第0話「新しい人類史の幕開け」


 人々が突然眠りに誘われ、夢の中に現れた光の玉が消えると、元々寝ていた人はそのまま自分の夢へ。

 起きていて、いきなり時が止まり夢を見た人は、目が覚めた時に「何だ今のは、寝てた? ──夢?」と首を傾げた。


 夢の中でステータスやスキルなどと言われても、所詮夢物語。夢の中で空を飛ぶのと同じく、目が覚めた時には変な夢を見たくらいにしか人々は思わなかった。


 深夜に外にいた人がその場で急に眠りに落ち、また急に眠りから覚めると、何もなかった目の前にいきなり現れた洞窟のようなオブジェに驚く。


「な、なんだよコレは!?」


 驚いたのも束の間、人とは好奇心旺盛な生き物。


 洞窟のようなオブジェを見つけた勇気ある好奇心旺盛な人が、黒い大きな鉄の扉にある人が出入できそうな小さな扉を引いて開けてしまった。


 開けた人が扉の中を覗くと、中にいたのは見たことのない化け物。開けた人は慌てて小さな扉を閉じたが、時すでに遅し。

 外から扉が開けられ、差し込んだ光に気づいた化け物が、大きな扉を中から押し全開に開くと、一体二体とゾロゾロと出てくる。


「な、何だ……ば、化け物だーー!」


「グウオォォォォオーー!!」


 全世界で同じ現象が起き、人々は次々に化け物に襲われ命を落としていった。


 洞窟のようなオブジェから溢れ出る化け物に対して、その国の警察や軍隊、日本では機動隊と自衛隊が武器を携え迎撃。


 しかし、押し寄せる化け物に街は破壊され、防衛線を張るが何度も後退を余儀なくされる。


 時が立つに連れ、光の玉が言葉にしたスキルを感覚的に使える者が次々と現れ、攻撃に特化したスキルを保有する者が戦いに参戦した。


 その情報がSNSで繋がった世界中の人に伝わり、何度も後退せざるを得なかった防衛線を徐々に押し戻し、やがて化け物を退治し大きな鉄の扉を閉じることに成功する。


 洞窟のようなオブジェが現れ、化け物を全て退治するのに実に一ヶ月の月日を要した。


 後に判明するのだが、この時に現れた化け物は全てD級以下だったそうだ……。




 ❑  ❑  ❑




 化け物を退治し落ち着きを取り戻すと、アメリカの呼び掛けで全世界のトップが一堂に会した世界会議が開かれた。


 そのようなことは前代未聞であるが、それ程洞窟のようなオブジェ(後にダンジョンと呼ばれる)の出現は脅威であった。


 ダンジョンとは、化け物(後にモンスターと命名)が巣食う地下迷宮。


 そして、人はやられたままでは終わらなかった。


 あらゆる国がダンジョンの調査に取り掛かると、世界各国から情報が集まりダンジョンの形状は同一であることが判明する。


 突如現れたダンジョンの入口から中に入ると洞窟状になっており、奥まで続く横穴を進んで行くと所々に空洞がある。

 その空洞の中にはモンスターがいたりいなかったり……。


 倒したモンスターからドロップするガラスのような玉。これをと名付け科学者が研究に没頭した。


 イギリスの科学者がこのを解明することに成功。

 このには電気やガス、水の資源が含まれている事が判明したと発表すると、世界は興奮の坩堝るつぼと化した。


 エネビ玉の研究と同時に、そのエネビ玉を入れてエネルギーを使用出来る装置も同時に開発された。


 人類は、新しい資源を手に入れたのだ。


 そのを日本では、国が一括管理することに。

 エネビ玉を取得した人は、必ず役所の専用窓口へ持って行き換金しなければならない。


 取得したエネビ玉を家に持ち帰る事は違法とし、取り締まりを徹底した。


 国が一括管理したそのエネビ玉を、ガス・電気・水を取り扱う業者に卸すことで、旧資源を扱う業者の倒産を防いだのだ。

 



 世界会議では、全世界共通の敵を迎え撃つ為に、ダンジョンに特化した組織の設立が全会一致で可決される。


 その組織の名を『UAF』と名付けた。


 アメリカをリーダー国とし、UAF加盟国はUAFの前に各国の国名を付けることで合意。これにより今までに例を見ない、全世界を巻き込んだ巨大な組織が設立されることに。


 UAFとは、アルティメット・アビリティ・フォースの略。


 和名、究極異能部隊。


 警察とは異なり、モンスターやダンジョンなどに精通しており、これらに関連した案件を処理する組織だ。


 その組織にて冒険者登録をすれば、ダンジョンに潜りモンスターを倒してドロップするエネビ玉を集められる。


 会社を辞めて冒険者登録し、モンスターを狩りにダンジョンに潜って、集めたエネビ玉を役所で換金して収入を得、それで生活する人が増えていった。



 世界的に起きた大災害。


 沢山の人が命を落としたが、その大災害が起こったお陰で沢山の人の命を繋ぐ新しい資源が見つかった。


 亡くなった命と、命を繋ぐ新しい資源の発見。そんな命で繋がる両極端な出来事に、大災害が起きた日を命の大切さを尊ぶ日にしようという声が上がり、ダンジョンが現れた10月27日を『命の日』と命名。


 その日を世界共通の祝日と制定された。




 こうして新しい人類史が幕を開る。


 そして、一本の刀が空から降ってきた日から29年後の10月27日……世界共通の祝日『命の日』に、価値が0円という前代未聞の男の子が誕生する。





━━ ━ ━ ━━━ ━ ━━━ ━ ━



─ 後書き ──


作者のライトです。

ここまで読んで頂き有難うございます!


プロローグから第0話、如何でしたでしょうか?


「面白いかも?」


と思われた方!

作品フォローお願いいたします。


現代ドラマ仕立ファンタジーですので、直ぐに無双して大活躍……とはなりませんが、主人公の苦悩や葛藤、出会いや、多方面の話を楽しみなが、長い目で読んでもらえると嬉しいです。


それでは、続きをお楽しみ下さい!



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