第17話
『星夜覚えておきなさい自分のせいで
女の子を泣かせてしまったら
誠心誠意謝りなさい』
『えっでも…』
『恥ずかしい?』
『うん』
こくりと頷く。
『でもね星夜?謝れなかったって、
後悔するよりかはいいと思うよ
大人になるとね…謝りたくても
謝れなくなってしまうものだから』
『おば『あ?』…お姉ちゃんもそうなの?』
『私は…そうね私も謝れなかった』
『後悔してる?』
『…えぇとても…だからね星夜
君は、謝れる時はしっかり謝るんだよ?』
『うん!!わかった!!』
・
・
・
「すいませんでしたッーー!!」
星夜は、地面に頭を擦り付ける。
「俺ずっと紫織さんに謝ろう謝ろうと
思ってたのに気まずくて謝れなくて」
車の助手席に乗り涙を流しながら
困惑している紫織さんに思いの丈をぶつける。
「俺…会話が下手で
こんな形でしか謝れないけど」
「…星夜くん」
「俺は!!「星夜くん!!」」
紫織は、星夜の言葉を遮る。
「わかった…いや…あの…わかってないけど
とにかく!!星夜くん頭上げて?」
「いやでも!!」
「取り敢えずその移動しよう?
その…周りがね?」
「えっ?」
星夜が周りを見ると
遠巻きにこちらを見ている人の目があった。
「あっ…はい…」
・
・
・
「…どうぞ」
「うん…ありがとう」
星夜は、紫織に飲み物を渡した後
自分の分の飲み物に口をつける。
あの後、人の目から逃げるように
車を走らせ人目につかない場所に移動し
そこにあった自動販売機で飲み物を買った。
「あの…ね?」
「…はい」
(なんて事したんだ俺!!)
頭が冷えた星夜は、
恥ずかしさで体が熱くなり顔を赤くする。
「土下座までして謝ってくれたんだけど
星夜くんは、何も悪いことしてないよ?」
「いや紫織さんを泣かせてしまいました」
「それは…私が悪いの
星夜くんのせいじゃないわ」
「そんなこと」
「ううん私のせいなの」
紫織が首を横に振る。
「星夜くん…謝らせて
私、何か星夜に不快な事
嫌な事しちゃったよね
本当にごめんなさい」
紫織さんは、そう言って姿勢を正した後
こちらを向いて頭を下げる。
「紫織さんそれは、違います
顔を上げてください」
「でも…」
「お願いします。」
紫織は、渋々顔を上げる。
「これだけは、はっきり言います。
紫織さんは、何も悪くありません
悪いのは、器が小さく紫織さんに嫉妬してしまった俺です」
「嫉妬?」
星夜は、二人で買い物したあの時事を
少しづつ語り出す。
紫織さんが高級な食材を躊躇いもなく
カゴに入れた時の驚き…
躊躇する様な値段に怯む
自分の横で何でもない様に支払う
紫織さんに対する価値観の違いへの驚き…
それに対して、惨めさや嫉妬をしてしまい
無愛想な態度になってしまった事
自分で言ってて、
どんだけ最低な男なんだと落ち込む。
「…と言う事なんです
だから全て俺が悪いんです。
ごめんなさい」
紫織は、星夜の告白を黙って聞いた後
ポツリと口を開く。
「………最低ですね」
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