第21話 日々問答
「それじゃ一つ目ね
星夜の話によると
山の峠に立っていたらしいけど
何でそんな所にいたの?」
日々さんの一つ目の質問は、
自分と紫織さんの出会った時の話だった。
確かに今思うと不思議ではある。
普通に考えてもあんな場所に
こんな女性が一人で立っているのは、
以上な事だ。
「それは……実は、あの日
神降ろしの滝に来てたんですけど…」
「神降ろしの滝?」
「星夜何で貴方が知らないのよ?」
日々が呆れた顔でこちらを見る。
…そっそんな事言われても
仕方ないじゃないか知らないものは
知らないんだし…そんな有名な場所なのか?
「神降ろしの滝…別名平家の滝」
「あっ平家の滝ね」
平家の滝と言う言葉を聞いて、
星夜は、やっと言葉の意味を理解した。
平家の滝とは、その昔源平合戦に敗れた
平家の落武者達が家族を連れて逃亡
苛烈な落武者狩りに遭いながらも
山中に逃げ込み食糧も飲み水も無い中
この滝に出会い
水だと疲労困憊の中滝の水を飲むと
立ち所に疲労が取れ
この滝に居る間は、落武者狩りにも見つからなかったと言う伝説がある滝だった。
「でも何で平家の滝が神降ろしの滝って?」
「町おこしの一環よ
言い伝えの中に平家の人間が舞を踊ったら
神様が現れたとか
そう言う話があったから…って
星夜それぐらい知っておきなさいよ」
「うっごめん」
「あの…」
「あっごめんね星夜が…
それでそれで?滝に来てどうしたの?」
「滝に来て帰ろうとしたら
道に迷いまして」
「あ〜もしかして、
道が悪い場所から登った?」
「…はい」
「それで帰り道は、道が整った方に帰った?」
「はい…看板でもそちらが近いと書いてあったので」
「あれ罠よね、しかもその道通ったら
何処かわからない道に行くって」
「そっそうです。それで何処かわからなくて
やっぱり引き返そうとしたら
その猪だと思うんですけどそれが急に
道に出てきて」
「あぁそれでパニックなって
とにかく逃げたら帰り道がってことね」
「…はい」
あぁなるほどだから紫織は、
あんな場所に立ってたんだ
確かに慣れてないと猪怖いもんな。
「了解理解したわ
…これは、後で役所に言っておかないと」
そう日々さんは、ぶつぶつ喋る。
「よしそれじゃ二つ目ね」
「はい」
「紫織さんはこれからどうするの?」
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