第5話 初恋
家に帰ると俺は青春攻略ノートをつけた。
格闘技でも今日は大きな進歩があった。しばらくはキックボクシングと柔術を並行してやっていこう。
プライベートでも佐藤とデートを取り付けた。
俺は佐藤にメッセージを送るとすぐに返信が来た。
『今、学校終わった』
『了解、校門まで迎えに行くよ』
俺は校門の前まで行くと佐藤が待っていた。
「お待たせ」
「ううん、全然待ってないよ」
俺たちは電車に乗ってショッピングモールに向かった。
「佐藤は何か買いたい物とかあるのか?」
「うーん、特に無いかな」
「じゃあ、適当に店見て回る?」
「そうしよっか」
俺たちはいろんな店を回った。服屋さんに入ったり、雑貨屋に入ったりした。
もし、昔の俺が社交的だったらこういうことも出来たんだろうか?
「これ可愛い」
佐藤はアクセサリーショップの前で立ち止まった。
「欲しいの?」
「うん、可愛いから買っちゃおうかな」
「いいんじゃないか、じゃあ俺がプレゼントしてやる」
小遣いは月に5000円もらっている。塾での食費も含まれているが小学生にしては甘やかされている気がする。
「えっ、いいの」
「ああ、どれがいいんだ?」
「このネックレスかな」
佐藤はシルバーのハートのペンダントを手に取った。
「すいません、これもください」
「えっ、いいの?」
「ああ、いいぞ」
「やったー、嬉しい」
彼女は喜んでくれたようだ。「次はどこに行こうか?」
「私、行きたいとこがあるんだけどいいかな?」
「いいよ、どこ?」
「ここなんだけど」
彼女が指さしたのはゲームセンターだった。
「いいよ、行こ」
俺は彼女に連れられるままにゲームセンターに入っていった。「ねえ、プリクラ撮らない?」
「いいね、撮りたい」
俺は彼女と二人で撮った。
「翔くん、目閉じてるじゃん」
「いいんだよ、こういうもんなの」
「ふーん、変なの」
次に二人でシューティングゲームをした。「えい、えい、えい」
「おお、上手いな」
「そうでしょ」
「今度は負けないよ」
「私だって」
二人で盛り上がっていると後ろから肩を叩かれた。振り返るとそこには加藤がいた。
「あれ、加藤?」
「やっぱり、二人ともここにいたのね」
「どうして、加藤がここにいるの?」
「実は、前から、翔くんのこと尾けてたの」
「えっ、そうなの?」
「そうよ、なかなか気づかないんだもの」
「ごめん、全然気がつかなかった」
加藤はいつもと違う雰囲気だ。
佐藤も驚いた様子だ。
「気になってついてきちゃった。」
せっかくのデートは台無しになってしまった。とはいえ加藤もなんだかんだで面倒見がいいんだよな。
じゃあ今日は3人で遊ぶか。俺と加藤と佐藤は三人でゲーセンを楽しんだ、とくにUFOキャッチャーがかつての自分を思い出して懐かしかった。
家族で行ったホテルにUFOキャッチャーがあって楽しかったな。俺は昔遊んだことを思い出す。
そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
帰り道、電車の中で俺は今日の出来事を振り返る。
次の日、教室に入ると加藤と目が合った。
「おはよう」
「おっす」
俺は席に着くと昨日のことを思い出していた。
「翔くん、昨日はありがとうね。」
「いいよ、気にするなって」
「また、一緒に遊びたいね」
「そうだね」
佐藤がやってきた。
「佐藤、昨日の埋め合わせは必ずするよ」
「ほんと?楽しみにしてるね」
こうして、俺たちの関係は少しずつ変わっていく。
青春攻略ノートには新しい項目が加わった。
・佐藤とさらに仲良くなる。
これからもっと距離を縮めていく必要があるだろう。
俺は二人の女子生徒と仲良くなった。
一人は元気な美少女の佐藤彩花。もう一人は、加藤愛美。
佐藤とは趣味が同じということで話すようになった。
加藤は最初は少し苦手意識があったが、意外に話しやすいやつだということで仲良くなっている。俺は今、非常に困っている。
なぜなら、佐藤に告白しようか迷っているからだ。
きっかけは些細なことだ。
体育の授業のサッカーで転んで膝を擦りむいてしまったときだ。
「大丈夫?」
「痛い」
「保健室行く?」
「いや、絆創膏貼っとけば治ると思うから」
「だめだよ、ちゃんと手当しないとバイ菌が入ったら大変だから」
「わかった」
俺は佐藤に手を引かれながら保健室に連れて行かれた。
「先生いないみたい。私がやってあげる」
「いや、自分でできるから」
「遠慮しないでいいよ」
佐藤に傷口を消毒してもらったあとガーゼを貼られた。前世では、こんな展開にはならなかっただろうな。やっぱり顔も影響しているのかもしれない。
「はい、これでよし。早くよくなるといいね」
「うん、ありがとう」
「どういたしまして」
「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「うん、いいよ」
俺は佐藤に思い切って聞いてみた。
「佐藤って好きな人とかいるのか?」
「えっ?」
「あっ、変なこと聞いたな、今のは忘れてくれ」
「ううん、いいよ」
「えっ?」
「実は私、翔くんのことが好きかもしれない」
「えーーーーーー」
思わず叫んでしまった。
「翔くん、うるさいよ」
「ごめん」
「いきなり言われてもびっくりしたよね」
「ああ」
「でもね、私、ずっと翔くんのこと見てたんだよ。いつも優しくしてくれるところとか」
「そうなんだ」
「私じゃダメかな?」
「えっ…?」
「なっなんでもない」
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