第4話 三回戦:海賊ロボットとの対決
「皆、二回戦突破おめでとう♪」
試合終了後、宿のリビングにて飯盛先生が金馬達を労う。
「皆、ナイスファイト♪ 流石は、我がロンスター社の技術力の結晶ね♪」
ジンファもノリノリで祝福する。
「まさか、マグナデウスに合体無しで戦うとは思わなかったぜ」
金馬が思い返す。
「ですが、いつもと違う戦闘の経験も面白かったですわ♪」
メープルは高笑い。
「いや、勝てたけど今後は俺達の機体も人型への変形機能が欲しいっす」
「そうね、カナメ君の意見はこの大会後に実装するわ♪」
カナメの言葉にジンファが頷く。
「でも、まさかの三回戦進出で~す♪」
ドロシーが喜ぶ。
「あらあらドロシーちゃん♪ メタロココとの決戦を乗り越えたマグナデウスとあなた達のスペックは、まだまだそんなもんじゃないわよ♪」
ジンファが笑顔で拳を握る。
「それは、僕達には実戦の経験値が活きてるって事ですか?」
マッシュがジンファに尋ねる。
「ええ、私達も四度目の恐怖の大王戦争を乗り越えたけど実戦経験は財産よ♪」
「ジンファさんの言う通りだ、私もあの戦争を生き抜いた経験は今に生きている」
ジンファと飯盛先生が答える。
「普通は競技から、現場での悪の組織との実戦へと言うのが定番の流れみたいですね」
シャルルがスマホで検索してみる。
「まあ、それはそれで次は何処と対戦するんだ俺達?」
「次は、島根代表のカラヨキ海洋高校と言う学校だな」
金馬の問いかけに先生が答える。
「カラヨキって、フィンランドの都市ですわよね?」
「島根とは、姉妹都市らしいで~す」
メープルの疑問にドロシーが答える。
「ああ、水産系の学校でも巨大ロボでの漁業とか研究してるんだっけ?」
「うん、テレビで見た」
カナメが思い出したように呟けば、マッシュが相槌を打つ。
「陸の上だけどどうするんだろ?」
「どんな相手でも、恐れずに立ち向かいましょう♪」
金馬は、相手がどんな奴だろうかと気になるもシャルルの元気に黙った。
翌日、金馬達は愕然としていた。
「どうみても、バイキングだな」
「海賊のイメージがするね」
「島根要素はどちらへ?」
「私達も山梨要素はないで~す」
「でっかい海賊?」
「似たようなのを、宇宙蛮族図鑑で見たことがあります」
会場で金馬達が目撃したのは、巨大なバイキングの戦士。
角付き兜に丸盾、ハルバードといかにも北欧の海賊とでも言うべき姿。
「ふっふ~ん♪ これが私達の機体、ヴォーダンよ♪」
金馬達にドヤ顔をするのは、ちっちゃな美少女パイロット。
短い金髪に青い瞳と白い肌、北欧系美少女が流暢な日本語で語る。
ロボと同じく着ている姿も、バイキングの戦士っぽい角付き兜とかだ。
少女以外の他の面々もバイキングルックと、島根要素がなかった。
「アリサ~ッ! ドヤ顔してないで礼だよ~っ!」
黒髪の三つ編みで、同じくバイキングルックの瓶底眼鏡の少女が慌てる。
「あちらの衣装は、何か意味があるのでしょうか? 何か妙な気配がしますが?」
シャルルが疑問を呟く。
「恐らく、魔法的な意味があるんだよルーン文字が刻んであった」
「なるほど、魔法はまだよくわからないです」
「俺も、正直よその国の魔法は深く勉強してないからいまいちわからん」
シャルルの疑問に金馬が答えてから、一同整列して礼となり試合開始となった。
今回の試合は、サイズ差の調整はなくマグナデウスとシャルルロアの合体した姿。
マグナシャルルで挑む事となった金馬達。
「皆、相手は多分ルーン魔術を使って来るからバリア貫通くらいは覚悟しとけ!」
「バリアは割られても、気持ちは割れませ~ん!」
「ルーンって、文字の奴だっけ?」
「ゲームで偶に見た地味魔法?」
「マッシュさん、侮ったら駄目ですよ!」
「まあまあ、それでは皆様ご唱和を♪」
「「マグナシャルル、コンバットゴ~~~ッ!」」
大地を唸らせ、駆けだすマグナシャルル。
「相手が動いたわ! 皆、私に魔力の充填お願い!」
「オ~~~~ッ!」
ヴォーダン側のコックピット、アリサ以外の選手達は横並びに設置されたボートの形をしたパイロットシートでオールを漕ぎ出した。
アリサは、ボートのこぎ手達の後ろにある円形ステージに立つ。
漕ぎ手達の兜から青い魔力の光が出てきてアリサの杖に吸い込まれる。
「よっし、まずは第一波の攻撃開始♪」
彼女がルーン文字を刻んだ杖状のコントローラーを振るえば、コックピットの外ではヴォーダンがハルバードを頭上に掲げて振り回す。
「げげっ! 金ちゃん、あれがルーン文字?」
「光ってて、相手の機体の周りを文字が回転してますわ!」
「ヤバいエフェクトって奴?」
「金さん、こっちも仙術で対抗するで~す!」
「金馬さん、お願いします!」
「任せろ、術を破るなら雷法か?
金馬がコックピットで、中国の最高位の雷神の名を叫び、レバーを操作する。
マグナシャルルが自動操作で人差し指と中指を揃えて伸ばすポーズを取る。
同時に天を雨雲が多い、ヴォーダンに雷が落ちてルーン文字が消滅した。
「ちいっ! あっちも、魔法使うなんてまどろっこしいっ!」
ヴォーダン内で魔術を破られたアリサが悔しがり、白兵戦にシフトする。
「うおっしゃ、雷祖様ありがとうっ! 行くぜお前ら♪」
「金馬君、神様に好かれてますのね?」
「何か、神様の組織とコネがあるっぽいね?」
「マグナデウス、興味深いロボで~す♪」
「行きますよ、ファンロンテイルランスです♪」
マグナシャルルは、コアパイロットがシャルル。
黄金の騎士槍が振るわれたハルバードを突き返す。
「よっし、母ちゃん直伝の
金馬が操作し、マグナシャルルが体当たりでヴォーダンを突き飛ばす。
だが、ヴォーダンもさる者で転倒はせず後ずさって耐えた。
「ちいっ! あの合体ロボ、白兵戦もやるわね?」
アリサが舌打ちする。
「アリサ~? そろそろ、漕ぐの休ませて~!」
漕ぎ手を代表して三つ編み眼鏡の子が叫ぶ。
「わかったわよ、全員休んで!」
アリサが他のメンバー達を休ませる、仲間の頑張りでエネルギーに余裕ができた。
「勝利のルーンよ! 炎のルーンよ! 私達に力を!」
アリサが叫べば、ヴォーダンおハルバードの刃にルーン文字が輝き炎が灯る。
「金馬さん、あれは相手の必殺技でしょうか?」
「ああ、全力でフィールドを頼むぜドロシー!」
「アイアイサーッ! タートルアクアフィールド!」
「うわ、デカい火の玉が飛んで来た!」
「皆さん、お気を確かに!」
「マグナシャルルを信じる」
ヴォーダンのルーン魔術で飛んで来た火の玉を、巨大な六角形の青い水のバリヤーを展開して受け止めるマグナシャルル。
マグナシャルルのバリヤーは割れて霧散化した。
だが同時に、相手が放った火の玉も打ち消すと仕事を果たした。
「魔術は術者のメンタル次第、こっちは六人分増幅で乗り切ったぜ!」
「お互い、損傷は無しですがここで決めましょう♪」
「シャルル君、任せた!」
「一丁、ぶちかまして下さいで~す♪」
「行ける気がする」
「お任せ下さい、シャイニングドラゴンチャージです!」
シャルルが叫びべばマグナシャルルが変形。
黄金の龍に乗った白き騎士が光を纏いランスチャージを敢行する。
「負けてたまるもんですか! 受け切って見せるわよ!」
アリサは防御からの反撃を狙い、ヴォーダンが盾を構える。
光り輝く無数のルーン文字が現れて、ヴォーダンを球状のバリヤーで包む。
光の竜騎士の突撃は、海賊の戦士の防御を貫き、打ち倒した。
「勝者、山梨県立ヒーロー高等学校!」
大会側から判定の叫びが上がる。
突き抜けて残心を決めたマグナシャルルと、転倒したヴォーダン。
金馬達は、三回戦を乗り越えたのであった。
「うおっしゃあっ♪ やったぜ皆♪」
「はい、やりました♪」
「いや~、マジでバリやーが割れた時はビビったわ」
「カナメさん、私のバリヤーはフリじゃないで~す!」
「ドロシー、バリヤーが割れるのが芸風になってない?」
「ある意味伝統ですわね♪」
「みんな酷いで~す!」
機体内の通信でがやがや言い合う金馬達。
機体を降りて、対戦相手と試合終了の礼をする。
「覚えてなさいよ、次は負けないからね!」
「アリサ~ゥ! お行儀悪いよ~っ!」
金馬達に闘志を燃やすアリサ。
「ああ、何時でも受けた立つぜ♪」
「……何よ、次はそっちの学校に乗り込むからね!」
「おう、遊びに来い♪」
笑顔で応じる金馬、何となくアリサと金馬に友情めいたものが芽生えた。
勝った金馬達、次に挑む試合は準決勝だ。
「生徒達が微笑ましい、むむっ! まさか我が母校が勝ち上がって来たか!」
テントのモニターで金馬達の様子を眺めつつ、他の試合も見ていた飯盛先生が驚いて立ち上がる。
次の対戦相手は、東京都の代表フロートシティヒーロー高等専門学校であった。
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