第15話 価値観の違い

「さて、店に着きましたよ」


星夜は、駐車場に車を止める。

この店は食品を中心に販売してる店ではあるがショッピングモールほどの品数では無いが結構幅広くいろいろなものを売っていて、

値段も結構お安めではある。


「わぁ…」


紫織さんは、車を降りてその店をジーと見つめていた。


「紫織さんどうしました。

 あっすいません最初

 服屋のほうがよかったですよね」

 

星夜は、心の中で店くる順番を

間違えてしまったと反省する。


「あの…あれだったら服屋の方に」


「ううん大丈夫だよ、

 どうせ服屋では下着だけ買うつもりだから

 それより早く行こう?」


紫織さんは、そう言って星夜の手を握り

店の中に歩き出す。


「ちょ!?紫織さん?」


✳︎✳︎✳︎✳︎


「星夜くん何か食べたい物とかある?」


紫織は、野菜を見ながら隣にいる

星夜に質問する。


「食べたい物ですか…うーん特になんでも」


「むっダメだよ星夜くん何でもってのが

 一番困るんだから」


星夜の返事を聞いて紫織は、

ムッとする。


(確かになんでもって言う

 答えはまずかったな)


星夜は、素直に謝る。


「うん反省してるならいいよ

 それでせめてお肉か魚か

 くらいは選んでくれるかな?」


「あぁそれだったらお肉で」


「うんわかったわ

 それじゃ…すき焼きにしようかな?」


紫織は、そう言うと

テキパキと食材をカゴに入れ始める。


「確か白菜は、あったよね」


「えっとはいありましたよ

 後は、畑には…今はネギしかないですね」


「あるだけ十分だよ」


そう言って店の中を歩いていくと肉などが置いてある場所にたどり着くが

そこで紫織は、牛肉を取ろうとするが

それを見て星夜が驚く。


「えっ!?しっ紫織さん?」


「ん?どうしたのもしかして

 牛肉嫌いだった?」


「いっいや大好きですけど」


星夜は、冷や汗がダラダラと出始める。

紫織が取った牛肉は、一つ千円以上する

高級品だった。


「ん?あっそうだよね」


ほっ値段に気づいてくれた。


「男性だもんね、これだけじゃたりよね」


そう言って紫織は、高級な牛肉のパックを次々とカゴに入れる。


(なっ………!?)


星夜は、目の前の信じられない光景に

言葉を発する事もできずにただ立ちすくんでいた。


その後も

「あっこれ美味しそう」


「ふぁ!?」


と高級デザートを


「これ後で二人で飲みましょう?」


「あわわ」


と高級なお酒を


どんどんカゴに入れて行き

ついに二人は、レジに着く。


(おっ終わった…いったい

 いくらになるんだ?)


星夜は、胃が痛くなるのを感じながら

増え続ける値段を見ていく。


(五千円…ひっ一万円…二万…

 ハハハ三万五千円だって)


「あっこれで」


「はいありがとうございます」


(うぅゲーム機買う為に貯めてた貯金がぁ)


星夜は、心の中で血涙の涙を流しながらカードを取り出す。


「星夜くん?どうしたの」


「支払いをしようと…」


「もう終わったよ」


「へっ?」


周りを見ると不思議そうに見ている紫織と

哀れみを込めた目で見る店員がいた。


星夜は、顔を真っ赤になるのを感じながら

カゴを持ち移動した後袋詰めを始める。


「しっ紫織さんお金後で支払います」


「いや払わなくても大丈夫だよ」


「いやでも」


「はは心配症だね

 私でも払えるよ」


このくらいって…

紫織の言葉にショックを受ける。


「よし出来たほら星夜くん行こう?」


「はっはい」


紫織と星夜は、袋を持ち車に向かう。


「次は、服屋さんだね」


「…そうですね」


二人でそう会話していると紫織が何かを思い出してあっと声を出す。


「ごめんなさい星夜くん

 買い忘れがあったから

 ちょっと買ってくるね」


「…まだ何か買うんですか?」


星夜は、ぶっきらぼうに返事を返す。


「うんごめんね…その」


紫織が星夜の耳元に近づきこそっと呟く。

「女の子の…ね?」


「…そうですか分かりました」


「うっうんそれじゃ行ってくるね」


紫織は、予想していた態度じゃないことに

不思議に思いつつも袋を星夜に預けて

店の中に入って行った。


「…何やってんだ俺」


そう言った後星夜は、紫織から背を向け

車の方に歩き出す。

惨めさと罪悪感胸に秘めて…

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