第2話

ザァーーザァーーウィーンウィーン


雨が軽トラを打ち付ける音とウィンカー

が聞こえるこの状況で

星夜は、目の前の状況に混乱していた。


数分前まで急な土砂降りの雨に驚きながらも

いつもの日常を過ごしていたはずだったが

そんな星夜の前に、非日常が襲いかかる。


人が…それも若そうな女性が

こんな人気もなくほとんど山の中に畑を持つ自分達ぐらいしか通らない

山奥の峠に佇んでいる

そんな状況に理解が追いつかない。


「なっなんだ…事件?…それとも」


そんなふうに星夜が考えていると

すっと佇み項垂れていた女性が

顔を上げこちらを見る。


「……ごくっ…」


その光景に唾を飲み込む


その女性は、髪が長くその髪に顔が隠れて

目だけが髪の隙間から覗き込んでおり

某ホラーの様な様相をしていた。


って怖ッ!?

こっちに歩いてくる!!


星夜は、この場から離れようとするが、

今いる場所は、一本道の山道で

後は、細い山道の上崖になっており、


バックで引き返すのは危険で不可能

かと言って前には、黒髪の女性と身動きが取れない状況になってしまった。


この状況どうしたらいいだ!!

誰か助けてくれ!!


そんな事を心の中で叫んでいたが

それが天に届くわけもなく

女性が軽トラに近づき星夜に話しかける。


「…あの」


「はひっ…なっ何でしょうか?」


「ここは何処なんでしょうか?」


「……へ?」


星夜は、一瞬何を言われているか分からず

ポカンとしたが、

あっ道を聞かれてるのかと気づいた為

素直に道を教える。


「ん…なるほど…バス停まで歩くと10分ほど掛かるんですね…ありがとうございました。」


道案内を聞いた彼女は、お礼を言った後

スタスタと道を歩いていく。


「……えっ!?…ちょっと待って!?」


(もしかしてこの雨の中歩いていくつもりか!?)


星夜は、恐怖していたのも忘れ

彼女が心配になり勇気を振り絞りあ

軽トラから降りて呼びかける。


「…?何ですかっ…キャッ!!」


「ちょ、大丈夫ですか」


女性は、振り返ろうとした瞬間

濡れた落ち葉に足を取られ倒れてしまう。


「近づかないで!!」


星夜が心配して近づこうとしたら

強烈に拒絶されてしまった。


「…すいません」


「あっ…いや…その」


女性は、体を震わせながら何か伝えようとしてるが上手く言葉にできない様だった。


「…大丈夫ですよ」


「えっ?」


「私は、貴女を傷つけるつもりは、

 ありません」


そんな彼女に向けて星夜は、

落ち着かせる様に優しく言葉をかける。


「俺…いや私の名前は、

 大崎星夜って言います。」

 

「えっと…紫織です」


「紫織さんですかよろしくお願いします。」


「よっ…よろしく?」


「はいそれじゃ取り敢えず

 紫織さん立ち上がりましょう

 このままじゃ…ね?」


倒れた事により泥だらけになっている

紫織さんに手を差し出す。





紫織は、一瞬ビクッとした後

恐る恐るその手を握った。

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