第31話「エネビンバーター」
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俺の父が日本UAF栗山支部の支部長だったと知った京子が、大袈裟に仰け反り驚きを表現している。
「
「いや、もうお坊っちゃんじゃないから……」
「そ、そう……だよね。家族の人は亡くなったって……。ごめんなさい」
俺は少し顔を緩めて首を横に振った。
京子の家に入るとリビングに案内された。ソファに座るように促されたのでくつろいでいると、京子がお茶入りのコップを手にして俺の横に座った。
「沢山話したから喉乾いたでしょ? はい、どうぞ」
「ありがとう。んぐ、んぐ、ぷはぁ〜。喉がカラカラだったんだ。冷たくて美味し〜い……」
── ん? 冷たくて美味しい? 電気は無いはずなのに、冷蔵庫に電気が通ってるのか? なんでだ?
考えていても分からないので、当たり前の疑問を投げ掛けてみた。
「そういえば、家の中も電気が付いてる。なんで電気が付いてるんだ? 京子、この家には発電機があるのか?」
「発電機って……
── エネビンバーター?
「何それ?」
京子がため息を付く。
「まぁ10歳だもんね、知らなくてもしょうがないのかな? ──あのね、エネビンバーターっていうのはね、エネビ玉に含まれる電気やガスのエネルギーを出力する機械のことよ。エネビンバーターにエネビ玉をセットしてボタンを押すとエネルギーが流るの。昔のブレーカーのような物ね……って、ブレーカーを知らないか……。とにかく、冒険者の人はそのエネビ玉を売ってお金を稼ぐの。少し前までは、火力とか原子力で電気を作ってたけど、環境問題とか資源不足だとか、安全面の問題とか色々あったらしいのよ。でも、ダンジョンが現れてモンスターからエネビ玉が採れるようになって、それを研究して機械を作ったらしわよ。だから、ダンジョンが現れてからとても便利になったこともあるの」
さっきゴブリンからドロップされたエネビ玉をポケットから取り出し、指で摘んで京子に見せた。
「コレのことだろ? エネビ玉は家に沢山あるから知ってるよ。エネビンバーターは知らなかったけど……。ダンジョンって、悪いことばっかりじゃないんだな」
また京子が大袈裟に驚く。
「ええ!? エネビ玉が家に沢山あるの?」
「うん。お父さんが色に分けて飾ってるんだ」
京子がまた、ため息を付いた。
「さすがお金持ち……。家なんて普通に生活出来るくらいしか置いてないのに……。お母さんが昔より光熱費が安くなったって言ってたけど、それでも沢山買える程安くはないって言ってたわ。毎月エネビ玉のエネルギーが無くなったら必要な分だけ買うってね。──あっ、そうか。
家にはエネビ玉を大量に飾ってあるので、高いとか安いとかの感覚はなかった。
「じゃあ、明日家に帰って全部持ってくるよ。たぶん百個くらいあるんじゃないかな」
京子の大袈裟な驚きも、大雑把になってくる。
「百個? いくらダンジョンから持ち帰ると言ってもそんなに家に置いとくなんて、お金持ちって分からないわ……。普通なら換金すると思うけど。ん? 換金してから買ったの? そのまま持って帰ったの? そこらへんの仕組みは分からないけど……でも助かる! 予備が後一つしかなかったから」
「家には3色あっと思うけど、電気とガスと……後はなんだ? まぁいいか。──水はどうしようか?」
「え? 水もエネビ玉があれば湧き出てくるのよ。これも常識なんだから」
これには俺が大袈裟に驚いた。
「ってことは青が水か……。水がこのエネビ玉から湧いてくるんだ……。あっ! もしかして、モンスターの属性ってこのエネビ玉のこと?」
「何よ急に……。エネビ玉には色が付いてるでしょ? 黄は電気、青は水、透明はガスのエネルギーが詰まってるの。それが属性。だから、モンスターのステータスを見ると必ず何かの色の属性が表示されてるでしょ。エネビ玉の中のエネルギーの量はモンスターのランクによって違うんだって。エネルギーが多い程色が濃いそうよ」
── なるほど。青のエネビ玉が欲しければ、青の属性のモンスターを倒せばドロップするのか。
「因みに虹色もあるんだけど、原油に匹敵するエネルギーらしくて、ガソリンだとか灯油を精製出来るんだって。虹色の属性はU級のモンスターだけのものだから、殆どお目にかかれないらしいけどね。あと、お金持ちの間では、アクセサリー代りに持ってるだけで羨ましいがられるんだって聞いたわ」
虹色のエネビ玉か。いつかはお目にかかりたい。
家にエネビ玉を取りに帰れば、電気もガスも水も確保出来る。虹色は無かった筈だけど……。
食料を山で調達すれば、助けが来るまで二人で生きていけそうだ。
「ん? 電気があるなら、
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