第5話

「あの星夜…くん」


テレビを見ていたら後ろから声がした。


振り向いて見るとそこには、

長い髪を一つに纏めてブカブカな服を着た

紫織が恥ずかしそうにモジモジしていた。


「グフッ…」


(可愛いッ!!破壊力高すぎだろ!!)


風呂上がりの女性が自分のブカブカな服を

着て萌え袖で恥ずかしそうにしている。


夢の様な目の前の神聖な光景に

星夜は、心から浄化される。


「どうしたんですか?」


首をコテン倒し紫織さんがこちらの様子を伺う。


(何でまた紫織さんは、

 こんなにも可愛い行動を取るのか

 …ってダメだ!!)


星夜は、頭に次々と浮かぶ煩悩を

振り払う為に机に頭をぶつける。


「ちょ!?星夜くんどうしたの?

 具合悪い?大丈夫?」


「大丈夫です…少し頭を冷やしてきます」


星夜は、立ち上がり部屋から出ようとする。


「えっ…どこ行くの?」


紫織さんが心配そうにこちらを見ている。


その姿に星夜は、罪悪感を持つ


「いや頭を冷やすついでに

 お風呂入ってこようかと」


「そっそう……行ってらっしゃい」


「はい」


「………あ」

         ・

         ・

         ・

         ・

         ・

「…はぁ…」


星夜は、大きなため息をつきながら

脱衣所に入る。


「何やってんだよ……俺最低かよ」


紫織さんは、雨の中あんな場所で

立っていたんだ、何か深刻な問題を抱えているだろう。


そんな女性に対して、

可愛いだなんだと不純すぎる。


星夜は、なけなしの正義感ととてつもない罪悪感で自分を追い詰める。


いつもの星夜ならこんな事にはならないが

女性を拾い家に上げお風呂に入れるなど

星夜の人生で起きなかったイレギュラーがたくさん起きた。


そのため外面は、平気そうな顔をしてるが

頭は、常にパニックをしていた。


「取り敢えず風呂入って頭を冷そう」


そう言って、服を脱ぎ洗濯機に入れようとするが洗濯機が使用中なのに気づく。


「あれ……あっそうか紫織さんの服」


そりゃそうかと考えながら

汚れた服を適当な所に置き風呂に入ろうと

するがその瞬間脱衣所の扉が突然開く。


そこにいたのは…

「星夜くん!!

 私、汚れた服をせんた……あ」


「…あ」

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