第22話 日々問答②

「これからどうする…?」


「えぇこれから…いつまでも星夜の家に

 泊まる訳にはいかないでしょ?」


「私は、このまま永遠に

 星夜くんの隣にいたいです。」


「へっ?……あらあらあら」


「ちょっ!?紫織さん?

 何言ってるんですか?」


「星夜くんは、嫌なの?」


紫織さんが悲しそうにこちらを見てくる。


「いっいやそう言う訳じゃないですけど

 紫織さんにも生活があるでしょう

 仕事だって」


「それは………大丈夫」


「その間は、大丈夫じゃないでしょ

 それに俺だって家族になんて言えばいいですか」


「それは………頑張って」


「頑張って!?」


あまりにもの言葉に星夜は驚く。


「ふむふむつまり…君達の関係は?」


「友人?」


「運命の人」


紫織と星夜の会話を

ふむふむと聞いていた日々は、

理解したと呟く


「なるほどつまり今は、紫織さんの

 片思いという事か」


「ちょッ!?」


「……不本意ですが」


星夜は、驚き

紫織は、残念そうに呟く。


「了解それじゃ紫織さん貴女の希望は、

 受け入れられないわね」


「……何故ですか?」


紫織は、日々を睨みつけるが

日々は、飄々としていた。


「もし貴方達が恋人同士だったら

 おじさん達の説得も協力してあげようと

 思ったけど片思い程度なら

 星夜の負担になるだけだから反対するわ」


「負担になりません」


「なるわ、仕事はどうするのか?

 住む場所は?お金はどうするの?

 ほら色々問題が出てきた」


「………」


「貴女だって、本当は分かってるんでしょ」


「………ハァ」


紫織さんが溜息をついて、

部屋の空気が心なしか温度が下がるのを感じる。


「日々さん…貴女

 空気読めないって言われない?」


「夢見がちな女よりいいでしょ?」


「それって私の事ですか?」


「いいえ…ただ自分でそう思うなら

 気をつけた方がいいんじゃない?」


「ふふふご忠告ありがとうございます」


「いいえどういたしまして」


紫織と日々の間に火花が散る。


「えっあの…」


(何でこんな空気になるの…って!?

 馬鹿!!俺の腹)

 

星夜は、この雰囲気に

オロオロするしか出来なかったが

星夜のお腹は、空気などお構いなく

大きな音で鳴り響いてしまう。


「星夜?」


「星夜くん?」


睨み合っていた二人が同時にこちらを見る。


「あっいや…すいません」


星夜は、恥ずかしくなり顔を赤くする。


「…ふふ恥ずかしがらなくてもいいのよ

 すぐにご飯の準備するから」


そう言って、紫織さんが立ち上がる。


「まだ話は終わってッ」


「安心してください遅くとも明後日には、

 帰りますから」


そう言ってからニコリと笑い

部屋を出て行った。


「……星夜」


「……はい」


「…頑張れ」


「………」


その言葉に無言になるしかなかった。

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