第11話 田舎特有(山間地限定)

「ハァ…疲れた」


外は、雨で分かりずらいが

日が沈み暗くなった頃

星夜は、疲れた様子で部屋を出る。


「先輩やっぱりまだ疑ってたな〜

 言葉の節々に棘があったもん」


星夜は、今の今まで無視し続けていた

先輩と通話していた。


(おじさん達に連絡するぞって

 言われたら出るしかないよな)


「まぁ最終的には、

 家に女性を連れ込む様な度胸もなければ

 そんな相手もいないって事で納得してたけど」


自分で言ってて悲しくなるし

それで否定されないのも

まぁ俺は、モテないしな…ハハ…はぁ…

星夜は、肩を落としながら

トボトボとキッチンに向かう。


キッチンには、手を洗っている紫織さんがいた。

「紫織さん」


「ん?星夜くん、ごめんねまだ料理作ってないの」


「いや逆に毎回つくってもらって

 申し訳ないですから俺が作りますよ」


「えっでも…それじゃ二人で作ろう?」


「ああそうですねそうしましょう」


星夜は、紫織の隣に立ち手を洗い始める。


「あっ星夜くん良ければ晩御飯食べた後

 相談があるんだけどいいかな?」


「相談ですか」


(ついに来たか…何を相談されるのだろう)


星夜は、この後来るであろう重い話を

想像して気が重くなる。


そんな姿を見て紫織は、クスリと笑う。


「安心してそんなに重い相談じゃないから

 心配しないで…それより早く

 晩御飯作りましょう?」


「はっはい」

         ・

         ・

         ・

「それで相談って何ですか?」


晩御飯も食べ終わり

紫織さんの相談に乗る事になった。


「えっとこれなんだけど」


紫織さんは、ポケットから何かを取り出す。


「スマホですか?」


「うんなんか調子が悪くて」


紫織さんが言うには、

電波は立ってるのに通信が繋がらないらしい

…ってこれは


「あぁそれは、スマホが悪いんじゃなくて

 この場所が悪いんですよ」


「場所?だって電波は、圏外じゃないよ?」


紫織が不思議そうに首を傾げる。


(あぁ紫織さん都会っ子だからわからないのか)


「これ田舎では、よくある現象なんですよね

 専門的な事は、わからないですけど

 何か電波が山に反射して上手く繋がらなく

 なるらしいです。」


「そう言うのがあるの?

 じゃWi-Fiも?」


「Wi-Fiもです。

 でも少し…こんなふうに移動すると

 繋がったり夜になると

 繋がる場所が変わったりしますよ」


「へっへぇ〜そっそうなの…」


紫織さんが困惑しているのがわかる。

まぁわかるまい山の中に住む

田舎者の苦労は……涙


「とにかくそう言う事なので

 電話とかしたいなら固定電話貸しますし

 後は、電波がある所を教えますよ」


「そう…なら…あっ確か星夜くんのお部屋

 電話できてたよね」


「えっはい窓側によればできますけど

 あそこよりそこの縁側の方が電波来ますよ」


「でも…」


うん?どこか困っているように見える。

何か俺の部屋じゃないといけない

理由があるのかもしれない。


それは…なんだろう?

例えば電話の内容を知られたくないとか

…あっ!そう言う事か!!


「分かりました俺の部屋使っていいですよ」


「本当に?…ありがとう」


紫織さんは、ほっとした表情になった

どうやら予想が当たったらしい。


「それじゃ行ってくるね?」


「はい部屋には、

 近づかないようにしますので」


紫織さんは、ニコリと笑って電話をしにむかった。


星夜は、電話の内容が気になりはしたが

それを我慢してテレビを見る事にした。

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