第125話 現代人は組織が苦手

原作の流れの再確認をしたところで、国家としてのシュヴァリエは完全に降伏し、これからは傭兵団シュヴァリエとしてエワル国に雇われることになった。それで良いのか原作主人公。あとその原作主人公の夢のために滅ぼされた各国の王女や皇女や奴隷ヒロイン達。


ただまああのままだと確実に飢饉で詰んでいたからさっさと頭を下げて物流を再開し、剣や盾を売って食糧を買うというムーブは正しい。たぶんゲーム的には名君なっていたんだろうなあ。全部自分……じゃなくてディードリッヒさんが根本から破壊してしまったけど。


冒険者ギルドのマスターは、この傭兵団について平時は冒険者稼業をやらせるようで、一気に働き手は増えたな。お蔭でダンジョンの低層は狩場の取り合いである。……一応これで、エワル国は本格的な軍事行動もとれるようになった。


エワル国と相対するマウリス教国は今だにスターリンとの戦争との被害から回復していない。南のエルフ族も何故か攻撃が苛烈になっているそうでマウリス教国は非常に苦しい立ち位置だな。


……エルフ族が暴れているの、たぶんエルフ族の第三公女を奪われたからだろうなあ。そのエルフ族の第三公女、ライトに買われたんだけど既にライトに惚れていたため、この後もこの第三公女を活用したイベント群が本来はあったのだと思う。


「……で、元スターリン所属でマウリス教国へスパイとして潜入したらマウリス教国からさらにスパイ業務を押し付けられていた冒険者ギルドのマスターは将来どうするの?」

「……ヒトラーはスターリンを会社名にしてエワル国の傘下に入る計画を立てている。国家総公務員というのを目指していたそうだが、それを会社としてやるそうだ」

「あれ、話した感じ自分がトップに立ちたいタイプだと思っていたけどヒトラーさんはそれで良いのか。

……国家を会社に変更してしまえば、今なら無能を追い出せるの大きいなあ」


ヒトラーさんは民主主義国家スターリンの元首だったわけだけど、国としては解体して会社になるとか言ってる。元々国民を全員公務員にしようとしていたみたいだし、既に半分そうなっていたから渡りに船状態なのだろうか。そもそも軍事費が嵩んでいてわりと死に体だったしなあ。


そしてこの冒険者ギルドのマスターはこれからはエワル国の副代表として頑張るとか言ってるけどたぶんギリギリまでエワル国、マウリス教国、スターリンのどこを優遇すれば良いかは見極めるかな。……人間の感情って単純なものじゃないし、自分がそれを読み切ることなんて出来ない。


だからアメシストにちょっと頭の中覗いて貰うけどもうエワル国で高い地位と財産を築けたから一生この国に尽くすつもりらしいね。あと地味に後妻の奴隷を買ってた。自分の稼ぎの1%がこの人に入っている状態だったからちゃっかり豪邸も建てているし、一生自分に乗っかるつもりだこの人。まあ面倒なこと全部やってくれる人だから別に良いけど。


「そう言えば来月には俺の娘とディードリッヒさんの息子が結婚するんだが、式に来るか?」

「面倒だから行かない。……最終的に権力集まりそうな結婚だなあ?」

「今は本来のトップが雲隠れしていて、実質的に2人がトップに立っている状態だから不和は起こりやすい。それを解消するための結婚でもある」

「子供達の意思は?」

「……少なくとも娘は相手のスペックを聞いた時点で『この人なら良い』だった上、お見合いはさせた後は『この人が良い』となったから大丈夫だろう」

「ディードリッヒさんの息子は一回顔見たけどまあまあイケメンだったしディードリッヒさんに似てごつい身体だったな。戦場には行ってなかったけど」

「一応、ディードリッヒさんにとって大事な一人息子だったから仕方ないだろう」


ディードリッヒさんと冒険者ギルドのマスターは将来的に親戚関係になるようで、兼職の集中しそうな結婚が来月行われるらしい。きちんとお見合いはしているようだけど出来レース結婚である。でも自由恋愛だと間違いなく出生率は減っていくからなあ。


……いや、一夫多妻制だったら自由恋愛でも出生率はそんなに下がらないか。この世界、普通にお見合い文化というか家同士が結婚を決める感じだから独身の人は少ない。結婚も20歳ぐらいにはする感じだし、現代人の感覚からすると相当早い。


ということは自分もそろそろ結婚する年なんだけど、ルー達との結婚式は難しい。どう頑張っても順番というのは発生するし、それによって序列が決まることによる魔物間のギスギスを発生させたくない。


というか既に貞操は奪われている可能性の方が高いと思ってるし、先延ばしに出来るなら先延ばしにし続けるわ。周囲に妖絶な女性や可憐な女性がいるのに、気付いたら数か月ぐらい自慰したことがないとか普通にあり得ないことだからな。


……十中八九自分が寝ている間にアレコレしているんだと考えているけど気付かない方が幸せななのだろうと判断。目覚めの時スッキリし過ぎているんだけどたぶんこれが癖になってる気がする。

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