第33話「いやいや、強すぎるだろ……」


 京子が、スキル『隠滅』について詳しく説明してくれる。


「このスキルはね、私が仲間になってほしいと言った相手に、普通の人なら嫌がるところだけ……つまり、私と仲間になるにはリスクが高いことを勝手に口が説明しちゃうのよ。

──でもね、そのリスクを受け入れて仲間になってくれた人には、『神の加護』の効果が得られるって訳なの」


「神の加護?」


 京子が今度は『神の加護』の情報を浮かび上がらせた。


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 スキル ─ 神の加護(隠れスキル)


 詳 細


 ・『隠滅』を発動させると付与される。


 ・全ての能力が50%プラスされる。


 ・『隠滅』の効果を得ている仲間も、全ての能力が50%プラスされる。


 ・『隠滅』を持っている本人にのみ、『神の怒り』が付与される。


 ※『隠滅』を持っている本人には、状態異常をもたらすスキル等は通用しない。(例外あり)


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 俺は圧倒された。

 この『神の加護』の能力はヤバい。


「この隠れスキルの効果が俺にも伝わったんだ……。だから京子の手から不思議な力を感じたのか」


貴史たっくんが私を仲間として受け入れてくれからよ。この『神の加護』は凄いスキルでしょ?」


 今なら強いモンスターでも倒せそうな気がする。


 まぁ、気のせいだろうが……。


「そして、これは私だけに付与されてるんだけど、貴史たっくんは仲間だから教えとくね」


 京子がそう言葉にし、また情報を浮かび上がらせた。



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 スキル ─ 超回復


 詳 細


 ・自動スキル。体力が減った状態になると、10分で全体の10%回復する。怪我や病気等も回復してくれる。


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 スキル ─ 神の怒り(隠れスキル)


 詳 細


 ・雷を発生させ自在に操れる


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 ── いやいや、強すぎるだろ……。



「さっき俺のスキルがチートだって言ってたけど、京子のスキルも十分チートじゃないか。こんなスキルを持ってるのに、死ぬなんてよく言うよ。──まあ、確かに仲間は出来にくいだろうけど……」


 京子はずっと満面の笑みで俺の顔を見ている。


「最後はこのスキルよ」



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 スキル ─ 情報漏洩じょうほうろうえい


 詳 細


 ・情報を強制的に開示させ、目の前に浮かび上がらせる。


 ※検索機能付

(このスキルで開示した情報は自分と仲間にしか見えない)


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「これか……俺のスキルの情報を開示したスキルって。──情報漏洩じょうほうろうえいって凄い名前だな。鑑定眼より強力なんだ。──ん? 検索機能ってなに?」


「ふふっ。このスキルは凄く便利なの。恐らく情報を開示出来ない物はないんじゃないかしら? ──でね、検索機能っていうのがね、なんとインターネットと同じ機能なの。だから、何でも検索出来て情報が目の前に浮かび上がってくるのよ」


 

 ── 情報漏洩じょうほうろうえいって凄すぎないか? 京子と仲間になれて嬉しのは俺の方だな。



「もう凄すぎて言葉もないよ。仲間なんかいらないんじゃないか?」


 京子が、不意に出た俺の言葉に反応する。


「仲間は必要なの! 私のスキルをUAFのS級やU級の人が持っていたら凄く強いかもしれないけど……私よ、わ、た、し。12歳の女の子が持っていても宝の持腐れなのよ。理解出来た?」



 ── どれだけ凄いスキルを持っていても、本人に強さがないと意味がない、か。



「はい、理解しました。──理解はしたけど……スキルって2つも保有出来るんだ」


 スキルを使えなかった俺は、今や当たり前のスキルの常識でさえ知らなかった。

 俺のスキルはお飾りだと思っていたから、スキルの話が出ると耳に蓋をして聞かないようにしていたから。


 京子がスキルについて詳しく教えてくる。


貴史たっくんって何も知らないのね……そうよ、スキルは2つ保有出来るの。1つ目は職業が決まると自動的にその職業にちなんだスキルが付与されるんだけど、2つ保有出来るからもう1つ空きがあるでしょ? もう1つスキルを保有するには、スキル玉を握って強く念じるの。そうすればそのスキルを保有出来るわ。スキルを入替えたい時も同様に、保有してるスキルと交換したいスキルの入れ替えを念じれば出来るのよ。──ここで一つ注意しないといけないことがあって、一度保有して手放したスキルは二度と保有することが出来ないから、入れ替える時は慎重にしないといけないのよ」


「なるほど。じゃあ京子の『隠滅』は、くノ一って職業に就いたから付与されたのか」


 京子が首を横に振った。


「それがね……違うのよ」



 ── ん? 違う? じゃあ、自分で保有したいと思って『隠滅』のスキル玉を握って念じたのか? え? どういうことだ?


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