第18話

「………最低ですね」


…最低か…その通りだな

勝手に嫉妬して不機嫌になる男なんて、

ハハ…やっぱり俺は、なんだな。


星夜が項垂れるがそこに紫織から

新たな言葉が紡がれる。


「本当に…私が」


「えっ?」


…私が?


「さんざん忠告されていたのに

 それを忘れて結果星夜くんに、

 嫌な思いをさせてしまって

 ……これでなんて…」


「繁栄の巫女?」


紫織がポロリと溢した。

繁栄の巫女と言う言葉に引っかかり

聞き返したが紫織は、

詳しく教える気はないらしく

語ろうとしなかった。


「星夜くんあなたが私に嫉妬したことに

 失望も悲しみも怒りもありません」


「…でも」


「私の価値観が人とは違う事は、

 前からわかっていました。

 実際家族にも忠告されたことがあります

 それなのにそれを忘れ

 自分の価値観で動いてしまいました。

 ごめんなさい」


紫織は、そう言って頭を下げる。


いやそんな事は無いと言おうとしたが

紫織さんの態度からいくら言っても受け入れてもらえないこれは堂々巡りになってしまうと感じた星夜は、謝ることだけが全てではないと考えを改めることにした。


「分りました謝罪を受け入れます。

 そのかわり俺の謝罪も受け入れてください

 紫織さんに嫌な態度をとってしまい

 本当にすいませんでした。」


「星夜くん……うんはい受け入れます」


「よっよし、じゃあこの話は、

 これでおしまいと言うことで

 帰りましょう」


声が少し裏返ってしまったが

星夜は、空気を変えようとテンションを無理矢理上げる。


「星夜くん……ありがとう」


「いえ……それより楽しみです!

 すき焼きもうお腹空きましたよ」


「…ふふ…うん楽しみにしてて、

 腕によりをかけるから」


そう言って紫織さんは、笑った。

        ・

        ・

        ・

その後少しぎこちなさが残りながらも

楽しく二人は、会話ができていた。


「そろそろ家に着きますよ」


「うん降りる準備するね」


窓の外を見ていた紫織さんが返事を返す。


外は昨日の大雨とうってかわって、

日が差して見通しが良かった。


(後で茶畑回らないとな〜

 よかったら紫織さんを連れて行こうかな?

 見晴らしが良いとこもあるし)


そんなことを考えながら自宅について駐車場に車を駐車しようとすると

目の前に見覚えがありつつも特徴的な車が停めてあるのに星夜は気づく。


「あれ…?オレンジ色の車止まってるね?」


「…まずい」


当然紫織さんもその車に気づき

星夜に聞くが返事が返ってこず不思議に思い星夜の方を見るとまずいまずいと言葉を口ずさんでいた。


「星夜くん?どうしたの」


「へっ!?いやその……ちゃっ茶畑の様子見に行きませんか?」


「えっ?今帰って来たばっかりだし

 お買い物も冷蔵庫に直さないと

 それにお客さんじゃないの?」


「うっ…いやその…「星夜!!」…ひっ」


星夜がしどろもどろになってると

そこに女性の声がかかる。


「ん?……誰?あの女性」


「あれは…その…」


声がした方を見ると星夜の家の縁側から

こちらに邪悪な笑顔で手を振る女性の姿があった。






「……先輩です」

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