはアームが損耗してます!」


 状況把握を行うプラネテウス組。


 「こっちもバリヤシステムでエネルギーを食い過ぎてる!」


 ジャックも状況を伝える。


 「ジャック先輩、進みましょうプラネテウスアタックです!」

 「良し、サリーの提案を採用だぶちかますぞ」

 「ジャック、サリーに甘くない?」

 「ひいき~っ!」


 ワイワイ言いながら、突進するプラネテウス。


 「来たな、コントロールをくれ! ぶちかます♪」

 「はい、金馬さん♪ 決めちゃって下さい♪」

 「金ちゃん、かましちゃって!」

 「いよっ♪ 金さん♪」

 「部長のお手並み、拝見させていただきますわ♪」

 「来たよ!」

 「任せろ、龍頭突進りゅうとうとっしんっ! ファンロンストライクだっ!」


 マグナシャルルが瞬間変形。


 右腕がマグナファンロンとなり、突っ込んでくる相手にストレートで殴り返した。


 プラネテウスのショベルアームとマグナファンロンの龍の頭がぶつかり合う。


 「良いパンチじゃねえか♪ だが、俺の方がしぶといぜ!」


 ぶつかり合いから龍の頭が咢を開き、ショベルアームを噛んで投げ飛ばした!


 「「ぐわ~~っ!!」」


 投げとばされ、地面に叩きつけられたプラネテウスは最後に各部位がパイロット達をエアバッグで包むと機能を停止した。


 「勝者、マグナデウス! 山梨県立ヒーロー高等学校、決勝進出を決めました!」


 アナウンスが鳴り響き、金馬達の勝利が宣言された。


 運営スタッフと自衛隊に救助された、ジャック達プラネテウスチーム。


 金馬達マグナデウスチームと向き合い、試合終了の礼を行う。


 「「ありがとうございました!」」


 礼を終えた後、メンチを切り合うカナメとエリック。


 慌てるサリーにどこ吹く風なキャンディ。


 勝利の高笑いを上げる、メープルとドロシーに苦笑いのシャルル。


 「ジャックだ、おめでとう」

 「金馬だ、ありがとよ♪」


 ジャックと金馬のリーダー同士は握手を交わす。


 大会初出場にして決勝進出を決めた、金馬達であった。

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