第3話「住みたい町ランキング最下位」
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俺は
福井県の山間部にある、栗山という町で産まれ育った。
栗山町は俗に言う田舎町。
山に囲まれたこの町には鉄道は通っておらず、この町に来るには車で山を越えるしかない。
しかも、栗山町に来れる道は一本だけ。
故に閉鎖された町と言われている。
閉鎖されてはいるが、田園地帯が見受けられ、空気が綺麗で自然豊かなほのぼのとしたいい町だ。
その自然豊かな栗山町は日本で一番安全な町で、日本で一番不気味な町として有名だ。
安全だけど不気味なんて、飛行機のようだと皆が言う。
何故日本で一番安全な町なのか……それはこの町にだけモンスターが現れないから。
そして、何故日本で一番不気味な町なのか……それもモンスターが現れないからだ。
住みたい町ランキング最下位。
理由、ある日突然不幸が訪れそうだから……。
──その最下位になった理由が現実に訪れる日が来ようとは、この時はまだ誰も知る由もなかった。
実は、俺の10歳の誕生日に町が崩壊するという大事件……いや、大災害が発生してしまう……。
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─ 過去 ──
俺の家はお金持ちで、何不自由ない暮しをしていた。
欲しい物は何でも買い与えられ、周りの家や友達とは違うことを幼いながらにも理解していた。
父の名は
日本UAFに属し、俺の住む町にある栗山支部の支部長を任されている。
祖父が剣道の達人だったらしく、父もそれに見習い剣を極めんと日々鍛錬している。
栗山町はとても安全な町なのだが、山に囲まれた特殊な地形をしている。
仮に町で緊急事態が発生しUAFの力が必要になったとして、隣接する支部に通報しても距離が離れているのですぐに助けに来れない。
それでは栗山町が危険との理由で、一応この町に支部が作られたらしい。
世界会議で設立された『UAF』
日本も世界に追従し日本UAFを設立したが、当初は警察庁の中の一部署としてのスタートだったので、国内では日本UAF部として運営していた。
だが、部署として対応するにはあまりにも扱う案件が多く、人員を増やさざるを得ない状況に。
ならば警察庁から切り離して一つの組織にしようと、日本UAFという一大組織が新設されたのだ。
勿論運営は日本国。
国家公務員とは……国会議員、各省庁の職員や裁判所の職員、自衛隊員、刑務所などの刑務官、警察庁など色々とあるが、日本UAFもその中の一組織として名を連ねることになった。
東京に本部を置き、各都道府県に一つ以上の支部を作りダンジョン関連の案件を取り扱っている。
日本UAFとは別に、民間にもアクセプト社というギルドがあるが、こちらは日本UAFより圧倒的に人員が少なく、所属人員のランクも低い者が多い。
世界的に認められたものではなく、国内の小さな案件だけを処理している会社である。それでもギルドだけあって、緊急事態における初動の速さや、手慣れた戦い方などから、国にも重宝され信頼されている会社だ。
ランクとは強さを表すもので、E級からU級で分けられている。
そのランクとは別に、その人の価値が金額に換算されてステータスに表示される。
価値1,000円や、価値10,000円といった具合だ。
その国によって、ドルやウォンなど見え方は異なるが、しっかりとレートが反映されているので、価値自体が変わることはない。
価値とはレベルのようなもので、優れている人程高くなる。
どうしようもない
プロスポーツ選手の年俸を想像してもらえると分かり易い。単純に、スター選手は年俸が高く、あまり活躍しない選手は年俸が安い。
その年俸が価値にあたる。
スキルとネットの関係性など、まだまだ謎が解明できていない事も多いが、今の地球の文明発達レベルでは、スキルの全容を解明する事は困難なのかもしれないと言われている。
日本UAFでは、戦闘部隊に属している者は冒険者ランクがB級以上。C級は医療等の後方支援及び職員として働いているが、緊急時にはダンジョンに駆り出される事も。
D級以下は例外を省き入隊出来ない。
❑ ❑ ❑
俺には年子の兄と姉がいる。
兄が6歳になり次の年に姉が6歳になると、二人共価値は600円に上がった。
父と母はすくすくと成長する二人を褒め、俺の6歳の誕生日には盛大なパーティーを開催すると言ったらら。
何故俺の6歳の誕生日に盛大なパーティーを開催するのか……。
ここで一つ言っておかなければならない事がある。
産まれてすぐに自分のステータスが浮かび上がるらしいのだが、誰もが価値は100円と表示されているそうだ。
だが、俺の産まれた時の価値は0円だった。
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名前 ─
価値 ─ 0円
ランク ─ ━
職業 ─ ━
状態 ─ 良
総合力 ─ ━
スキル ─ 最強
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そして、普通は産まれた時には誰も持っていないスキルを俺は保有していた。
何故かは分からないが、産まれた時に俺のステータスにはスキルが刻まれていた。
その名は『最強』。
スキル『最強』とは、未だかつて誰も目にしたことのないスキル。『鑑定眼』というスキルを
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