第12話 雨上がりのお出かけ

「雨止んだね」


「そうですねまぁ二日降り続けて

 今日もってなったらね」


紫織と星夜は、

二人並んで外の天気を見る。


外は、二日間降り続けた雨が上がり

陽の光が降り注いでいた。


星夜と紫織は、食材が切れた事もあり

買い物に行く事になった。


「それじゃ買い物行きましょうか?」


「うん」


紫織さんは、出会った時に着ていた格好をして隣で頷く。

星夜は、その格好を見て少し言いたい事ができる。


「あの紫織さん…その髪」


「髪?ああ…ダメかな?」


紫織は、前髪を掴み首を傾げる。

そう星夜が聞きたかったことは、

目が隠れるほど長い前髪のことだった。


ついさっきまで紫織さんは、

髪を纏めていたのだが

出掛ける段階で髪を解いていて

分かりやすく言うと貞子スタイルになっていた。


「いえただ前が見づらそうで」


「ふふ慣れると大丈夫よ」


「そっそうですか」


何で髪を解いたのかを

聞きたかったのだがうまく聞き出すことができなかった。


星夜は、自分のコミニケーション能力の低さに恨みながら疑問を心の奥に押し込み

軽トラに向かう。


「街に行くのに乗用車の方がいいと思うんですけど豪雨後なので一応軽トラでいいですか?」


「うん私は、気にしないよ」


紫織の返答にホッとしつつ軽トラのドアを開けると中は、汗臭かった。


「ヤバいヤバい何で!?って消臭剤切れてる」


いつもの星夜なら気にしないのだが

女性を乗せるとなると話が違う。

星夜は、消臭剤を急いで取り替え

ふりかける用の消臭剤を車の中にふりかける。臭いを消す努力をする。


(これに紫織さんを乗せるのはヤバいだろ!

 てかっ一昨日はこれに乗せてたのか)


「星夜くんどうしたの?」


当然そんな慌てる姿を見た紫織は、不審に思い近づいてくる。


「あっ!?ちょっと待って下さいね

 やっぱ乗用車でいきましょうか?」


その段階で星夜は、諦め別の車で行こうと

方針を変える。


「えっ何で?」


(何でって、臭いからだよ!!)

と言える訳はなく適当な言い訳を考える。


「あっいや〜ガソリン無いの忘れてて」


「それなら途中で

 入れればいいんじゃない?」


「うっそうですけど…とっとにかく

 乗用車に乗りたくなったんです」


「そっそう…わかったわ」


星夜は、支離滅裂になりながらも勢いで

了解を得る。


「それじゃ車の鍵持って来ますね」


そう言って星夜は、家の中に入って行った。

そんな星夜を紫織は、苦笑いして見つめていた。


「そんなに気にしなくていいのに

 …でも嬉しい」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る