第2話 冒険者デビュー

 王都についた僕は師匠と別れ冒険者ギルドに向かった。今は夕方で依頼から帰ってくる冒険者の流れがあったので迷うことなく行けた。ギルドの外観は村の外れにあった領主様の屋敷より大きく、とても驚いた。そんなギルドでも受付は入り口からとても近いところにあった。

「すみません冒険者登録はこの窓口ですか。」

「はい。いらっしゃいませ。新人さんですね。ようこそ冒険者ギルドへ。では、こちらの書類に必要事項をお書きください。」

 いよいよ冒険者になれるのかワクワクしてきた。ちなみに書いた内容はこんな感じ。

名前:ユウ

年齢:12歳

職業:ウェポンマスター

戦術的役割:前衛

「なるほど。ウェポンマスターですか。ちなみに武器は何を使われるんですか。」

「如意棒ですね。東方の武器ですね。」

「あー。なかなか苦労してそうですね。後は冒険者登録試験に合格すれば晴れて登録者です。本日分は全て終了したので明日以降またお越しください。」

「はい分かりました。ちなみにギルドの宿って空いてますかね。」

「ただいま確認します…空いてますね。ご利用の場合は仮登録料金になりますが。」

「それでお願いします。」

 なんと、王都のギルドには宿まで入っていて新人の間はここに泊まることが多いらしい。

 そして、翌朝試験を受けるために受付へと向かった。

「では、試験を受け付けました。それではご健闘を。」

 そして、中庭にある演習場へと通された。

「よー。ユウ昨日ぶりだな。」

「師匠なんでいるんですか。」

「A級の冒険者でもあるからな。いてもおかしくないだろ。」

 聞いたことなかった新事実を今知った。ただの旅する武闘派貴族だとしか思ってなかったけど。いや、この時点で『ただの』とは言えないな。

「ということで試験の説明をするぞ。試験は私との模擬戦だ。判定はギルド職員によってのみ決まるので私に勝たなくても良い。簡単に魔物にはやられないことを証明してくれ。では、参る!」と言って、前にステップして距離を詰めてきた。

 僕の武器は如意棒。自由自在にその長さを変えることができる東方の武器だ。ちなみに、ある伝説では8トンの重さがあるというが流石にこの武器にはそれほどの重さはない。

 そんな如意棒で師匠のステップの先を予測して薙ぎ払う。

「ファー甘い甘い。そんな攻撃は効かんよ。」

 牽制とは言えどかなり鋭く薙ぎ払ったが師匠はジャンプして避けながらさらに距離を詰めてきた。師匠は『脚のウェポンマスター』あっという間にその蹴りの間合いまで詰めてきた。ここは先端を縮めながら逆を伸ばすことでまた同じ方向から薙ぎ払う。こうすることで薙ぎ払った先とは反対側(本来の薙ぎ払いの安全地帯となる側)に向かった相手に当てやすくなるのだが、師匠から教わったことなので蹴りを入れられ攻撃は止まってしまった。

「ここからは反撃するよー」

 そう言ってのらりくらりとステップを踏みながら鋭い蹴りを入れてきた。如意棒のインファイトでの防御は短くして確実に一つ一つ弾いていく。師匠の蹴りを弾くたびに手が痺れる。タイミングを見て勢いよく地面を突き如意棒を伸ばすことで勢いよく飛び、距離をとりながら背後をとる。そうしてもう一度短くしてから突く動作と同時に如意棒を伸ばし勝負をつけにいく。

 完全に背後をとったからいけると思ったが師匠は後ろ蹴りで受け止めた。

「職員さん。うちの弟子はどう。合格で良い?」

 審判をしていた冒険者ギルド職員は頷いた。

「というか、ルナ師匠今の出力は冒険者の新人に向けるようなのではないですよね。あくまでも簡単には死なないかの試験ですよね。今のは小さな森のボスクラスはあると思うんですけど。」

「まあまあ気にしなさんな。試験官にも強い弱いがあるもんだよ。」

 そんな普通よりも厳しいだろう試験を受け僕は冒険者デビューしたのだった。

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