第19話

「ふーんなるほど

 それで彼女を家に泊めていると

 …うんうんなるほど」


目の前にいる先輩…いや

立花日々たちばなひびは、

わざとらしい態度でうんうんと頷く。


(…絶対この状況を面白がってる

 くそっやっぱり隠しきれなかったか)


日々先輩は、昨日電話で話していた時に

俺の方から女性の声が聞こえてもしやって、

事で家に訪ねて来たらしい。


「と言うか星夜が私を先輩って呼ぶ時って

 何かやましい時がある時なんだよね」


「そっそんな事はないですよ〜…

 それであの〜せんぱ…日々さん」


「ん〜どうしよっかな〜?

 私、叔母さん達から旅行中頼まれてるからな〜」


「…いや全然こなかったじゃないですか」


「それは、あの雨だったし

 電話はしたでしょ?

 それに星夜の事信用してたし

 まぁ…でもまさか女性を

 家に連れ込んでるとは思わなかったけど」


うっ…星夜は、何も言えなくなり下を向く。


「まぁでも私は、嬉しいよ君がそんな大胆な事するなんて…それで」


日々さんは、すっと近くに寄って来て

小声でこっそりと耳元で呟く。


「…夜はちゃんとできた?」


「ゴホッ!!何言ってんだ!!」


日々の突然の言葉に咳込みながら

星夜は、怒鳴りつける。


「あれ?その様子じゃ手出してないの?」


「当たり前だ!!」


「えぇ…意気地なし

 そんなんだから彼女出来ないんだよ」


日々は、やれやれとため息をついた。

 

「なっ!?それは、関係ないでしょ!!

 それに日々さんだって彼氏いないくせに!!」


「えっそりゃ今作る気ないし、

 星夜と違って私やる気出せば

 男の一人や二人…ね」


そう言いながら、こちらにウインクをする。


…くそっ悔しいが反論できない。

確かに日々さんは、

ショートカットのスポーツ系美少女で

高校時代から異常なほどモテていて、

大人になった今では、

そこに大人の魅力が加わった。

認めたくないが魅力的な美人である。


「ふっふん…そんなこと言って、

 友人の結婚式に行って

 酔い潰れて帰ってきて

 結婚したい〜彼氏欲しい〜とか

 喚いていた人は誰なんでしょうかね?」


「そっそれは、その…今は関係ないじゃない

 …叔母さん達に…バラすわよ」


「すいませんでした」


「わかればよろしい」


そう言って頭をポンポンとされる

とてつもなく屈辱だが耐えるしかない。


「それより彼女大丈夫だよね」


「大丈夫とは?」


「察しが悪いわね…彼女が未成年か

 どうか聞いてるの未成年なら犯罪よ」


「それは…大丈夫でしょ」


そう言いながら紫織さんがいる部屋の方向を見る。


紫織さんは、日々さんに説明し終わるまで

別の部屋で待機してもらっている。


「大丈夫って、身分証でも見たの?」


「いや見てないけど成人してるでしょ」


「馬鹿ね女は、化粧すればいくらでも

 変われるものよ」


「そうなのかな?」


「そうよ紀元前から紡がれ進化し続ける。

 女性の美への熱意と技術を

 舐めるんじゃないわよ」


「主語がデカすぎる」


「…あの?」


「「ん?」」


星夜と日々は、声のする方に視線を向ける。

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