第4話
「…覗かないでください…ね?」
「覗きませんて!!」
「本当に?」
「本当です!!」
紫織は、ジトーと星夜を疑いの目で見た後
脱衣所に入って行った。
「…疲れた…」
星夜は、疲労困憊の状態で部屋に戻り座り込む。
紫織に誤解されたあの後
必死に言い訳したおかげで何とか
態度を軟化させる事には成功したが
警戒心は、強くなったと感じる。
「と言うかこれからどうするよ」
星夜は、これからの事を考えながら
頭を抱える。
正直助けてどうしようと言う考えもなく
ただ漠然と助けただけであり、
これからの行動に悩むのは当然の事だった。
「どうしよう…取り敢えず警察?
いやこの状況どう説明しろと…
うーん…ならこのまま放り出す?
この天気でか…」
窓の外を見ると土砂降りの雨が降り注いで
地面をたたきつけていている。
星夜は、濡れた髪をタオルで拭きながら
天気予報を見る。
「うーん警報とかもまだ出てないなクシュン
…と言うか着替えるか」
星夜は、濡れた服を脱ぎ寝室に向かい服を着替える
そこでふとある事に気づく。
紫織さんは、着替えはどうするのかと…
「どうしよう…女性が着るものなんて
この家に無いぞ」
紫織さんは、小さなバックしか持ってなく
着替えを持ってる様子はなかった。
星夜は、スマホを取り出しある所に電話するが繋がらない。
「うーんこれは、寝てるな
まぁこの天気じゃこなさそうだし
来たとしても…説明できないな」
星夜は、ため息をついた後
仕方ないので自分の服で着れそう物を探す。
「取り敢えず上は、Tシャツで下は…短パン?
いや長いズボンの方がいいのか…?
と言うか俺の服じゃダボダボだろう
…ん〜わからん!!
一応何種類か持っていけばいいか」
星夜は、新しめの服を適当に見繕い
脱衣所に持っていく。
(何か大事な物を忘れている気がするけど
まぁいいか)
トントン
「ひッ!?ひゃい」
「ひゃい?」
星夜が脱衣所の扉をノックすると
中から紫織の驚いた声が聞こえる。
(ってあれ?声が異常に近い
もしかして、もうお風呂から上がった?)
「あの紫織さん」
「開けないで!!」
「えっ!?いや開けないですよ」
どうやら紫織さんは、何やら勘違いをしている様だ。
「じゃ…何の用ですか?」
「あっあの着替えを持ってきたんですけど」
「着替えですか…
あの乾燥機は、無いのですか?」
「乾燥機ですか…ごめんなさい
家に無いです。」
「そうですか…くしゅん」
紫織さんが扉の向こうでくしゃみをする。
(もしかして紫織さん、服を今…着てない?
…って馬鹿野郎何を想像してるんだ!!)
ドンッ!!
星夜は、頭を柱にぶつけ不埒な妄想を吹き飛ばす。
「えっ?えっ?星夜くん?」
「とっとにかく着替え家に女性の物がなくて
俺の服ですけどいくつか持ってきたので
紫織さんの服が乾くまでの
繋ぎに使ってください」
そう言って扉の前に服を置いて、
絶対覗かないしこの場を離れる事を
一方的に伝えてその場を去る。
「あっあの………信じて…いいのかな?」
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